■ 第32節J1の第32節。8勝13敗10分けで勝ち点「34」のアルビレックス新潟と、12勝12敗7分けで勝ち点「43」の川崎フロンターレがビッグスワンで対戦した。残留争いは、13位の鹿島が勝ち点「39」、14位の大宮が勝ち点「37」、15位の神戸が勝ち点「36」、16位のG大阪と17位の新潟が勝ち点「34」となっており、新潟にとっては、絶対に勝ち点「3」を獲らなければならない試合となった。
ホームの新潟は「4-2-2-2」。GK黒河。DF村上、鈴木、石川、金珍洙。MF三門、本間、アラン・ミネイロ、田中亜。FWブルーノ・ロペス、ミシェウ。新外国人のMFアラン・ミネイロは2試合連続スタメンで、MF藤田はベンチスタートとなった。得点源のFWブルーノ・ロペスは29試合で5ゴールを挙げている。FW矢野、FW鈴木武蔵、MF酒井宣らがベンチスタートとなった。
対するアウェーの川崎Fは「3-4-3」。GK西部。DF實藤、井川、伊藤。MF中村憲、風間宏希、田中裕、登里。FW楠神、小林悠、レナト。3バックの中央を任されてきたDFジェシは怪我のため欠場で、DF井川が25節以来のスタメンとなった。ここ最近、スタメンに定着しているブラジル出身のFWレナトは31節の浦和戦でハットトリックを決める活躍を見せた。ここまで26試合で9ゴールを挙げている。
■ 小林悠が劇的な決勝ゴール!!!試合の前半はホームの新潟のペースとなる。川崎Fは中盤でミスが多くて、新潟がいいところでボールを奪ってカウンターで攻め込むシーンが目立つ。しかし、なかなか、カウンターのチャンスを決定機に結びつけることはできない。結局、どちらのチームも攻めきることはできず、0対0でハーフタイムに突入する。
後半開始から川崎Fは、FW楠神に代えてFW大島を投入。この交代の効果もあって、アウェーの川崎Fがポゼッションする時間が長くなる。試合の行方を左右するプレーが生まれたのは後半20分で、相手のサイドチェンジのパスをカットしたMF登里を後ろから倒した新潟のDF村上が2枚目のイエローカードを受けて退場。勝たなければならないホームの新潟が10人となる。
その後は、川崎Fのペースとなって、何度か決定機を作るが、新潟のGK黒河が好セーブを見せて、0対0のままで試合が進んでいくが、後半50分に川崎Fは左サイドでボールを持ったFWレナトがドリブルから中央にクロスを入れると、FW小林悠が左足で合わせて待望の先制ゴールを奪う。FW小林悠は今シーズン5ゴール目となった。
結局、試合は1対0でアウェーの川崎Fが勝利して2連勝となった。一方の新潟は、勝てば暫定ではあるが、大宮と神戸とG大阪を抜いて14位まで浮上することができたが、痛すぎる敗戦で2連勝はならず。次節にもJ2降格が決定する可能性が出てきた。新潟は33節は仙台(A)、34節は札幌(H)と対戦する。
■ アクセントになるFWレナト雨の影響があったのか、両チームとも、ボールコントロールのミスであったり、トラップのミスが多くて、あまりいい形を作ることが出来なかった。最終的には、新潟のシュートは6本で、川崎Fは5本だけで、見せ場の少ない試合となったが、最後の最後で、FW小林悠が劇的なゴールを挙げて、川崎Fが1対0で勝利して、J1残留が確定した。
チャンスに落ち着いて決めたFW小林悠も見事だったが、お膳立てをしたFWレナトのドリブル突破とクロスが光った。FWレナトは前節の浦和戦もハットトリックの活躍を見せたが、ここに来て、チームにフィットしてきて、決定的な仕事を連発している。24歳になったばかりで、精神的には幼い選手であり、プレー中は、イライラしていることも多いが、ドリブルで打開できるのは、大きな魅力である。
相馬監督の頃は、「絶対的な存在」として扱われていて、「やり過ぎでは?」と思うほど、積極的なプレーを見せていたが、風間監督になってからは、チームの志向するサッカーに合った選手ではないこともあって、ベンチスタートが多かった。よって、監督交代後は苦労したが、9月頃から馴染んできて、ここ最近は、スーパーな活躍を見せている。独善的なところもあるが、パスだけではチャンスを作るのは難しいので、いいアクセントになっている。
川崎Fは、31節を終えた段階で16位のG大阪と17位の新潟との差が「9」だったので、数字上は、勝ち点で並ばれる可能性もあったが、これで、J1残留が確定した。今シーズンは相馬監督が途中で解任されるなど、波乱のシーズンとなったが、7位や8位あたりを狙える位置に付けている。いい形でシーズンを終えたいところである。
■ 崖っぷちに追い込まれた新潟一方の新潟は、30節で鳥栖に敗れて苦しくなったが、31節で清水に勝利したので、鳥栖戦の敗戦を挽回することができたが、またホームで敗れてしまったので、ホームで2連敗。17位のままで、残りの2試合を戦うことになった。次は、リーグ優勝を狙う仙台とのアウェーゲームとなるが、勝つしかない状況である。残留は厳しくなったが、2連勝すれば、勝ち点「40」に到達するので、可能性はゼロではない。
この試合のポイントになったのは、後半20分のDF村上の退場シーンである。横パスをカットされて、川崎Fがカウンターのチャンスを作ろうとしていたので、後ろからMF登里を倒してしまったが、すでに、後半2分にイエローカードを貰っていたので、手を出したら、退場になることは誰の目にも明らかだった。残り時間は30分程度あったので、冷静に判断して、自重すべきだったと思う。
この退場によって、終盤の戦い方が難しくなった。勝たなければならない試合であり、ベンチには、FW矢野、FW鈴木武蔵なども控えていたが、数的不利の状況で攻撃的なカードを切るのは難しい。結局、DF村上が退場になった直後にDF藤田を投入して右SBに入れたが、2枚目のカードは、後半44分にFWミシェウに代えてFW鈴木武蔵を投入したというもので、積極的な動きはとれなかった。。
新潟は、この日も完封負けとなったが、今シーズンは32試合で24得点しか奪えていない。31節を終えた時点で32失点数という数字は、広島と横浜FMに次いで3番目の少なさなので、守備陣は頑張っているが、しんどい試合が増えている。先制されると苦しくなるので、不用意なボールの奪われ方をしてカウンターを食らうことだけは避けたいが、そういうネガティブな心理状態は「消極性」を生んでおり、思い切りの悪さが目につく。
残り2試合で連勝するしかないが、開き直ってプレーするしかない。今シーズンは、2列目の選手が効果的な働きができず、ウイークポイントになっているが、駒が不足しているのは、どうしようもない。いいときの新潟は、ゴールに近づいたときは、どの選手も思い切りのいいプレーを見せていたと思うので、新潟らしさを思い出してほしいところである。
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