■ 重い処分もあるか???3月8日(土)に埼玉スタジアムで行われた浦和と鳥栖の試合で、浦和のサポーター席の入口のところに「Japanese Only」という横断幕が掲げられて、かつ、試合前の選手紹介のときは、一部のファンからFW李忠成に対してブーイングも出たという。この自体を重く見たJリーグから、これまでは前例の無い「無観客試合」や「勝ち点の没収」といった重い処分が下される可能性もあると報道されている。
横断幕を掲げた当事者は「差別をする意図は無かった。」と説明しているというが、その意見は全く通らない。罰金処分になるのか、無観客試合になるのか、勝ち点の没収になるのか、処分内容が注目されているが、当然、クラブは、当事者に損害賠償を請求すべきだと思う。「クラブに全く非が無い。」とは言えないが、問題を起こした人に対しては、毅然とした対応をとらなければならないと思う。
個人的には、罰金処分になると思う。これまでにもスタジアム内で何度か騒動が起こっており、無観客試合か?、勝ち点の没収か?などと議論されたが、結局、そこまでの重い処分が下さることはなかった。サポーターが起こしたトラブルについては、甘い裁定が下されることがほどんとなので、無観客試合になることはもちろん、勝ち点の没収という処分が下される可能性は限りなくゼロに近いと思う。
「選手やその他のサポーターには罪は無い。ただ、クラブには責任があるので、史上最高額の罰金処分とする。」という内容になるのではないかと予想するが、罰金処分に終わると、抑止力がほとんど働かないのも事実である。今後、同じような騒動が起こることは十分に考えられる。したがって、「Jリーグは浦和に対して厳しい対応をすべき。」と考えている人もたくさんいると思う。
■ ブーイングが起こるケース処分の内容よりも気にしなければならないのは、FW李忠成の精神状態である。「本人はあまり気にしていない。」と報じられたが、気にならないはずはない。浦和に移籍してきて、ホーム開幕戦を迎えて、気持ちが高ぶっていた中、こういう騒動が起こって、本当のところはどう思っているのか。「普通の精神状態にある。」とは考えにくい。いろいろとわだかまりもあるだろうと想像する。
スタジアムでブーイングが飛ぶケースは珍しくはない。試合前の選手紹介で相手の中心選手やスター選手にブーイングが出るのは当たり前で、敵・味方関係なく大きな歓声が上がるのは、Jリーグでは横浜FCのFW三浦知くらいである。「相手チームのサポーターにブーイングされるのは勲章」とも言えるので、こういうブーイングに対して拒否感を示す人はほとんどいないだろう。(全くいないとは言えない。)
レフェリーもブーイングの対象になりやすい。試合前のレフェリー紹介のときにブーイングが飛び交うほど有名なレフェリーも何人かいるが、ほとんどは試合中の微妙なジャッジに対するブーイングである。ジャッジに対する過度なブーイングというのは、個人的には逆効果だと思うが、タイミング良く出てくるブーイングというのは、その後の時間帯で味方有利のジャッジを引き出す可能性もある。
内容や結果が芳しくないときにブーイングが出ることもある。そのほとんどが前半終了のタイミングや後半終了のタイミングであるが、ストレス解消でブーイングをするというよりは、選手やクラブを叱咤激励する意味のブーイングである。こういったブーイングも多用したら効果が薄れてしまうが、タイミング良く活用できれば、チームをいい方向に導くこともできるだろう。
■ 理解しがたい行為その他では、ライバルクラブに移った元選手に対するブーイングである。最も有名なのは、バルセロナからレアル・マドリーに移籍したポルトガル代表のMFフィーゴに対するブーイングである。日本でも禁断の移籍に近い移籍は年に何ケースかはあるので、試合中に対象の選手がボールを持っただけ相手方からブーイングが出る試合もある。例えば、名古屋のDF闘莉王などは未だにブーイングの対象になっている。
したがって、ブーイングにもいろいろな種類があるが、味方のサポーターからされるブーイングほど辛いものは無いと思う。上に記述したように試合内容や結果が芳しくないときに発せられる叱咤激励の意味合いが強いブーイングは別として、今回のFW李忠成に対するブーイングのように人種差別に限りなく近いブーイングを浴びる辛さというのは、想像を絶するものがある。
今回の件は、「外国人差別」というよりは「韓国人差別」と表現する方が適切だと思うが、横断幕を作った人、横断幕を掲げた人、ブーイングを浴びせた人は、本当にサッカーファンなのか、浦和レッズのサポーターなのか、疑問に感じる。「サッカーファンが問題を起こした。」とメディアで報じられているが、こういう人たちを「サッカーファン」や「サポーター」と呼ぶのはどうかと思う。
いい選手であったり、試合でいいプレーをした選手に対しては、対戦相手の選手であっても、国籍と問わずに称賛するというのが、サッカーファンとしての基本的な姿勢であり、また、サッカーという競技が好きであるならば、そうなるのが当たり前だと思う。ましてや、(ルーツはともかくとして、)FW李忠成は日本国籍を取得しており、もっと言うと、彼らにとっては自チームにいる味方選手である。
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