コロナウイルスとの戦いで、いかにキューバが世界をリードしているか?
<記事原文 How Cuba is Leading the World in the Fight Against Coronavirus.>
ミントプレスニュース 2020年3月16日
アラン・マクラウド
<記事翻訳>寺島メソッド翻訳グループ 2020年3月26日
米国政府は 世界中でコロナウイルスを治療する 取り組み を混乱させ、パンデミックを利用して、 イラン、シリア、 ベネズエラ など、米国の制裁下で、すでに苦しんでいる国々 への 圧力 を 高め ている。 そんな中で、小さな島国であるキューバ(キューバも米国の怒りの矛先なのだが)が、COVID-19(以下新型コロナウイルス)の拡大に対する戦いの先頭を走っている。
そして 、切迫したパンデミックの中、トランプ政権が、米疾病管理センターの予算を削減する一方で、中国はコロナウイルスの流行をとめる糸口をつかんだようだ。中国政府の報告によると、今日新型コロナウイルスの新たな症例数は、16件だけであり、現在、中国本土内よりも中国本土外の症例の合計の方が多くなっている。
死亡者数の減少に不可欠なのは、キューバの抗ウイルス薬であるインターフェロンアルファ2bだ。キューバのバイオテクノロジーの専門家であるルイス・エレラ・マルティネス博士 に よると 、この薬は 「症状の悪化や合併症の併発により、死の可能性があるステージにまで進んでしまうことを予防する」そうだ。この薬は、 2003年からキューバの国有製薬業界との提携により中国で生産されている。「インターフェロンというのは“信号を伝える”タンパク質です」。こう説明するのは、グラスゴー大学のキューバ出身ヘレン・ヤフェ博士だ。 「これらのタンパク質は、感染に対応するため、体内で作られ、放出されます。そして、周囲の細胞に抗ウイルス防御を強化するよう警告します。 それは新型コロナウイルスに対する治療法やワクチンではなく、むしろヒトの免疫システムを高める抗ウイルス薬です」。
キューバは、デング熱の流行と戦うためにこの薬を使用していた。デング熱は、蚊に苦しめられているキューバでは普通の伝染病だ。カストロ政府は、絶え間ない米国による禁輸措置のために、強力な製薬産業の開発を余儀なくされた。 これはキューバによる推定だが、キューバは、国連によって継続的に違法と宣言されてきた数十年にわたる米国からの制裁により、 7500億ドル以上の損害を出している。
今日キューバ政府は 、行き場をなくしていたクルーズ船、MSブレーマー号に避難所を 提供した。この船にはコロナウイルス感染者が5名確認されており、バルバドスとバハマ両国から、寄港を拒否されていた。
自国で最初のコロナウイルスの症例を確認したところであったにもかかわらず、キューバは世界中に医療専門家を送り出し続けている。 昨日、ジャマイカの保健大臣クリストファー・タフトン は 、こう発表した。「さしあたり、隣国から21名の看護師が間もなく到着する、これ以降100名を超える看護師がきてくれる、その第1団であればいいのだが」と。しかし、キューバは、イタリアなど、より進んだ国にも医師を派遣している。
ハバナで無償教育を受け、現在はカリフォルニアで実習中のガーナ系アメリカ人医師であるマ・セファ・ボアキエは、 ミントプレスに次のように語った 。 「アメリカでは、キューバが医療面でどれだけ貢献しているかについては聞こえてきません」。さらに、こう主張している。「アフリカには、アフリカの医師よりも多くのキューバ人医師がいます。そして、キューバは、アフリカの国々がアフリカの人達に対して行っているよりも多くの医療研修をアフリカの人達に対して行っています」。ボアキエさんはガーナで在学中に、アメリカ人のための奨学金が受けられることを初めて聞いたそうだ。ボアキエさんは、こう指摘する。「ウイルスの隔離の文化とデング熱との戦いの経験があるキューバは、コロナウイルスと戦うのにより適した場所だ」と。
不十分な検査にもかかわらず、米国では4,000を超える新型コロナウイルスの感染例が見つかっている。ウイルスに対して、政府から、一括するような計画はおりてこず、それぞれの機関がそれぞれ決まりを作るので、対応はまちまちだ。たとえば、ニューヨーク市は明日封鎖され、すべての学校、大学、絶対必要ではない店舗は閉鎖される。一方、他の都市はほぼ完全に通常のままだ。
セファ・ボワチ博士は、ウイルスの蔓延と戦うには、厳格な対策が緊急に必要であると助言した。 「隔離が、感染をとめる唯一の方法でなければなりません」と彼女は言った。 「科学はあなたに教えてくれます。話しかけてみてください。生物学者でもいいですし、基本的な科学の授業を受けた人でもいいです。ウイルスの複製について聞いてみて下さい。複製こそが、ウイルスの本質的な動きなのです。ウイルスには、ウイルス宿主とウイルス源が必要なのです。私がそのことを学んだのは、キューバにおいてです」。 ボワチ博士はまた、「米国で伝染が拡大しているのは、医療基盤が不足しているからだ」と警告した。
