清水エスパルス→ 開幕前の評価は低かったが10位でW杯の中断期間を迎えると中断明けはC大阪とG大阪に勝利して2連勝。17節を終えた時点で16位のG大阪との差は「9」に広がったのでひとまず残留争いから抜け出すことができた。ちょうど折り返し地点となる半分の段階で7勝7敗3分け。17試合で勝ち点「24」というのは上出来である。就任1年目となるヤン・ヨンソン監督のここまでの仕事ぶりは高評価されるべきである。
悪くない位置で中断期間を迎えたこともあって夏の移籍市場で激しい動きを見せているわけではないが2015年に広島で21ゴールを記録したFWドウグラス(アランヤスポル)の獲得に成功した。FC東京なども獲得に乗り出していたが争奪戦の末に清水がゲットした。高さと得点力を持ったストライカーの獲得に成功したがさっそくデビュー戦となった17節のG大阪戦(A)でゴールを決めて勝利に大きく貢献した。
徳島でプレーした時期が長かったが燻った時期も長かった。「華々しい活躍を見せたのは広島時代の2015年のみ」というのは不安要素だったが払拭する活躍を見せた。FWクリスラン、MFミッチェル・デューク、DFフレイレ、DFファン・ソッコがいるので、外国人枠の問題を抱えているが、清水は頼りになるストライカーを手に入れることができた。期待通りの活躍を見せてくれると上位進出も夢ではなくなる。
他には中国の年代別代表に召集されている192センチのDF呉少聰がJ2の京都に期限付き移籍となった。先のとおり、外国人枠に余裕がないので「枠を空けるための移籍」と言える。さらに出場機会に恵まれなかったMF清水航がJ2の甲府に移籍することになったがWGで生きるタイプなので4バックを採用する清水では持ち味を出しにくかった。DF立田とDF飯田貴の台頭もあって序列が下がってしまった。
ジュビロ磐田→ 17節を終えた時点では6勝6敗5分け。決して悪い成績ではないがなかなか得点が取れないこともあってやや煮え切らないシーズンになっている。開幕前は上位候補に挙げる人が多かったのでやや不本意なシーズンになっているがMFアダイウトンとMFムサエフが長期離脱中。頼みのMF中村俊は怪我がち。新戦力のMFギレルメは例の問題で契約解除。今シーズンの磐田は計算外となる出来事が多すぎた。
前評判は高かったのでここから順位を上げてACLの出場権争いに絡みたいが現時点で加入が決まったのはFW大久保(川崎F)になる。J1最多のゴール数を記録している天性のストライカーを獲得したが川崎Fで出場機会に恵まれなかったFW大久保の磐田移籍はサプライズだった。どちらかというと扱いにくいタイプの選手に分類されるFW大久保なので名波監督がどのようにして操縦するのか?も興味深いところである。
さっそく17節の札幌戦(A)でデビューを飾ったが難しいのはポジションである。中断期間中にトリプルボランチを採用したのでスタメンで使うとしたら1トップの位置か、トップ下のどちらかになる。1トップにはFW川又がいて、トップ下にはMF松浦、MF山田大、MF中村俊がいることを考えると、FW大久保と言えども定位置を確保するのはなかなか大変である。「3-3-3-1」のような形だとFW大久保は生かされにくい。
MF宮崎智とMF上原力とMF田口のトリプルボランチはまずまず機能しているが、いずれはMF中村俊も戻ってくる。MF中村俊、FW大久保、MF山田大、MF松浦の4人のうち、スタメンで起用できるのは1人だけになるのはかなり勿体ないが、このあたりのことを名波監督はどのように考えているのだろうか。他には水戸に育成型期限付き移籍していたGK志村がわずか1か月半で磐田に復帰することになった。異例である。
名古屋グランパス→ 3節から15試合勝ちなし。勝ち点「10」のみと低迷しているが、J1残留に向けてフロントの本気度は伝わってくる。すでにMF前田直(松本山雅)、MFエドゥアルド・ネット(川崎F)、DF中谷(柏)、DF丸山(FC東京)、DF金井(横浜FM)の5人を獲得したが、5人とも結構なビッグネームである。特に横浜FMから加入のDF金井は中断明けの最初の試合(vs 仙台)はスタメンでプレーした選手なので驚きの移籍となった。
もともとFWジョー、MFガブリエル・シャビエル、GKランゲラクを軸とした縦のラインはしっかりしていた。ボランチから後ろの顔触れが極めて心もとなかったが夏の補強で軸になれる選手を獲得して総合力が大幅にアップした。DF金井以外の4人はさっそく17節の広島戦(H)でスタメン出場したが4人とも「個の力」を発揮してドローに貢献した。16位のG大阪との差は「5」となるが、名古屋は反撃体制を整えつつある。
選手の移動が激しい冬の移籍市場でもここまで即戦力を大量に獲得できるケースは珍しい。夏の移籍市場になるとなおさらである。Jリーグの場合、夏にクラブとの契約が切れる選手は少ないことを考えると夏の移籍市場で選手を獲得するときは移籍金等で余分なお金が必要になる。相当なお金をかけていると推測できるがこれほど夏の補強で即戦力を獲得できたチームは過去を振り返ってみてもほぼ無かった。
今まで以上に言い訳の許されない状況になったので風間監督にかかる期待と重圧はこれまで以上である。ここまで投資をしてJ2に降格してしまったら大変なことである。今の名古屋のフロントはよほどのことがない限りは「風間監督の交代」を考えていないと思われるので風間監督が強力な新戦力を得てどのようにチームを立て直すのか?は興味深い。風間監督にとっても監督人生をかけた大勝負になるだろう。
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