■ 首位攻防戦 3連勝で勝ち点「9」とグループ首位を走るオーストラリアと2勝1分けで勝ち点「7」の日本の対戦。オーストラリアがこの試合に勝利すれば、ワールドカップ出場が限りなく近づくが、対する日本は、ホームで勝てばオーストラリアを逆転してグループ首位に立つことができる。
日本は<4-4-1-1>。GK都築。DF内田、闘莉王、中澤、長友。MF遠藤、長谷部、中村俊、松井。FW田中達、玉田。MF岡崎、FW巻、FW大久保らがベンチスタート。
■ スコアレスドロー 立ち上がりからグループ首位の攻防戦らしく緊張感のある試合となった。
引き分けでもワールドカップ出場が大きく近づくオーストラリアはやや引き気味で、日本はオーストラリアの裏のスペースを積極的に狙って、FW田中達とFW玉田を走らせる。前半5分には、右サイドの裏のスペースに出たFW田中達のグラウンダーのクロスにニアでFW玉田が合わせるがヒットできず。前半は0対0で終了。
後半12分にMF松井に代えてFW大久保を投入。後半の半ばからは日本がセットプレーを中心にクロスボールをゴール前に送り、シュートチャンスを作ろうと試みるが、黄色い壁に阻まれて、なかなかチャンスは作れない。
残り20分になると、試合後半やや疲れの見えるオーストラリアに対して、MF遠藤、FW玉田、MF長谷部が決定的なシュートを放つが、相手GKの堅守もあってゴールは奪えず。
そのまま0対0のスコアレスドローに終わった。
■ 遠かったゴールやや日本有利の判定の影響もあって、前半から何度もセットプレーを得たが、最後まで、ゴールは遠かった。日本にとっても、ワールドカップ出場を考えるとドローでもOKであったため、「無理攻め」はしなかったという理由もあったが、ホームでもう少しいい形を作れてもよかった。
岡田ジャパンになってから、FW玉田の1トップが基本であり、それなりに成熟してきているが、やはりオーストラリアのようなチームを相手にすると、簡単にはいかない。もう少し、FW玉田が中央でボールを受けて突破するなり、ポストに入るなりすることができれば攻撃の幅は広がったと思うが、うまくいかなかった。
FW玉田の1トップというアイディアは悪くないが、行き詰った時にどう変えるのか、バリエーションが全くない状態である。試合中盤にフォワードの枚数を増やすことはあったが、試合開始から2トップあるいは3トップを採用する可能性を探るなど、幅を広げる必要がある。
■ 合格点の守備一方で、戦前に不安視された守備陣は、中盤の協力もあって、オーストラリアにほとんどシュートチャンスを与えなかった。これは、大きな収穫であり、自信につながるものである。両センターバックが相手のロングボールを確実に跳ね返し続けた点は、2006年とは異なるものであり、中でも、この日のDF中澤の出来は出色だった。
また、センターバックだけではなく、両サイドのDF内田とDF長友も、攻守に標準以上の出来だった。特に、右サイドバックのDF内田の突破は、この試合の一番の武器となっていた。得点にはつながらなかったが、アタッキングエリアでもっともアイディアのあるプレーを見せたのは、ピッチ上では最年少のDF内田であった。
■ オーストラリア恐怖症からの脱却ドイツW杯の初戦でショッキングな敗戦を喫したこともあって、日本サッカー界にはオーストラリア恐怖症のようなものが蔓延しているが、思い起こすと、あれだけ散々な内容だったドイツでの戦いでも、後半の終了間際まで日本が1対0でリードしていたというもの事実であるし、近年、大事な試合でオーストラリアに負けたのはあの1試合のみである。