世界中で、確認された症例数は今日175,000人以上に達し、死者は6,717人になっている。新型コロナウイルスは現在、世界中の多くの国に到達している。医療専門家は、他の人との接触を必要最小限に抑え、石鹸と水で定期的に手を洗い、顔に触れないようにし、咳やくしゃみをするときは肘で口を覆うよう促している。
世界保健機関(WHO)は、各国が潜在的なすべての症例を確認するよう助言した。 「隠された火と戦うことはできません」。エチオピアのテドロス・アドハノム・ゲブレエサスWHO事務局長は、次のように述べている。 「人間の連帯というこの驚くべき精神は、コロナウイルス自体よりもさらにさらに感染していかなければなりません。しばらくは物理的に離れていなければならないかもしれませんが、これまでなかった方法で一緒に集まることができます。そして、私たちが手を取り合うことしか成功への道はないのです」と、テドロス事務局長は付け加えた。この精神こそが、まさに、キューバの革新的な医療システムを60年間推進してきた精神だ。
Alan MacLeod is a Staff Writer for MintPress News. After completing his PhD in 2017 he published two books: Bad News From Venezuela: Twenty Years of Fake News and Misreporting and Propaganda in the Information Age: Still Manufacturing Consent. He has also contributed to Fairness and Accuracy in Reporting, The Guardian, Salon, The Grayzone, Jacobin Magazine, Common Dreams the American Herald Tribune and The Canary.
ミントプレスニュース 2020年3月16日
アラン・マクラウド
<記事翻訳>寺島メソッド翻訳グループ 2020年3月26日
米国政府は 世界中でコロナウイルスを治療する 取り組み を混乱させ、パンデミックを利用して、 イラン、シリア、 ベネズエラ など、米国の制裁下で、すでに苦しんでいる国々 への 圧力 を 高め ている。 そんな中で、小さな島国であるキューバ(キューバも米国の怒りの矛先なのだが)が、COVID-19(以下新型コロナウイルス)の拡大に対する戦いの先頭を走っている。
そして 、切迫したパンデミックの中、トランプ政権が、米疾病管理センターの予算を削減する一方で、中国はコロナウイルスの流行をとめる糸口をつかんだようだ。中国政府の報告によると、今日新型コロナウイルスの新たな症例数は、16件だけであり、現在、中国本土内よりも中国本土外の症例の合計の方が多くなっている。
死亡者数の減少に不可欠なのは、キューバの抗ウイルス薬であるインターフェロンアルファ2bだ。キューバのバイオテクノロジーの専門家であるルイス・エレラ・マルティネス博士 に よると 、この薬は 「症状の悪化や合併症の併発により、死の可能性があるステージにまで進んでしまうことを予防する」そうだ。この薬は、 2003年からキューバの国有製薬業界との提携により中国で生産されている。「インターフェロンというのは“信号を伝える”タンパク質です」。こう説明するのは、グラスゴー大学のキューバ出身ヘレン・ヤフェ博士だ。 「これらのタンパク質は、感染に対応するため、体内で作られ、放出されます。そして、周囲の細胞に抗ウイルス防御を強化するよう警告します。 それは新型コロナウイルスに対する治療法やワクチンではなく、むしろヒトの免疫システムを高める抗ウイルス薬です」。
キューバは、デング熱の流行と戦うためにこの薬を使用していた。デング熱は、蚊に苦しめられているキューバでは普通の伝染病だ。カストロ政府は、絶え間ない米国による禁輸措置のために、強力な製薬産業の開発を余儀なくされた。 これはキューバによる推定だが、キューバは、国連によって継続的に違法と宣言されてきた数十年にわたる米国からの制裁により、 7500億ドル以上の損害を出している。
今日キューバ政府は 、行き場をなくしていたクルーズ船、MSブレーマー号に避難所を 提供した。この船にはコロナウイルス感染者が5名確認されており、バルバドスとバハマ両国から、寄港を拒否されていた。
自国で最初のコロナウイルスの症例を確認したところであったにもかかわらず、キューバは世界中に医療専門家を送り出し続けている。 昨日、ジャマイカの保健大臣クリストファー・タフトン は 、こう発表した。「さしあたり、隣国から21名の看護師が間もなく到着する、これ以降100名を超える看護師がきてくれる、その第1団であればいいのだが」と。しかし、キューバは、イタリアなど、より進んだ国にも医師を派遣している。
#INPICTURES 📸 | Cuban and Chinese doctors arriving in Italy to assist the health authorities.
