■ 第3節J1の第3節。0勝1敗1分けのコンサドーレ札幌が、ホームで浦和レッズと対戦した。浦和は1勝1敗。開幕戦は広島に敗れたが、2節で王者の柏に1対0で勝利し、今シーズン初勝利を挙げた。20日(火)に行われたナビスコカップも勝利したので、公式戦は2連勝中と結果が残るようになってきた。
ホームの札幌は「4-2-3-1」。GK李昊乗。DF高木純、ジェイド・ノース、奈良、岩沼。MF山本真、河合、近藤、内村、岡本。FW前田俊。スタメン11人は前節と全く同じで、FWキリノ、FW大島らはベンチスタートとなった。清水から加入のMF山本真は、前節の神戸戦で先制ゴールを決めている。ユース出身でルーキーのMF榊がベンチ入りを果たした。
対するアウェーの浦和は「3-4-2-1」。GK加藤。DF坪井、永田、槙野。MF鈴木啓、阿部、平川、梅崎、柏木、矢島。FWデスポトビッチ。U-23日本代表のMF原口はコンディション不良で欠場。仙台戦で負傷したMF山田直は左ヒザ前十字靱帯損傷でロンドン五輪出場も絶望的となった。2列目は怪我人が続出しており、ユース出身でルーキーMF矢島がスタメンに抜擢された。
■ 浦和が逆転勝利!!!試合は、立ち上がりの前半9分にホームの札幌がビッグチャンスを迎える。MF河合のパスからDFラインの裏でボールを受けたMF内村が飛び出して来たGK加藤もドリブルでかわすが、シュートまで持っていくのに時間がかかって、右足で放ったシュートはゴールマウスに戻ってきたGK加藤にキャッチされて先制ならず。
その後はアウェーの浦和がボールを支配するが、前半32分に劣勢だった札幌が先制に成功する。右サイドのコーナーキックを獲得すると、トリックプレーでMF近藤が浮き球のボールをペナルティーアーク付近に蹴る。これに反応したMF山本真がトラップしてから右足でミドルシュートを放つと、GK加藤の反応が遅れてゴール隅に突き刺さって札幌が先制する。ボランチのMF山本真は神戸戦に続いて2試合連続ゴールとなった。
しかし、前半のロスタイムに浦和が同点に追いつく。右サイドのDF平川がファーサイドにクロスを入れると、札幌のDF高木純がかぶってクリアできずに裏に流れると、MF柏木が正確なトラップから得意の左足で豪快に決めて1対1の同点に追いつく。MF柏木は今シーズン初ゴール。前半は1対1で折り返す。
追いついた浦和は、後半18分にゴールやや右寄りの絶好の位置でフリーキックを得ると、レフティのMF柏木が鮮やかに決めて2対1と逆転に成功する。札幌は、FWキリノ、MF榊、FW大島を投入。終了間際にはセットプレーからFW大島がシュートを放つが、GK加藤にセーブされて同点ならず。結局、2対1でアウェーの浦和が勝利し、ナビスコカップを含めると公式戦は3連勝となった。
■ 攻守のキーマンとなるMF阿部勇樹ミラーゲームとなった広島との開幕戦は、攻守に完成度の違いを見せつけられて0対1で敗れたが、柏、仙台、札幌に勝利して、3連勝となった。広島との試合は、ほとんどいい形を作れなかったので、チームが出来上がるまでに時間が必要かと思ったが、ペトロヴィッチ監督は予想以上に早いペースでチームを仕上げてきた。
いい時の広島のように、中盤で鮮やかにパスが回って相手を崩すシーンはあまり見られないが、後ろの守備が安定してきたので、落ち着いたゲームが出来ている。要警戒の札幌のFW前田俊に対しては、ボランチとストッパーでしっかりと囲んでほとんど仕事をさせなかったが、MF阿部、MF鈴木啓、DF坪井、DF永田、DF槙野の5人は、1対1も強いので崩すのは大変である。
中でも、レスターから戻ってきたMF阿部の存在は大きい。攻撃のときは自由にプレーしていて、最終ラインに入ってボール回しに参加したかと思うが、次の瞬間には、スルスルとゴール前に入って行って、シュートを狙うプレーを見せる。高度な判断力が必要となる難易度の高い仕事を任されているが、相手にとっては厄介な存在で、今のプレースタイルならば、ゴール数も増えるだろう。千葉時代の2005年は12ゴール、2006年は11ゴールを挙げているが、二桁近くのゴールを記録しても不思議はない。
■ MF柏木陽介が2ゴールヒーローとなったのはMF柏木で、2ゴールと活躍を見せた。前半の最後のプレーで同点ゴールを決めたが、札幌にとってはダメージの残るゴールで、試合の流れを大きく変えるゴールとなった。札幌のDF高木純のミスもあったが、落ち着いてトラップして左足を振り抜いた。
2点目のフリーキックに関しては、駆け引きもうまかった。MF阿部、MFポポ、DF槙野、MF柏木と、直接ゴールを狙えるキッカーが揃っていたので、GK李昊乗も迷ったと思うが、MF阿部がボールをセットするフリをしてから、MF柏木が左足で狙うと、GK李昊乗はタイミングを狂わされて、飛ぶのが遅れてしまった。シュートコースも良かったが、駆け引きも見事だった。
浦和は、今シーズンからペトロヴィッチ監督が就任したが、DF槙野、MF柏木に関しては恩師であり、力を発揮しやすい環境となった。浦和に移籍してきて、2010年、2011年は空回りすることが多かったが、今シーズンは主力としてプレーできる可能性が高くて、自身の価値を高めるチャンスである。
■ MF山本真希 2試合連続ゴール対する札幌は、3試合を終えて0勝2敗1分けと、初勝利は挙げられていないが、磐田戦、神戸戦、浦和戦と、3試合連続で悪くない試合を見せている。DFジェイド・ノースとDF奈良のセンターバックコンビは、キックが安定しているので、2011年シーズンよりもボールが回るようになって、安易にボールを失うシーンが少なくなったので、意図を感じる攻撃が増えている。
これまでの試合で、面白いプレーを見せているのが、新加入のMF山本真で、3試合で2ゴールと結果も残している。組み立てで貢献するシーンは少ないが、奇抜な動きでゴール前に飛び出して行って、フィニッシュに絡んでおり、ミドルシュートがチームの武器になっている。清水時代からシュート力に定評があったが、自分のいいところを試合中に出せている。
もちろん、ボランチのコンビを組むMF河合の存在も大きい。J1での経験が豊富で、アンカーもこなすことのできる守備力を持つので、MF山本真も安心して、ゴール前に飛び出して行くことができる。J2に降格してからは、MF宮澤がボランチで起用されることが多かったが、今シーズンは、MF河合とMF山本真のボランチコンビとなって、いい関係を築いている。
一方で、気になるのは、前線の守備力が低下していることで、FW前田俊を起用しているので仕方がないが、前線からのチェックが甘くなるシーンが多くて、2列目の選手に負担がかかっている。もちろん、石崎監督も想定済みで、攻撃面に期待をしてFW前田俊を1トップで起用していると思うが、もう少し守備で貢献してくれないと、後ろの選手は大変である。
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