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2010年4月 9日 (金)

キルギス政権崩壊

Niall Green

2010年4月8日

キルギスタンの主要な野党グループが、昨日権力を掌握したと発表し、クルマンベク・バキエフ大統領は、首都ビシケクから脱出したと言われている。

野党、社会民主党のスポークスパーソン、ガリーナ・スクリプキナは“我々は、内閣が辞職するという合意に達した”と語った。“当面は、内閣辞職を達成しただけで… 大統領自身は辞任していない。我々が暫定内閣を指名できるようにするために、彼は辞任し、議会に正式に辞表を提出すべきだ”とスクリプキナは、ロイター通信に語った。

AFP通信は、バキエフが、ビシケクから、南部の都市オシに、飛行機で脱出したと報じている。ロシアの通信社RIAは、大統領はまだ首都にいると理解していると報じている。

野党党首テミル・サリエフは、ダニヤル・ウセノフ首相は内閣が辞職することに同意したと語った。しかしながら、水曜日、ウセノフ首相は、ロイター通信に、彼とバキエフ大統領は依然として政権の座にあると電話で語った。

サリエフは、モスクワ訪問から昨日帰国するやいなや逮捕された。野党活動家たちが、それから間もなく、何人かの拘留されていた他の反政府派の人々と共に彼を監獄から解放した。

火曜日の、西部の都市タラスでの大規模反政府抗議デモ後、水曜日、ビシケクで何千人もが大統領官邸に押しかけた。警官と軍隊は、最初、催涙ガスとゴム弾を群衆に撃ち込んだが、デモを解散させるのに失敗した。そこで彼等は実弾を発射し、多数のデモ参加者を殺害し、更に数百人が負傷した。

抗議デモ参加者はビシケクで、幾つかの政府庁舎、国営放送局本部や、更に他の地方都市も掌握していると報じられている。野党は更に幾つかの地方政府を占拠したと主張している。

キルギスタンは中央アジアに位置し、中国に国境を接し、アフガニスタンに近い、人口530万人の旧ソ連共和国だ。絶望的なほど貧困で、アメリカ合州国とロシアが、キルギスタン国内の軍事基地の利用代金として支払う現金に政府は大いに依存している。マナスのアメリカ空軍基地は、ワシントンのアフガニスタン占領用主要兵站基地の一つだ。

“今のところ、マナス空港の中継センターは通常に機能している”と、あるアメリカ国務省当局者は語っている。“中継センターは、アメリカのアフガニスタン作戦に結びついた重要な施設であるが、通常に機能している。”

2005年の反政府デモ後、元首相バキエフが率いた事実上の無血クーデターによって、当時のアシカル・アカエフ大統領が、いわゆる“チューリップ革命”で、大統領の座を追われた後、バキエフ自身、権力を掌握した。

今年三月以来、反政府デモが頻繁に行われており、停電や、貧困、高い失業率や、キルギスタンを破滅させた、役人の腐敗を巡って、ビシケクや他都市で、何千人もの人々が抗議をしていた。最近、政府は水道やガス等の公共料金を引き上げ、政権に対する大衆の反対運動を激化させていた。

バキエフは、反対運動を鎮圧しようとして、ビシケクと、更に二つの反政府デモの中心地であるタラスとナリンに、夜間外出禁止令を発令していた。過去数週間、バキエフ政府は、独立メディアやインターネットも弾圧していた。

キルギスタン国内のソ連時代に作られた水力発電所が崩壊状態であるために、停電は、春の年中行事と化していた。中央アジアの隣国カザフスタンやトルクメニスタンとは違って、キルギスタンは、事実上、炭化水素資源を産出しない。

国民の約三分の一は、公式な法定貧困レベル以下で暮らしており、多くの家族は、ロシアに出稼ぎに行っている労働者からの送金に頼っているが、それもグローバル経済危機によるロシアに対する深刻な影響を被っている。

抗議デモ参加者たちは、アメリカが率いるアフガニスタン戦争へのバキエフ政権による支援への反対も表明していた。キルギスタンに、アメリカが、CIAとペンタゴンの“非合法活動”用基地と言われる“対テロ作戦訓練センター”を設立したという噂が、キルギスタンで広まっていた。

キルギス保健省は、水曜日の、デモ参加者と治安部隊との衝突で、40人が死亡したと報じている。野党側は、100人以上が殺害されたとしている。ビシケクのある病院は、“何十人も”の人々が、頭に銃創を受けてやってきていると報じている。

負傷者の多くは、水曜日、およそ1,000人とみられるデモ参加者が襲撃した、ビシケクにある検事総長事務所占拠時に生じた。

副首相アクリベク・ジャパロフと、内務大臣モルドムサ・コンガンティエフは、二人のボス、バキエフを糾弾することを強いるデモ参加者に拘束され、殴られていると報じられている。彼等の行方は不明である。

