対キューバ冷戦終了? 冷凍庫から、冷蔵庫へ
Finian CUNNINGHAM | 19.12.2014 | 00:00
Strategic Culture Foundation
今週、バラク・オバマ大統領が、キューバと国交を正常化するという驚くべき“歴史的”措置を発表して、ニューヨーク・タイムズは素晴らしいニュースに夢中になっている。‘アメリカ、キューバとの国交完全回復、冷戦敵意の最後の痕跡を拭い去る’というのが、その大見出しだ。このアメリカの“記録を残す新聞”は、歓迎すべき進展で、オバマ大統領“過去の束縛を解き放ち”“冷戦最後の痕跡の一つを一掃”すると言明、と書いた。
だが装飾過剰な文はさておき、確固とした現実は、継続中のアメリカによる対キューバの違法な禁輸はそのまま続く。しかも、対ロシア経済制裁を更に課し、新たに対ベネズエラ経済制裁を始め、ワシントンは益々制裁を進めているのだ。
冷戦の終焉? そう、もしアメリカ-ソ連関係の歴史を狭い視点で考えるなら、そういえる可能性も。だが他の国々に対し続いている、アメリカの覇権的態度からすれば、冷戦は決して終わっておらず、アメリカが自らの政治的・経済権益を推進する為に、他国を指図する権利があるのだと認めるのを辞めない限りは決して終わらない。
54年間、カリブ海の小さな島国に、一方的に悪意的な経済制裁・外交封鎖を課した後の、アメリカの動きは重要だ。だが、ニューヨーク・タイムズや他の欧米マスコミが、見なし、アメリカ人達が思い込んでいるような、心の浮き立つ理由からではないのだ。
最初に留意すべきことは、ホワイト・ハウスによる政策の明らかな変化は、大半の欧米マスコミ報道がしているような高潔なものとして称賛すべき動きではないことだ。
1960年、アメリカのドワイト・アイゼンハワー大統領が貿易経済制裁始めて課し その後、翌年に外交関係断絶し、彼以降続く11人以上の大統領達が違法な対キューバ攻撃政策を継続してきた。アメリカによる政治的、経済的な対キューバ締め付けは、犯罪的政策、国連憲章違反だとして、世界中で絶えず非難されてきた。
2010年に老齢の兄フィデルから革命指導者役を引き継いだキューバ大統領ラウル・ カストロは、今週のオバマ発表を心から歓迎している。しかし彼は的確に、アメリカがキューバに押しつけた基本的問題はそのまま残っていると述べた。
“これは決して、事の核心が解決されたことを意味しない”と、カストロはテレビ放送でキューバ国民に語った。“わが国に対し、膨大な人的、経済的損害を引き起こしている経済、商業、および金融封鎖はやめるべきだ。”
“二国間の敵意”なるものが、ことごとくアメリカによる、一方的なものであったことも想起しよう。1959年早々、アメリカが支援したフルへンシオ・バチスタの独裁制を打倒した後、若き社会主義革命指導者フィデル・カストロがワシントンを訪問したのは、当時明らかに、平和な関係を呼び掛けるためのものだった。
ワシントンの支配層は、この呼びかけを聞き捨てにした。アイゼンハワー大統領は、カストロ訪問から数カ月のうちに、経済制裁と全面的通商禁止による攻撃を開始した。ジョン・F・ケネディが、1961年初め、大統領となった際には、CIAが支援する傭兵によるキューバのピッグズ湾侵略という大失敗を監督した。ケネディは、キューバに対するアメリカ空軍の全面爆撃指示はためらったかも知れないが、それでもなお侵略は、小さな貧しい国に対する違法な戦争行為だった。
その年遅く、ケネディは、マングース作戦に署名承認した。それは、エドワード・ランズデール准将が率いる、妨害工作や、対民間人テロや、カストロとキューバ指導部を暗殺する陰謀をも含む秘密作戦計画だった。ケネディの犯罪的政策を“甘過ぎる”と見なしたCIAとアメリカ軍産複合体の手による可能性が高い、1963年末のケネディ暗殺以後も、この作戦は長年そのまま続いた。皮肉にも、追放されたバチスタ政権を支持するキューバ人亡命者が、ダラスでケネディを抹殺したCIA狙撃兵チームの一部に加担していたとされた。