この日の日本代表の試合内容は十分ではなかったが、それでも、オーストラリアに全くと言っていいほど、決定機を与えず、無失点に抑えることに成功した。確かに相手は大きい選手がそろってはいるが、今後、必要以上にオーストラリアを恐れる必要はないかもしれない。
■ 左サイドの松井の起用京都時代にピム監督の指導を受けた経験を持つMF松井を左サイドで起用。左サイドMFは、FW大久保、MF香川の可能性も考えられるが、岡田監督はMF松井を抜擢。立ち上がりから、MF松井のプレーは意欲的で守備面での貢献は光ったが、次第に埋没していった。
松井に期待されるのは、左サイドでボールを持って起点を作る仕事と、サイドを駆け上がってゴール前にいいボールを供給することであるが、なかなかサイドでボールを持つ機会も少なく、たとえ、サイドを突破したとしても中央の枚数が少ないので、効果的なチャンスにつながる確率は非常に低かった。
右サイドのMF中村俊との兼ね合いもあるが、代わりに入ったFW大久保の方が自由にプレー出来ており、相手側からすると危険であった。MF松井のドリブルとキープは武器であるが、この日の相手や中盤の構成を考えると、ミスマッチであり、気の毒な使い方であった。
■ サイドの人選コンディションの問題なのか、思うようにプレーできないことへの不安感からなのか、MF中村俊輔の出来も非常に悪かった。イエメン戦やフィンランド戦では、右サイドMFの位置にMF岡崎が起用されて、3得点を挙げるなど、はつらつとプレーしていたことと比べて対照的だった。
この日の日本代表は、サイドを崩しかけてももゴール前の枚数が少なく、チャンスにつながらないというシーンが多かったが、右にMF中村俊、左にMF松井という配置では、それも致し方ないといえる。
切り札のMF岡崎が起用されたのは後半38分であり、ほとんど仕事は出来なかった。なぜ、FW岡崎を先発で起用しなかったのかは、1つ悔やまれる点である。
■ 俊輔と決別する時①ジーコジャパンが誕生した2002年以降、長期にわたって日本代表の10番を背負い、数々のスーパープレーを見せてきたMF中村俊輔だが、30歳を迎えており、常に、かつてのようなスーパーマン的な活躍を求めるのは酷となってきているのかもしれない。
2003年~2007年当たりのMF中村俊輔であれば日本代表の攻撃が膠着した時、技巧とインテリジェンスで打開してきたが、ここ最近は、難しくなってきてる。
もちろん、キープ力やフリーキックの威力は現代表でも№1であり、貴重な戦力の1人であるのは間違いないが、岡田監督が使い方を誤ると、今後、残りの予選や本大会で致命傷となるかもしれない。
■ 俊輔と決別する時②残念ながら、今のマスコミや代表サポーターを含めた日本サッカー界の成熟度を考えると、もし、俊輔を外して思うような結果が出なかったとき、とてつもない世間の反発が起こる危険性はあるが、アンタッチャブルな存在にしないことは大事である。
この日のように出来が悪かったら途中交代させるのも1つの策であるし、怪我等のコンディション不良のときや相手チームとの兼ね合いを考えて、別の選手の方が持ち味を発揮できる場合、スタメンから外してやることも必要である。
ワールドカップの本大会まで、あと1年半の時間がある。日本代表は、1997年のカズ、2005年の中田英のときと似た問題を抱えていくことになる。
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>アンタッチャブルな存在にしないことは大事
まさに!
俊輔は大事な選手ではあるが、もちろん絶対的な選手ではないし決定力不足を解決できうる人材でもない。
>FW岡崎を先発で起用しなかったのかは、1つ悔やまれる点である。
これも同意!