国際人権団体や国連は、基本的権利侵害でビシケク政権を再三非難してきた。バキエフに批判的な何人かのジャーナリストは脅迫され、殺害され、TV局や新聞社は閉鎖された。囚人たちは日常的に虐待され、野党政治家は攻撃され、国外亡命を余儀なくされていた。

二月、ジャーナリストのゲンナジー・パヴリュク殺害がビシケクでの大規模抗議に火をつけた。このジャーナリストは、六階建てアパートから投げ落とされたが、この殺人は政府の腐敗に対する彼の批判と、野党大物との付き合いに対する仕返しと見なされていた。

バキエフは、キルギスタン国内でも、国際的にも、不正操作されたと見なされている昨年の大統領選挙に勝利していた。争点となった2009年イラン選挙とは異なり、ワシントンは、キルギスの選挙結果を非難することを拒否した。

キルギスタンの残忍な政権は、“対テロ戦争”における、ワシントンの主要同盟国の一つだ。アメリカ軍は、2001年に アフガニスタン侵略の一環として、キルギスタンに基地を設置している。8年間のアフガニスタン占領においても、現在の拡大した“アフ・パク”戦争に、数千人の追加現在のアメリカ軍兵士と、装備を送り込む“増派”の上で、マナス空軍基地は、重要な役割を果たしてきた。

2009年、キルギス政府は、アメリカ軍マナス基地の地代を、1700万ドルから、6000万ドルにあげることを要求し、もしもワシントンが、地代の値上げに応じなければ賃貸契約を終了すると脅した。アメリカとバキエフは、地代を上げた新協定に合意し、この協定で、アメリカ軍はマナス駐留を継続し、基本的に基地では何でもやり放題というものだった。

キルギスタンへの大規模なアメリカ軍駐留は、ロシアの権力エリートにとって悩みの種だ。ロシア政府は反バキエフ派による政権奪取への関与を否定している。ウラジーミル・プーチン首相は、この抗議行動に対し声明を発表し“ロシアも、小生も、ロシア当局者も、これらの出来事には、いかなるつながりもない”とロシア・マスコミに語った。

とはいえ今のところ、キルギスタンでの出来事は、キルギス権力エリートの一派閥や、主要大国では、制御できない状況のように見える。ワシントンもクレムリンも、キルギスタンには、平静を保つよう呼びかけており、両国とも、自分たちの意志を、どんな形のものであるにせよ、ビシケク新政府に、素早く押しつけようとするだろう。

中国も、キルギスタンでは、主役の一人で、隣り合わせる二国間の貿易は過去十年間、急速に増大している。北京政府は、ワシントンやモスクワのライバル同様、キルギスタンを、エネルギーの豊富なカスピ海盆地への重要な、きずなだと見なしている。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2010/apr2010/kyrg-a08.shtml

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宇宙ニュースと新党の話題には食傷している。新党という名の目くらまし。名前は新しくても、中身は宗主国傀儡の新分派。新しい革袋の腐ったワイン。

マスコミ、こう定義したくもなる。「庶民が知りたいと思っていることは報道せず、庶民が知りたいと思っていないことだけを、もっぱら報道するための組織」

副首相アクリベク・ジャパロフは病院に収容されたが、内務大臣モルドムサ・コンガンティエフは既に死亡していた、ということのようだ。

内務大臣、パヴリュクを含め、政敵をあらゆる手段で弾圧するのが仕事だったろう。

何者かがゲンナジー・パヴリュクの手足を縛りアパートから投げ落とした犯行は12/16。

昏睡状態のゲンナジー・パヴリュクが、アルマトゥイの病院で亡くなったのは12/22。

デモが盛んになったのが「二月」とある理由、素人にはわからない。

ヒューマン・ライト・ウォッチの背景説明記事では、ゲンナジー・パヴリュク、ロシアの週刊誌、アルグメントゥイ・イ・ファクトゥイ(論拠と事実)のキルギス版創始者で、野党アタ・メケンのウェブ・サイトのたちあげ作業をしているところだったとある。

キルギスタンですら、地代値上げを要求したのだ。宗主国様に「かつあげ」思いやり予算献上ではなく、応分の地代をお支払い下さるようお願いすれば多少収入が増えるだろう。チャルマーズ・ジョンソン氏も言っておられる。

地代を払うのがいやなら、宗主国、撤退を考えるかもしれない。

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コメント

この件もロシアの陰謀!ポーランド大統領以下の大惨事もロシアの陰謀!とか言われ始めてますけど、控え目に言って両国の共通項に「CIA秘密捕虜収容所」関連も見られる事は要注目と思うんですけど、しかし日本では少数派の声でしょうね。
宗主国様に逆らっちゃ、普天間基地利権がフイになるかも知れないから。
辺野古沖V字滑走路案の場合だと海砂利権だけで2兆円規模とか言いますから。

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