アメリカ本土から150キロも離れていないキューバにソ連の核兵器が設置された後、起きた1962年10月のキューバ・ミサイル危機が、欧米の主要マスコミによって、キューバが“ならずものという立場”にある証拠だとされた。だがこの戯画は、常に、アメリカの武力侵略や、対キューバ戦争行為という文脈から分離されていた。武力侵略は、ワシントンによる厳しい封鎖という形で、今日に至るまで継続している。
キューバを巡る、最近のホワイト・ハウスの明らかな反転からして、オバマ大統領の言葉は、吟味に値する。
全国ネットのTVで演説して、オバマは、これを50年以上のアメリカ-キューバ関係で最も“歴史的な”進展だと述べた。オバマは政権二期目の末期にさしかかっており、8年間の大統領職在位における、暗殺無人機攻撃から、アメリカ国民や世界の指導者達に対する政府による違法な監視、警察国家権力の監督、ブッシュ時代の体系的な拷問の隠蔽、はては海外は中東での悲惨な戦争に至るまで、他の論議の的となることが多い実績を何とか磨き上げようと、うさんくさいノーベル平和賞とともに、彼が自分の“遺産”を、意識しているのは確実だ。
しかし以下のオバマの言葉は、恐らくキューバに対するこの動きを評価する為の鍵だろう。“我々は、何十年も、我々の利益を推進しそこねてきた古びたやり方をやめ、代わりに、二国間関係の正常化を始めるべきだ”。
オバマはこうつけ加えた。“この50年間で、孤立化が効果がなかったことが明らかになっている。新しいやりかたをとるべき時期だ”。
“我々の利益を推進”しそこねており、“新たなやり方”が必要だというのは、長年の懸案だった変更であり、基本的なアメリカの対キューバ政策の変化を認めたことにはならない。キューバにおける体制変革という、アメリカの根本的な狙いを実現するための単なる戦術変更だ。そのような狙いと、主権国家の内政への干渉は国際法の下で、違法であることを我々は想起する必要がある。
オバマがキューバに提案している譲歩は最小限だ。金融と旅行制限緩和とうわさされているものと、在ハバナ・アメリカ大使館(スパイ用施設)再開は、キューバ政府が“自由選挙”を受け入れ、アメリカの資本投資と、通信を開放することが条件だ。
既にタカ派共和党支配の議会は、オバマの暫定的提案を“降伏”と嘲っており、ワシントンの何十年もの主要政策、対キューバ禁輸が厳格に実施されたままとなるのは確実だ。
手短に言えば、今週もしオバマが一方的に禁輸をやめ、キューバの主権を無条件承認し、何十年かのアメリカの行為に対し何十億ドルもの賠償を宣言していれば、おそらく“新政策”の動きは正常化に向けた本当の変化到来を告げるものだったろう。
現状では、オバマの“歴史的な”動きは、この大統領で、我々がすっかり慣れてしまった単なる空虚な言辞だ。ワシントンにおける根本的な前提は、依然、覇権大国は、またしても、キューバという国に対する戦略的権益を主張しようとしている。これは違法で、国際司法裁判所起訴されるべき政策だ。
ニューヨーク・タイムズが美文で大々的に報道している“冷戦最後の痕跡”除去なるものは、アメリカという“例外的な必要欠くべからざる国”がいかに、自ら他の国々に無理やり命令する特権を有していると考えつづけているかという地政学的現実を背景にして考えるべきだ。
オバマ大統領は“過去の束縛”を取り除くと言いながら、大統領は先週対ベネズエラ新経済制裁に署名し発効させたばかりで、今週には更なるロシア経済制裁強化を承認した。
冷戦を、アメリカ戦力投射の発現として正しく理解すれば、終わった所ではないのだ。アメリカ覇権政策は継続状態にある。そうして見れば、ベネズエラとロシア等他の国々が、アメリカという冷凍庫の中に戻されつつある中、キューバは、それゆえ、冷凍庫から取り出され、冷蔵容器に移しかえられたに過ぎない。
