◆ 06シーズンを振り返る ■ 大躍進を果たした06シーズン05シーズンは、残留圏内ギリギリの15位。そのチームが4位と大躍進を遂げた。その予兆は、05年末の天皇杯で、ある程度は感じられたが、若手選手が期待以上に活躍を見せて予想を上回る順位でシーズンを終えた。
システムは、典型的な<4-2-3-1>スタイル。オフェンシブハーフに兵働(2年目)と藤本(1年目)を起用し、サイドにいったんポイントを作ってから、中盤から前の選手が連動してゴールを目指した。組織と自由のバランスはピカイチだった。
■ 目覚しい若手の成長ほんの一年前までは、一般のサポーターにはほとんどなじみのなかった若手の藤本・兵働・枝村・青山の4人が、完全にレギュラーポジションを獲得した。CBの青山は日本代表にも選ばれて、20歳の若さながら、リーグでも有数のDFと認識されるまでになった。
好調を支えたのは、若手選手だけではなかった。ベテランの伊東は中盤で多大な仕事を与えられながら、最後まで息切れすることなく、ベストのシーズンを過ごした。中堅どころの、市川と高木和道も安定感溢れるDFラインの一役を担った。
■ 終盤に失速・・・夏場に快進撃を見せて優勝争いに食い込むかと思われたが、兵働と藤本が怪我で離脱すると、攻撃力不足から、なかなか得点が奪えなくなった。FW矢島やMF高木らも好プレーを見せたが、スタメンの11人と、控え選手との実力差が顕著だった。
また、2トップのチョ・ジェジンとマルキーニョスの2人は、高い潜在能力を持つものの、試合後とに波があって、計算しづらい選手であった。上位3チームには、20得点以上を挙げた絶対的なストライカーがいたのだが、清水には頼れるストライカーはいなかった。
◆ 07シーズンの展望 ■ 進化系を探るシーズン清水エスパルスの07年を一言で表すと、”進化系を探るシーズン”だといえそうだ。06年を見る限り、長谷川監督の戦術的は見事に浸透しており、ウイークポイントはほとんど見つからない。
逆に考えると、戦術面でのノビシロは多くない。基本システムは、4・5年前に流行した<4-2-3-1>型であるが、現在もこのシステムを採用しているチームは少ない。その原因は、サイドに人数を欠ける分、ゴール前の人数が少なくなりがちで、スーパーストライカーがゴール前に控えるチームを除くと、チャンスは作るもののなかなか得点が入らない、というジレンマに陥りがちだから。昨シーズンの清水も、同様の傾向が見られた。
シーズン後半からは、枝村&伊東のダブルボランチの形から、枝村のポジションを少し上げてトップ下気味のポジションに移行する試みも見られた。同様のチャレンジは、今シーズンも続けられるだろう。
■ 兵働のベストポジションは?基本は、兵働が右の攻撃的MFで藤本が左の攻撃的MFで、枝村と伊東がダブルボランチを組む布陣だった。兵働のいる右サイドは、左利きの兵働が中に絞ることで生まれる広大なスペースを右サイドバックの市川がオーバーラップして利用するシーンが多く見られて、攻撃の主たるオプションとなっていた。兵働は大卒2年目ながら、非常にクレバーで戦術理解度の高い選手である。基本技術もしっかりしていてパス能力も高い。味方を使うことに優れている。
06シーズンの兵働のパフォーマンスはハイレベルだった。ただ、これが、彼の最大能力なのかというと、そうは言い切れないように思う。右サイドに位置することで、本来彼がもつ攻撃的精神を幾分か、抑えながらプレーしていたような印象も受けた。本当に右の攻撃的MFがベストのポジションなのかどうか?ボランチやサイドバック、左の攻撃的MFが最適のポジションなのかもしれない。兵働のポジションについては再考する余地があるのではないだろうか。
