■ 2007年のJFLの平均観客動員
Jリーグの準加盟クラブがJ2に参入するためには、ホームゲームの平均観客動員数で3000人以上であることが1つの条件とされる。JFLは18チームの2回戦総当たりのリーグ戦なので、ホームゲームは全17試合。年間で51,000人の観客を集めることが出来るかが、J2入りへの目安である。
この3,000人という数字は簡単なものではない。もちろん、J1レベルの目線でみると、なんてことのない数字であるが、ゼロに近い状態から3,000という数字に持っていくには、とてつもないエネルギーが必要となる。
そこで、昨シーズンのJFLの各クラブの平均観客動員を表すと、次のようになる。
(リーグ全体 → 401,401人、1試合平均 → 1,312人)
表 2007年のJFLの平均観客動員
クラブ名 | 合計入場者数 | 1試合平均の入場者数 |
佐川急便SC | 15,705 | 924 |
ロッソ熊本 | 60,650 | 3,568 |
FC岐阜 | 59,994 | 3,529 |
アローズ北陸 | 11,025 | 649 |
HONDA FC | 10,894 | 649 |
YKK AP | 12,669 | 745 |
横河武蔵野FC | 11,437 | 673 |
栃木SC | 75,762 | 4,457 |
ジェフリザーブ | 7,041 | 414 |
流通経済大学 | 9,541 | 561 |
ソニー仙台 | 9,841 | 579 |
佐川印刷SC | 6,754 | 397 |
TDK SC | 16,711 | 983 |
ガイナーレ鳥取 | 29,832 | 1,755 |
三菱水島FC | 6,291 | 370 |
FC刈谷 | 8,749 | 515 |
FC琉球 | 41,539 | 2,443 |
アルテ高崎 | 6,966 | 410 |
さらに、今シーズンの数字を見てみると、準加盟クラブで、シーズン前にアローズ北陸とYKK APが合併して出来たカターレ富山が平均で4,143人。同じく、JFL1年目のファジアーノ岡山の観客動員数が平均で3,136人。ともに、急激な成長を遂げている。
■ 拡大路線の影と光
Jリーグは拡大路線を貫いていて、将来的には、全国で合計100クラブ程度になることを目指しているという。しかしながら、この拡大路線は、短期的な視野で見ると、マイナスに働く部分が大きい。
例えば、J1にしても、18チームで戦うよりも、16チームあるいは12チームに絞った方がレベルの高い試合が増えるだろうし、いわゆるエリート教育によって、選手も、よりレベルアップするかもしれない。資源となる選手の数は限られているので、「水増しだ。」という批判も強い。
実際、全国、津々浦々にJリーグクラブを作ったとしても、即、何か目に見える形で、結果に結びつくわけではないだろう。それらは土台であり、そこから何をするのか、何が出来るのかが勝負であり、成果が出るとしたら、それからであろう。
だから、拡大路線には、将来的な投資の意味も含んでいるということも考えて、多角的に物事を考えるべきである。「Jリーグのレベルが低下している。」 → 「チーム数の増加が原因だ。」 → 「チーム数を減らすべき。」という単純な思考だけでは、次ステージには進むことは出来ない。
事はそう単純ではない。
ただ、間違いなく言えることは、一般のJリーグファンが知らない地域でも、確実に、サッカーの芽が出始めているということである。