今週のオバマによる対キューバの動きは、広報活動作戦に過ぎず、キューバ支配を巡る違法な欲望を実現する為の、失敗したアメリカ戦術の変更だ。もしワシントンが、キューバや他の国々に対する経済的攻撃をやめれば、その時初めて、本当の変化の兆しである可能性がでる。そうでない限り、アメリカ権力の基盤である、同じ帝国主義政策以外の何物でもない。
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2014/12/19/ending-cold-war-cuba-from-freezer-chiller.html
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大本営広報部も一斉にはやしたてたこの話題、自動的に眉唾だろうと想像した。
TPPで日本の経済市場、社会体制を完全に乗っ取り、更には侵略戦争の手先、砲弾の餌食に使おう、核兵器材料のプルトニウム生産も狙える原発は再稼働させようという国が、目の下のたんこぶ小国を、やすやすと見逃すはずなどないだろう。
Paul Craig Roberts氏も、基本的に同じ意見。事実は数の多寡とは無関係。
昨日不覚にも体制派の友人と深酒をする羽目となり、またもや口論。別の同意見連中との飲み会にこいと、しつこく勧誘され、ますます口論。
「協調が大切だ。」というので「泥棒や売国奴と協調すれば、泥棒や売国奴になるだろう」という繰り返し。頑固な拗ね者にとっては、単なる時間とお金と体力の浪費。
本田靖治『我、拗ね者として生涯を閉ず』下巻、びっくりした箇所があった。267-271ページ
当時は、社会部がお客様相談室のような機能を果たしていて、記事に不満な読者からの電話を記者たちが受けていたのだという。
「こういう記事を載せる新聞をとるのはやめたい」という客の電話を、本田が受け、「言い分はごもっともで、我々も、そう思っています。」というと、相手は驚いて、「新聞をやめるのはやめる」といいだす。
そこで、本田靖治は、「新聞をやめるのをやめるのはやめてください」といいだす。
新聞の方針に反対してやめるというお客様の行動あってこそ、会社の方針をかえることができるのだからと。
そして、本田靖治は、「このご意見を、直接社長に手紙を書いてください。」と懇願する。
20年前、お客様とそっくりな電話をしたことを思い出したのだ。製品相談で、担当者をはげしく責めたてたお客がいて、担当女性が、「もう対応できません」と泣きながら、小生に電話交代を頼んできた。そこで率直に現状をお伝えした。
「お客様が、対応が悪い遅い、とおっしゃるのは全くそのとおりです。ですから、対応を改良できるよう、体制強化するようずっと進言してきました。ところが全て聞き流されるだけで、まったく実行しようとしないのです。こうなっては、お客様のように外部の声で、変えていただくしかありません。大変お手数ですが、このお客様相談の電話番号でなく、代表の電話で、当方の名前、いま申し上げたこと、お客様のおっしゃっていることを、社長に言ってください。何人も社員が首になるくらいのことがないと変えられません。」
驚いたお客様、「実情をしらずに、先程の女性に大変失礼なことを申し上げた。よろしくお伝えください。」といって電話を切られた。代表にかけてくださったかどうかはわからない。
閑話休題、ご著書の近刊『何故真珠湾攻撃という愚かな道を歩んだか』(仮題)について、孫崎享氏が書いておられる。
「真珠湾攻撃への愚」と今日の「原発、TPP、消費税、集団的自衛権の愚」とを比較してみますと、驚くべき共通性があります。
本質論が論議されない事、
詭弁、嘘で重要政策がどんどん進められること、
本質論を説き、邪魔な人間とみなされる人はどんどん排除していくこと。
排斥の手段は、戦前はテロという手段で物理的に抹殺しました。実に的確に重要人物を暗殺しています。2:本は出版されるのか
それが問題です。
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