■ 素早い決断浦和レッズのオジェック監督が解任された。J1リーグでは2節を終えて無得点の2連敗。昨シーズンの終盤からチームは破綻の兆しをみせており、チーム内のムードも良くないという報道もあって、必然の選択であったといえる。
ただ、昨シーズンのオジェック監督がしっかりと結果を残してきたのも事実である。ACLを制覇したのはJクラブ初の偉業であり、リーグ戦も最終節で鹿島に逆転されたが2位。そう考えると、浦和のフロントの決断は早かったとも言える。
■ シビアな世界オジェック監督の例を出すまでもなく、クラブチームの監督に対する評価は、非常にシビアである。
07年に三顧の礼をもって監督に就任したFC東京の原博美監督は、そのシーズンで結果が出ないとわずか1年でチームを去らざるえなかった。06年の途中に監督に就任しチームを立て直した磐田のアジウソン監督も、07年に結果が出ないとシーズン半ばで辞任に追い込まれた。同じく、07年に「スクランブル・アタック」で旋風を巻き起こした横浜FMの早野監督も、結局、1年でチームを去ることになった。
今シーズンを見ても、前述のように、すでに浦和レッズのオジェック監督は解任されており、同じくスタートダッシュにつまづいた昨シーズン6位のアルビレックス新潟の鈴木惇監督の首も危くなりかけている。クラブチームの監督は、常に、「結果」と「内容」の両面から評価を受けており、どれだけ実績を残した監督であっても、決して立場は安泰ではない。
■ 鈍い動き一方で、日本代表のことを考えてみると、このような動きは非常に鈍いと言わざるを得ない。
確かに、継続してリーグ戦を行うクラブチームと単発で試合をこなす代表チームを比較するのは難しい。しかしながら、当然、クラブチームと同じように、監督あるいはチームを評価するようなチェック体制は必要である。形式的には、小野氏を中心とする「技術委員会」なるものが存在するが、その組織が内部監査的な自浄作用を持つかどうかは、かなり疑問である。
07年のアジアカップ後に、岡田武史氏や風間氏を中心に代表チームを評価する「新委員会」を発足するような動きもあったが、オシムジャパンの終焉とともに立ち消えになった。この中で川淵氏は、「現状、対等にオシムにモノを言えるのは俺ぐらい。」という発言をしているが、これもおかしな話であって、日本代表の監督人事は1人の会長にしか権限が無いかのような状態が続いている。
■ 過去のケース近年、日本代表の監督が交代させられたケースは2度ある。94年のファルカン監督のケースと97年の加茂監督のケースである。
ファルカンジャパンには地元で開催された広島アジア大会で「ベスト4」というノルマが掲げられたが、そのノルマを達成できずに大会後にファルカンは監督を解任されている。また、加茂氏は、97年のワールドカップ予選のカザフスタン戦の後、成績不振から更迭されている。
■ 技術委員会の存在先ほどのチェック機能に関連して、注目すべきは、95年には当時の加茂周日本代表監督が加藤久氏を中心とする強化委員会から「NO」を宣告された出来事である。当時、代表チームを評価する「強化委員会」のトップだった加藤久氏は、95年末に加茂監督の解任とヴェルディ川崎のネルシーニョ氏の監督就任を主張し、大騒動となった。(最終的には、加茂周監督は続投し、強化委員会は形骸化された。)
加茂監督続投の判断が正しかったのか、またネルシーニョ氏が代表監督にふさわしかったのかは、意見が分かれるところではあるが、代表チームを評価して判断する機関があったということ、そして、一定の結論を導き出して評価を下したという過程は重要である。
このあたりは、リンク先の二宮清純氏の記事に詳しいが、この中の、「客観性を持たせながら公平に試合を分析し、評価を下せる組織は必要だと思う。」という二宮氏の主張は正しい。
http://www.ninomiyasports.com/xoops/modules/news/print.php?storyid=5644■ アジア予選をクリアしたらOKか?アジア予選を軽視するつもりはないが、現状では、よほどのことがない限り、五輪代表や日本代表がアジア予選でつまづくことはないだろう。日本代表の選手層はアジアの中では特出しており、長丁場の戦いになればなるほど、分厚い選手層が有利に働く。U-20代表を含めると、日本代表はここ最近は、13回連続でアジア予選を通過しており、世界大会の切符を逃したのは、93年のドーハの悲劇が最後である。