■ ブレーク必至の藤本と矢島06シーズンの終盤戦。藤本のパフォーマンスは圧巻だった。第32節の川崎戦ではハットトリック。チームのほとんどのゴールに絡んでみせた。同じ左利きの中村俊輔に重なる部分もあるが、スピード感とフィジカルコンタクトの強さは、中村俊輔を上回る。ファンタジスタ系でありながら、身体的な能力も備えており、これだけの選手が、大学リーグでプレーしていたことに、驚きを感じた。2年目のシーズンは、飛躍のシーズンになることは間違いない。
同じ新人の矢島も、印象的なプレーを見せた、得点数こそ伸びなかったが、スピードとパワーは従来の日本人には無い魅力である。ゴール前で、相手DFに挟まれても突破できるだけの能力を備えている。この選手は経験をつんだらきっといい選手になるだろう。
■ 諸刃の剣といえるフェルナンジーニョオフの補強の目玉は、MFフェルナンジーニョをガンバ大阪から獲得したこと。放出されたマルキーニョスが広範囲に動いてボールを受けるタイプだったのに対して、フェルナンジーニョはボールを保持してドリブルで局面を打開するタイプの選手である。
この加入がプラスに出るか、マイナスに出るかは、現時点では分からない。典型的なドリブラーが06シーズンにはいなかったので、彼のドリブルは新しい魅力ではあるが、逆に、ボールを持ちすぎることで、チームのリズムを壊してしまう可能性も秘めている。フェルナンジーニョの能力自体には問題はないが、うまくチームに組み合わせることができるだろうか。
■ 大きな児玉と戸田の獲得06シーズンに京都でプレーした、左利きのDF児玉新の加入が濃厚となっている。昨シーズンは、完全に11人のレギュラーメンバーが固定されていたが、左サイドバックの山西のポジションだけは、山西自身に衰えが見え始めていて、今オフに補強しておきたい箇所だった。
長谷川監督は、昨シーズンは、ほぼ全試合、4バックで試合に臨んだが、左サイドバックに加えてCBでもプレーが可能な児玉の加入で、戦術面で幅広いオプションをもつこととなる。例えば、児玉のポジションを左SDFからCBに移行することで、試合途中に選手交代を行うことなく、バランス重視の<4-2-3-1>スタイルから、右の市川のポジションを高めにすることが可能な<3-6-1>スタイルや、より攻撃的な<3-4-3->スタイルにモデルチェンジすることができる。
また、FC東京のFW戸田の獲得が決定した。どちらかというとパスの出し手が多いこのチームの中では、運動量豊富で献身的な戸田は重宝されるかもしれない。
■ 目標は優勝だが・・・戦力を考えると、現時点では浦和レッズやガンバ大阪には劣るものの、十分に優勝争いに食い込むだけの力をもったチームだと思われる。優勝争いをするためには、CFチョ・ジェジンがコンスタントにゴールを決められるかどうかにかかってくるだろうが・・・。
期待のもてるチームではあるが、過剰な期待はかけない方がいいように思う。この若いメンバー構成であれば、例え、この一年間で思うような成績がおさめられなかったとしても、08シーズンも十分に期待のもてるメンバー構成のままで、開幕を迎えることが可能である。優勝を期待されるチームは、どうしても安全に試合を運ぼうとするし、新しい選手を試すことが難しくなる。チェレンジ精神を忘れることなくチームを熟成させることができれば、面白いシーズンになるだろう。
- 関連記事
-
トラックバックURL:https://llabtooflatot.blog.fc2.com/tb.php/460-bd38b4df
清水エスパルス清水エスパルス(しみず えすぱるす、Shimizu S-Pulse)は、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟するプロサッカークラブ。.wikilis{font-size:10px;color:#666666;}Quotation:Wikipedia- Article- Histor
| トップページ | 人気ブログランキング | Jリーグブログ村 | 全記事一覧 (2018年-2023年) | お気に入りに追加 |