■ 好調のチーム同士の対戦1分けをはさんで4連勝と好調のモンテディオ山形が、同じく4連勝中の湘南ベルマーレのホーム、平塚競技場に乗り込んだJ2の第12節の注目の好カード。
山形は、<4-4-2>。4バックは、右から、園田・小原・鷲田・石川。中盤は、臼井・渡辺匠・秋葉・宮沢。2トップは、名古屋からレンタル移籍中の豊田と前横浜FCの北村。
対する湘南も、同じく、<4-4-2>。ジャーンが怪我で欠場のため、村山・松本・斉藤俊秀・鈴木の和製4バック。中盤は、加藤望・北島・坂本・アジエル。2トップは、外池と石原。
■ 見ごたえ十分の展開試合は、両チームとも、ここ最近の好調さがうかがえる展開。攻守の切り替えがはやく、スピーディーに試合が進む。
そんなか先制したのは、山形。前半21分、DF小原からのロングパスを受けたFW北村が先制のゴール。湘南も、加藤望の技巧や、石原の鋭い動き出しからチャンスを生み出すも、ゴールは奪えず。前半は、1対0で山形がリードして折り返した。
後半に入って、山形は、後半12分に、左サイドに流れたFW豊田のグラウンダーのボールを、2トップの相方FW北村がスライディングで押し込んで2点目。さらに、後半23分には、石川のFKが直接ゴールに吸い込まれて3点目。ロスタイムにも、途中出場のMF佐々木からのパスを受けた、木藤が豪快に蹴りこんで4点目。
山形は、後半、湘南のシュートをゼロに押さえる完勝。結局、4対0で山形が勝利し、4位をキープした。
■ 脱帽のモンテディオのサッカーモンテディオ山形のサッカーは素晴らしい、とありきたりに表現するしかない。脱帽もののサッカーだった。
90分間落ちることのなかった運動量、前線からの組織的な守備、チャンスと見るや一気にゴール前に人数をかけて攻め込む攻撃と、すべての面で、パーフェクトだった。
山形には、全国的に名の通ったスター選手は1人もいない。が、それでも、これだけのサッカーができるということを、モンテディオのサポーターは、誇らしく思っていることだろう。
スター選手をかき集めて、凡庸なサッカーしか出来ないチームに対する、強烈なアンチテーゼである。
■ クレバーさを感じる樋口監督試合終了後、樋口監督はインタビューで、「中盤で、しっかりとした守備ができたことが、勝因である」と語っていたが、まさに、そのとおりで、中盤の守備が素晴らしかった。
運動量が豊富なことが、すべてのベースになっているが、選手のポジショニングも、バランスもよく、セカンドボールへの対応も、素晴らしかった。試合後の会見での受け答えを見ても、非常にクレバーさを感じる監督である。
■ モンテディオの強みモンテディオの強みは、選手の個性を組織の中にうまく生かせている点にあると思う。
特に、攻撃においては、「自由なサッカー」と「組織的なサッカー」は裏表の関係であるかのように思われているが、モンテディオのサッカーは、コレクティブでありながら、個々のイマジネーションを全く、殺していない。両者が、高レベルで融合した次元の高いサッカーを見せている。
J1を含めても、この部分で、モンテディオ山形のレベルに達しているチームは、現段階では、ガンバ大阪くらいではないだろうか。樋口監督は、非常にいいチームを作ったと感じる。
■ 存在感抜群のFW豊田星陵高校時代は、名古屋グランパスの五輪代表MF本田圭祐の1年先輩にあたり、ユース年代から、大きな期待を受けている豊田。だが、プロ入りしてからの3年間、試合出場もままならず、出場機会を求めて山形に修行中の身だが、この試合では、185cmを生かしたターゲット役と、スペースに流れての基点作りと、CFとして、十二分の働きを見せた。
惜しくもファールで取り消されてしまったが、CKを高い打点のヘディングであわせたシュートシーンなど、潜在能力は底知れない。1年間、J2でコンスタントに出場機会を得るならば、五輪代表への復帰も現実味を帯びてくる。
■ 不運もあった湘南湘南のサッカーは、前半から悪くなかったと思うが、時間が経つにつれて、山形の勢いに押されていって、終盤は、防戦一方になった。
ただ、守備でも攻撃でも、昨シーズンとは、比べ物にならないくらい、しっかりとした意図のあるサッカーが出来ていて、今後の発展も期待できる。
■ アジエルの生かし方昨シーズンまでの湘南は、MFアジエルがボールを持って、アジエルが局面を打開するだけの攻撃だった。ただ、今シーズンの試合を見ていると、うまく、キープ力やドリブルといったアジエルの優れた部分をうまくチームに組み込むことができるようになったように感じる。
依然としてアジエルが攻撃の中心ではあるが、相手チームから見て、MFアジエルさえつぶせば何とかなるというチームではなくなった。
確実に得点の取れるどっしりとしたCFがいないのはウイークポイントではあるが、開幕から、大ベテランのMF加藤望が好調を維持しており、FW石原のスピードも、相手としてはかなりの脅威となっている。DFジャーンの復帰がいつになるのか分からないが、大崩れはしそうにない。
- 関連記事
-