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2011年10月11日 (火)

ギリシャの国家破産に備える欧州連合

Peter Schwarz

2011年10月8日

ギリシャに関して、ヨーロッパ体制側は明らかに方針を変えた。ギリシャを“救済”するかわりに、彼等はギリシャの破産について論議し、それが伝染する危機を弱めようとしている。ギリシャの支払い能力を保障するはずだった欧州金融安定基金が、国家破産の結果から貸方銀行を守るのに使われている。

方向転換は、株式市場の激しい変動という圧力や、金融市場、銀行破産の脅威の下、ギリシャ政府の緊縮政策への反対が増大する中で徐々に起きた。しかし、それは明白な階級の論理に従っている。

制御不能な連鎖反応の脅威ゆえに、EUはかつてギリシャ崩壊というリスクを阻止した。彼等は、2008年9月に破産した後のアメリカのリーマン・ブラザーズのように、大きな貸方銀行が破産し、更に多くの銀行を奈落に引きずり込むことを恐れたのだ。万一ユーロ圏加盟国のギリシャが破産した場合、ポルトガル、アイルランド、スペインやイタリア等、他の大きな債務を負った国々も与信を受ける可能性を失ってしまう脅威があったのだ。

こうした状況の下、何十億ユーロものギリシャ救済パッケージは時間稼ぎに役立っている。このパッケージは、ギリシャ国家、ましてギリシャ国民に役立ってはおらず、融資を、全ての支払利息付きで全額返済された、貸方銀行の金庫に直接入った。欧州中央銀行は、大量のギリシャ国債も公開市場で購入し、諸銀行を更なる手形で直面するリスクから解放した。

徹底的な経費削減策と結びつけられていた、ギリシャ救済パッケージは、悪化するギリシャ経済が回復する可能性を当初から除外していた。緊縮政策によってひき起こされた不況が、あらゆる予算上の節約も無駄にしてしまうことは、素人にさえ明らかだ。

緊縮政策の狙いは、財政改革というよりも、労働者階級の破壊にある。いわゆるトロイカ、つまり欧州中央銀行、欧州委員会と国際通貨基金の命令で、ギリシャ政府は、年金と所得を削減し、何万もの公共部門の仕事を破壊し、増税により、自営業者を破産に追いやったが、裕福なエリート達は、富を外国の銀行口座に貯め込んでいる。

この間、これらの施策に反対する抗議行動が益々ギリシャ政府を脅かしている。今月だけでも、いくつかのゼネストや抗議行動があった。政府と密接に協力している労働組合は、抵抗運動を抑えておくことが、益々困難となりつつある。

トロイカの代理人達はこれで、ギリシャを放棄する時が来たと判断した。国家破産とは、政府に、給料や年金や他の公共支出にも支払う資金が無くなることを意味する。丁度、アメリカの自動車会社が、破産手続きを、労働者に対する財政上の義務を、一気に帳消しにするのに活用したように、ギリシャ政府も、既存の契約や法的処遇を実質的に破棄することができよう。そこでの問題は、一体どれだけの職が廃止されるか、あるいは給料がどこまで削減されるのかではなく、そもそも、一体誰が職についていられるかだ。

ギリシャの国家破産は、他のヨーロッパ諸国の労働者を脅迫するのにも活用されるだろう。それは、もし政府が押しつけている緊縮政策を受け入れなければ、一体何が彼等を待ち受けているのかを示す明確な脅しとなるだろう。

ギリシャ国内では、国家破産が暴力的な社会不安をひき起こすだろう。しかし、EUは、これまで、ギリシャの労働者と、いかなる国際的団結を組織することも拒否してきた労働組合の協力を得て、それも隔離できるだろうと期待している。ギリシャ軍も、遠慮なく発言し、PASOK政府を打倒すると脅している。“大佐ら”の支配の下、軍は1967年から1974年迄、残忍な独裁政治で、ギリシャの労働者階級を抑圧したのだ。

EUの当面の懸念は、ギリシャ国家破産によって、国際的な銀行や他のヨーロッパ諸国が破産するのを、いかにして防ぐかにある。これまでの何週間、何日間にわたるあらゆる決定と議論は、この問題を巡って展開した。

ユーロ圏の政府は、既に6月に、欧州金融安定基金(EFSF)を増大し、権力を拡大することで合意していた。単にユーロ圏の不調にあえぐ国々に信用保証を提供するとのではなく、EFSFは、脆弱な国々の国債を公開市場で買い占めて、銀行が直面している危機を取り除くことができるのだ。

EFSFからの資金、あるいは他の公的資金によって、銀行の資本を増やすことが、議論の話題に上がっている。これが、先週火曜のEU蔵相会談での、主題だった。蔵相達は、ギリシャが、支払い不履行をすることになった場合の、ヨーロッパの各銀行の回復力を検証するよう、欧州銀行監督機構(EBA)に依頼した。

水曜日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相も、この方針に合意した。EUのジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長と、主要な国際的金融機関幹部との会談後に、もし銀行が緊急に資金を必要とした場合、ヨーロッパの国々“適切に投資された資金”になるのだから、金融支援を遅らせるべきではないと述べた。