と考えると、アジア予選を勝ち抜くのは最低限のノルマであって、もっと上を求めたくなる。おそらく、サポーターの誰もが、アジア予選突破止まりでは満足しないだろう。アジア予選では少しの不手際があったとしても十分にカバーはできるが、世界大会でその余裕は与えられないということは、多くの日本人がドイツの地で痛感したことである。
確かに、予選突破という一定の結果を残した監督を交代させるのは難しい。(同じように、結果の出ていない監督を続投させるという判断も難しい。)ただ、そこをきちんと評価できる人(あるいは組織)がないと、日本代表は南アフリカ大会でドイツW杯と同じことを繰り返すし、五輪代表は北京五輪でアテネ五輪と同じ結果に終わるだろう。
岡田氏あるいは反町氏が代表チームの監督として最もふさわしいのかを十分に吟味しなければならないし、いつまでも、「アジア予選を通過したから本大会も彼らに任せる。」というフリーパスの状態ではいけない。
■ 代表監督とは心中しなければならないのか?前述のクラブチームの監督と同様に、選手たちも厳しい生存競争を強いられている。代表の試合に出場できるのはごく一部の選手だけであって、結果の出ない選手は試合出場もままならなくなり、最終的には代表チームからを外される。
改めて考えてみると、代表チームはかなり特殊なものである。一発勝負の試合が多く、思うように日程が組めない場合も多い。だから、クラブチームで実績がある監督だといっても、代表チームで同じ成果を出せるとは限らないし、向き・不向きも存在する。「監督を任せてみたけれど、どうも期待と違う。」と多くの人が感じたとしたら、傷口が広がらないうちに、監督交代をするのも選択肢の1つである。だが、現状では、川淵会長も技術委員会も、「監督交代」という選択肢を初めから放棄している様に思える。
もちろん、チーム作りがうまく事が運んでいるのであれば、何ら問題はないが、事態が追い込まれてから、あるいはすべてが終わってから後悔したのでは、遅いのである。(岡田ジャパンについては、確かに、もう少しの期間、注意して見守るべきではある。)
日本サッカー協会とその幹部にとっては、「岡田ジャパン」あるいは「反町ジャパン」で本大会を戦うことが(保身のためには)必須の条件なのかもしれないが、一般のサポーターにとっては、代表チームの監督が、岡田氏あるいは反町氏でなければならない理由は、特に存在しない。求めたいのは、強くて魅力的な躍動する日本代表チームである。
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今の岡田さんでは、W杯を戦えないのは、明白。
アジアで通じても、世界はきびしい。
戦術では勝てない。
強い気持ちとカリスマ性
オリベリラかオシムでしょう。
さりとて自信もって代わりを用意できないのが
日本「川ブチ」サッカー協会なのだから
彼を斬らない限りとりあえず ムリ
>>> 部下Dさん
どうもコメントありがとうございます。トルシエvs釜本というバトルもありましたね。結局、釜本氏の意見は退けられた形になりましたが・・・。
代表チームの評価機関は絶対に必要ですね。さらには、日本サッカー協会そのものを評価する機関も必要ではないでしょうか。暴走しかねない人が集まっていますからね。
私も確かに代表の評価組織は必要だと感じます。
確かトルシエ監督時代までは強化委員会は存在していたと記憶します。
釜本委員長(副委員長?)とトルシエ監督の確執のような記事を何度も目にしましたし・・・
技術委員会は代表監督選定が役であるから、そのクビを切るような評価を下すような事は出来ないという話を以前聞いた事もあります。
となると、余計に評価機関と言うのは必要になるように思えますね。
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