— teleSUR English (@telesurenglish) March 14, 2020
Cuba has the interferon Alpha-2B, powerful in the treatment of coronavirus and China has the experience of having overcome the peak of infections in its territory. #COVID19 pic.twitter.com/QonCFE4smv
ハバナで無償教育を受け、現在はカリフォルニアで実習中のガーナ系アメリカ人医師であるマ・セファ・ボアキエは、 ミントプレスに次のように語った 。 「アメリカでは、キューバが医療面でどれだけ貢献しているかについては聞こえてきません」。さらに、こう主張している。「アフリカには、アフリカの医師よりも多くのキューバ人医師がいます。そして、キューバは、アフリカの国々がアフリカの人達に対して行っているよりも多くの医療研修をアフリカの人達に対して行っています」。ボアキエさんはガーナで在学中に、アメリカ人のための奨学金が受けられることを初めて聞いたそうだ。ボアキエさんは、こう指摘する。「ウイルスの隔離の文化とデング熱との戦いの経験があるキューバは、コロナウイルスと戦うのにより適した場所だ」と。
不十分な検査にもかかわらず、米国では4,000を超える新型コロナウイルスの感染例が見つかっている。ウイルスに対して、政府から、一括するような計画はおりてこず、それぞれの機関がそれぞれ決まりを作るので、対応はまちまちだ。たとえば、ニューヨーク市は明日封鎖され、すべての学校、大学、絶対必要ではない店舗は閉鎖される。一方、他の都市はほぼ完全に通常のままだ。
セファ・ボワチ博士は、ウイルスの蔓延と戦うには、厳格な対策が緊急に必要であると助言した。 「隔離が、感染をとめる唯一の方法でなければなりません」と彼女は言った。 「科学はあなたに教えてくれます。話しかけてみてください。生物学者でもいいですし、基本的な科学の授業を受けた人でもいいです。ウイルスの複製について聞いてみて下さい。複製こそが、ウイルスの本質的な動きなのです。ウイルスには、ウイルス宿主とウイルス源が必要なのです。私がそのことを学んだのは、キューバにおいてです」。 ボワチ博士はまた、「米国で伝染が拡大しているのは、医療基盤が不足しているからだ」と警告した。
Happily sharing this pic.twitter.com/zU8lEioDZj
— Dr Sylvie Briand (@SCBriand) March 13, 2020
世界中で、確認された症例数は今日175,000人以上に達し、死者は6,717人になっている。新型コロナウイルスは現在、世界中の多くの国に到達している。医療専門家は、他の人との接触を必要最小限に抑え、石鹸と水で定期的に手を洗い、顔に触れないようにし、咳やくしゃみをするときは肘で口を覆うよう促している。
世界保健機関(WHO)は、各国が潜在的なすべての症例を確認するよう助言した。 「隠された火と戦うことはできません」。エチオピアのテドロス・アドハノム・ゲブレエサスWHO事務局長は、次のように述べている。 「人間の連帯というこの驚くべき精神は、コロナウイルス自体よりもさらにさらに感染していかなければなりません。しばらくは物理的に離れていなければならないかもしれませんが、これまでなかった方法で一緒に集まることができます。そして、私たちが手を取り合うことしか成功への道はないのです」と、テドロス事務局長は付け加えた。この精神こそが、まさに、キューバの革新的な医療システムを60年間推進してきた精神だ。
Alan MacLeod is a Staff Writer for MintPress News. After completing his PhD in 2017 he published two books: Bad News From Venezuela: Twenty Years of Fake News and Misreporting and Propaganda in the Information Age: Still Manufacturing Consent. He has also contributed to Fairness and Accuracy in Reporting, The Guardian, Salon, The Grayzone, Jacobin Magazine, Common Dreams the American Herald Tribune and The Canary.
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