達也を切り札にし岡崎を先発というのも良かったのではないかと思う。
はじめまして 大胆な意見だなぁと 楽しく読ませて頂きました
要は日本人のミットフィルダーに対する考え方を根本的に考え直す時期なのかなと 私は考えます
サイドで人数をかけて相手守備陣を崩すことを優先するとパサーばかりの構成ではフィニッシュが弱くなるのは必然ですね
外からの崩し+フィニッシュへの対応+ディフェンスへの貢献 全てをクリアする選手こそ モダンサッカーのミッドフィルダーですね(ジェラードのような)
そう考えると 中村俊輔選手は所属するクラブでは右ウイング FWの仕事に専念してるように見えるし セルティックのミッドフィルダーは見事に崩しもターゲットにもなっています
やはり リスクを犯してでもチャンスにはゴール前に顔を出さなければ点には繋がらないということで選手が誰だからという問題ではないとおもわれるのですが・・・
守備は良かったんですが、攻撃が右サイドに少し偏っているのが気になりました。
もう少し左サイドをうまく使えればと思ったので、前回のフィンランド戦で長友といい連携を見せていた安田をベンチに入れて後半半ばからでもいいので使って欲しかった。
後は海外組の扱い方がジーコジャパンほどではないですが、選手のコンディションに関係なく森本を除いて代表に呼んで、試合に使っているのも気になりました。
稲本に至ってはドイツから呼ばれても使われませんでしたから。
いつも楽しく拝見させて貰ってます。
ですが、今回のテーマにはまったく賛同できないです。
現状の日本代表のポゼッションは、複数の司令塔タイプを共存させることで成り立っています。
親善試合等国内組だけで行われる試合ではコンディションや日程等の問題で遠藤或いは中村憲の内ひとりが起用され右サイドにアタッカータイプが起用されることがありますが、その場合ある程度以上のレベルの相手にはポゼッションが著しく低下し相手に攻撃の機会を多く与えることに繋がっています。2度の敵地バーレーン戦での敗戦はいずれもスタメンが中村憲ひとりです。
俊輔の調子が悪ければ替わりに中村憲という選択肢はあると思いますが、その場合前線の枚数不足という問題はなんら解消しないですし、
かといって岡崎のような選手を替わりに使ったとすると、豪州のような相手をあそこまで押し込むことは恐らく難しくなり、失点の危険を大きく増やすことになると思います。試合展開がまったく違うものになっていただろうと思います。
やはり焦点は俊輔のサイドではなく反対サイドの人選ではないかと自分は思いますけどね。
考えてみれば、前線はFWの選手をふたり起用していて、さらに大久保も起用すればFWが三人ということになるわけです。
いまの日本代表は4-5-1のように表記されることが多いですが、起用されている選手の資質からすれば4-3-3のようなイメージにもなりうる。
左サイドに起用される選手が「サイド」という概念に縛られずもっとゴール前への意識を強く持てば良いのではないかと個人的には思います。
松井の場合は難しいですが、大久保はもっとFW然に振舞って良いし、香川も「左サイド」ではなく「シャドー」として振舞えば戦力になりそうなのになあ・・・と。
現状、日本代表のサッカーは中村俊輔選手のFKやアイデアのあるパス、流れを分けるところでのキープなどに頼る部分は大きく、日本が試合を支配できる重要な要因になってると思う。
一方で、プレッシャーの強い試合では、中村選手中心のサッカーに、手詰まり感や中村選手自身の打開力に限界を感じたりすることもある。
私が思うに中村選手がチームの一つの駒として機能すれば、日本代表は2010年WCで世界を驚かせることもできると思う。しかしその存在の大きさから考えて、それは簡単なことではないでしょうね。
0-0で残念でしたね!
ホームだかろこそ勝って欲しかったですが!
松井に期待してたけど突破力なかったな・・。
次回のバーレーン戦で日本の進化が問われますね。
スタメンに長谷部が二人いますよ
中村選手のキープ力やテクニックや経験やキック能力は日本チームにとって貴重な戦力だと見てもいいと思います。中村選手云々ではなく監督が監督の責任を果たすというのがポイントだと個人的には思います。
惨敗→解任→外国人新監督就任 と描いたのですが・・。岡ちゃん就任当初から、もっとよい監督に率いさせてみたい思いが止まらない。オシムラインで紹介してもらえなかったのか。アマル以外で。
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