木曜日、欧州中央銀行は同様に、破綻に瀕した銀行を大量資金で支援すると決定した。

言い換えれば、ユーロ救済パッケージとECBの資金は、破産に直面しているユーロ圏諸国を救うのでなく、今や債務国が破産した場合に銀行を救済するために使用されるのだ。

専門家達は、ギリシャ国家破産を乗り切るには、ヨーロッパの銀行は、少なくとも、2000億から3000億ユーロの追加資本が必要だと考えている。2008年の金融危機の際の、銀行救済と同様、これらの資金は、またもや労働者階級を犠牲にした緊縮政策を通して取り戻されることとなる。

多くの政治家やマスコミは、今やギリシャ国家破産を必然的なものと見なしている。

シュピーゲル・オンラインは、先週の出来事に対し“今や金融機関は公的資金するしかあるまい。危機にある国々を救済するよりも、安上がりだろう。”とコメントした。

また、木曜日にヨーロッパの主要な金融関係新聞フィナンシャル・タイムズは“ユーロを救え。ギリシャは破産させよ”という見出しの下で、コメントを発表した。

“債務、財政と経常収支赤字と、悲惨な程の競争力の欠如からして、ギリシャは負債の罠からは逃れられまい”“緊縮財政に続く緊縮財政では、病人は死ぬしかない。”と述べている。

ギリシャ破産に対処するため、フィナンシャル・タイムズは、“協調的な銀行の資本増強と、欧州金融安定基金の資金を、2兆ユーロへと、4倍増するよう呼びかけている。”これらの施策のつけは、更なる削減と緊縮政策という形で、ヨーロッパの労働者によって支払われざるを得まい。

ギリシャ国家破産に対する準備は、金融エリート支配層による、労働者階級に対する攻勢の、新たな段階を示している。この攻勢に反撃できるのは、銀行と大企業の収用と、ヨーロッパ社会主義国家連合の樹立に焦点を当てた、社会主義綱領に基づくヨーロッパの労働者による共闘しかない。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2011/oct2011/gree-o08.shtml
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マスコミはあいもかわらず、バッグの中の首やら、パラグライダー事故をまめに報じ、TPPの本質については、完全に報道管制。

労働運動が強力どころではなく、公務員が増えすぎない日本で、財政が破綻するというのは本当なのだろうか?財政は、八ッ場ダムやら、諫早湾河口堰のような不要な建築物、原発の建設推進によってこそ破綻するだろう。

大気や海への放射能放出が延々と続き、終息の見通しが全く見えない中、首相は群馬県川場村を視察し、TPP加盟の調整を加速させるという不思議な話。農業がTPPの肝であるがごとき虚偽報道。農業、裸体彫刻を覆うイチジクの葉にすぎない。TPP、農業のみならず、日本経済乗っ取りだろう。ギリシャと違い、この国でゼネストはおきない。

ギリシャの国家財政、破綻の瀬戸際ということで、反対運動も激しいが、日本のTPP加盟、加盟を論議している間は、その悪影響、直ちには感じられないため、強烈な反対運動は起こらない。実際に加盟して、庶民に対する悲惨な結果が現われてから気がついて、ささやかな反対運動をしても、既に後の祭。

小泉郵政破壊がそうだった。マスコミ、こぞって、何の論理的解説もなしに、やみくもに小泉を支援した。強力な反対運動などなく、庶民はこぞって自民党小泉派を支持した。郵政を破壊したあと、どのように、国民生活が素晴らしくなるかという精緻な議論、説明を、マスコミは全くしなかった。ごく僅かな反対派の諸氏は、具体的悪影響について詳細を語り、果敢に戦ったが、マスコミ総攻撃の中、あっけなく破れた。
マスコミが煽った小泉郵政破壊で、生活が良くなった庶民、どなたかおられるだろうか?
TPP加盟後、より大規模な日本政治・経済破壊がおきるだろう。

アメリカ先住民は、武器や、アルコールや、天然痘の菌が付着した毛布やら、白人アメリカが押しつける法律で、生活を滅ぼされた。
日本人は、自ら喜んで投票した二大政党という名前の宗主国傀儡政治家集団、それを巧妙に扱う亡国官僚、売国マスコミのおかげで、国をまんまと宗主国に乗っ取られ、生活を滅ぼされる。

吉岡斉著『新版原子力の社会史-その日本的展開』朝日選書が刊行された。旧版に、大幅な増補がされた素晴らしい通史。原爆研究から福島第一原発事故まで網羅されている。マスコミ解説を朝から晩まで読み聞きするより、本書をこそ、お読み頂きたい。
本の中に、宣伝パンフレットがはさみこまれている。ロングセラー・ベストセラーに、素晴らしいブログ「私の闇の奥」の藤永茂著『アメリカ・インディアン悲史』があがっている。アメリカ人にあわせようと、大変な努力をしたあげく、裏切られたチェロキーの話がなんとも印象的だ。
めでたくTPP加盟の後、いつか誰かが『日本庶民悲史』を書くかも知れない。後の祭として。

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