■ 9年ぶりの横浜ダービー「横浜ダービー」、「大阪ダービー」、「千葉ダービー」、「静岡ダービー」、「東京ダービー」と日本にもいくつかのダービーマッチがあるが、その中でも、「横浜ダービー」は特別な意味をもつ。
Jリーグ初年度のオリジナル10チームの中で、同じ都市を本拠地にしたのは、横浜マリノスと横浜フリューゲルスの2チームだけ。多くの日本人は、ダービーとは何かということを、横浜ダービーから学んだ。木村・水沼・ディアス・ビスコンティ・井原・小村・川口・城、エドゥー・モネール・薩川・山口・前田・前園・ジーニョ・サンパイオ・エバイール・楢崎。横浜ダービーのピッチはいつも華やかだった。
■ J1初勝利超満員の三ツ沢球技場で行われた試合は、前半7分のDF早川のゴールを守りきった横浜FCが1対0で勝利。記念すべきJ1初勝利を挙げた。
横浜FCにとっては、「早い時間に先制ゴールを奪って逃げ切る」という、J2時代のお得意のパターンで勝利できたことに、大きな意味をもつ。
■ 悪くないマリノスダービーでは敗れたものの、興味を引いたのは、むしろ横浜Fマリノスだった。試合の内容自体は悪くなく、今後に大きな可能性を感じさせる試合を見せた。昨シーズンまでの主力選手だった、FW久保とMF奥の前で、新しいマリノスのポテンシャルを示した。
ディフェンスラインはDF中澤を中心にそれなりの成果は期待できるので問題は攻撃陣だと開幕前から言われていたが、その攻撃陣にポジティブな要素が現れている。それは、MF山瀬功治とMF乾貴士の存在ということになる。
■ 山瀬の存在感この試合のMF山瀬のプレーはスーパーだった。試合が終了したとき、MF山瀬のゴールが1つも記録されていなかったということは、不運以外の何物でもない。
ユース時代の山瀬は、鋭い得点感覚を備えたシャドーストライカータイプで、常時、試合に参加するというよりは、うまく試合から消えて、決定的なシーンでゴール前に顔を出して仕事をするという選手だったが、そのイメージは、もう過去のものとなった。
この試合で、山瀬がペナルティーエリア付近に近づいたときの危険指数は、他の誰よりも高かった。山瀬のプレーからは、自信がみなぎっている。今シーズン、怪我をすることなく順調にシーズンを過ごすことができれば、相当の数字を残すことだろう。
■ 乾貴史のデビュー戦注目の新人MF乾が、この試合で、Jリーグにデビューした。前半29分、怪我のFWマルケスに代わってピッチに入ったMF乾は、軽快なドリブルで観衆を魅了した。
ここ数年、家長や水野のように、サイドで1対1の状況になったときに、高確率で打開できるタイプのドリブラーは現れていたが、乾のように、ピッチの真ん中で、相手DFを3人・4人とかわしてゴール前に進むことのできるタイプのドリブラーは、久しく出ていなかった。鹿島のMF本山以来だろうか。小柄だが、相手が密集する地帯をすり抜けていくことを生きがいとするかのようなプレースタイルは、元ブラジル代表のジュニーニョ・パウリスタを髣髴とさせる。
確かに、まだミスも多く、危険なエリアでドリブルを開始してボールを奪われるシーンも目立った。試合を通してみると、ダイジェストシーンで見たときよりも印象は薄かったが、お客さんをひきつけるものを持つ選手である。要注目であることに違いはない。
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