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【サッカー】『「アシスト未遂」という言葉を使う男の人ってバカっぽくない！？』という話 | | |　

■　Jリーグでアシストを量産する選手たち

Jリーグはそろそろ折り返し地点を迎えるがJ1ではMF清武(C大阪)、MFレアンドロ(FC東京)、MF江坂(柏)、MF脇坂(川崎F)らがアシストを量産している。日本に復帰して4年目のMF清武は「復帰後最高のシーズン」を過ごしており、MF江坂は怪物ストライカーのFWオルンガとのコンビでアシストを量産している。圧倒的な攻撃力を誇る川崎Fでは大卒3年目のMF脇坂がここまで5アシスト。大きな存在感を発揮している。

川崎Fは17試合で52得点を奪っている。1試合平均の得点数がついに「3.00」を超えてしまったのでもはや伝説のチームと言える「1998年のジュビロ磐田」が記録したJリーグ記録となる「3.15」の更新も大いに期待できる状況になっている。他にはDF山根視とFW旗手が4アシスト、MF大島僚とFW三笘とDF登里とFWレアンドロ・ダミアンが3アシストとなる。MF家長とFW小林悠とMF下田はいずれも2アシストになる。

「2アシスト以上を記録している選手」が何と10人もいる。「Jリーグ史上でも最強クラスの攻撃陣」と言えるだろう。一方、J2ではFW町野(北九州)やFW山口一(水戸)やDF福村(東京V)などがアシストランキングの上位に位置する。高卒3年目のFW町野は19節を終えた時点で7ゴール7アシスト。たくさんのゴールに絡んでいる。185センチとサイズに恵まれているが「アシスト能力の高さ」は特筆すべきものがある。

J3では開幕から無敗を続ける秋田のボランチのMF江口(秋田)が主にセットプレーでアシストを量産している。愛媛FCでもプレーしたMF江口の右足のキックの精度の高さはJリーグでも屈指と言える。ここ最近は欠場が続いているが元・日本代表のFW森島康(藤枝MYFC)は8試合で2ゴール7アシストを記録している。ストライカーのFW大石治が加入した今シーズンはアシスト役に回っており、味方をうまく生かしている。

■　日本リーグで最多のアシストを記録したのは・・・。

Jリーグは公式にアシスト数を記録していない。よってシーズン終了後にアシスト王が表彰されることはないが日本リーグ時代にはアシスト数が公式にカウントされており、元・日本代表のMFラモス瑠偉は3度も日本リーグでアシスト王に輝いている。ちなみにパサーのイメージの強いMFラモス瑠偉であるが日本リーグでは2度も得点王に輝いている。過去に2人しかいない得点王とアシスト王の2冠を獲得したこともある。

日本リーグの通算のアシスト数の1位はFW釜本で79アシストとなる。ヤンマーで活躍した。2位は古河電工で活躍したMF永井、3位は読売クラブのMFラモス瑠偉、4位は読売クラブのMF与那城ジョージ、5位はヤンマーのMFネルソン吉村になる。MFラモス瑠偉はもちろんのこと、MF与那城ジョージとMFネルソン吉村も日本に帰化をして日本代表でプレーしている。MFネルソン吉村のキャップ数は「46」となる。

1993年にJリーグが始まるときに「アシストを公式に発表しない。」と報道されたときはかなりの驚きだった。「得点者と比べると基準がはっきりしないのでカウントしにくい。」というのが大きな理由だった。アシスト王が公式に表彰されるのであれば「なぜ、このゴールにアシストが記録されないのか？」、「なぜ、このプレーでアシストが記録されたのか？」など基準を巡って様々な議論が巻き起こるのは確実である。

「余計な批判を浴びたくない。」というJリーグの気持ちはよく分かるが個人的にはJリーグとして公式にアシストをカウントしてアシスト王もアウォーズで表彰すべきだと思う。得点ランキングはいろいろなところで取り上げられて「誰が得点王になるのか？」で盛り上がるがアシストラキングが大々的に取り上げられる機会はほとんどない。アシストを得意にしている選手がクローズアップされにくいのは勿体ない話である。

■　「アシスト未遂」という言葉を使う男

改善を訴えたいが、最近、ネット上で頻繁に使われるようになった「アシスト未遂」という言葉には強い違和感を覚える。海外でプレーしている日本人選手はチャンスメーカーとして活躍する選手が多いが「いいパスを出しながら味方のシュートが決まらずに惜しくもアシストが記録されないケース」は多々ある。「アシストが記録されなくて残念」と思う気持ちはあるがそんなシーンはサッカーの試合ではいくらでもある。

「記録上は○アシストだけどアシスト未遂はたくさんあるので本当のアシスト数はもっと多い。」という風に主張するファンが急に増えてきたが賛同しにくい意見である。しっかりと味方選手が決めてくれたらアシスト数は自然と増えるか、決定機を作ってもなかなかシュートが決まらないのがサッカーというスポーツである。アシスト数の2倍～3倍くらいは「惜しくもアシストにならなかったパス」があるのが普通である。

逆に何でもない横パスを出した後、味方選手が豪快なミドルシュートを決めてアシストが記録されたり、放ったシュートがゴール前にいた味方に当たって or 味方がコースを変えてゴールになってアシストが記録されるケースもある。「ラッキーなアシスト」もそれなりにあるのでアシスト数だけで選手の価値を判断するのはそれはそれであまり良くない話だとは思うがそのあたりのことを言い始めるとキリがない。

熱心なサッカーファンが「にわかファン」とサッカーの話をするときは相当に用心すると思うが、個人的な話をすると、ここ最近、『「アシスト未遂」という言葉を使う人はあまりサッカーに詳しくない人』と思うようになった。マイルドに表現すると「バカっぽいなあ。」とも感じる。「この言葉を使う人は本当にサッカーに詳しいのか怪しい。」と思うワードはいくつかあるが「アシスト未遂」はその1つになりつつある。