■ デビュー戦の2ゴールは圧巻だったが・・・。ヴィッセル神戸のFWポドルスキはここまで4試合に出場して2ゴール。デビュー戦となった19節の大宮戦(H)はいきなり2ゴールの活躍。千両役者ぶりを発揮したが20節の柏戦(A)、21節の鹿島戦(H)、22節のFC東京戦(A)は不発。チームも大宮戦(H)は3対1で勝利したが、20節から3連敗。「ポルディ効果」で浮上が期待されたがが22節を終えた時点で9勝11敗2分けで勝ち点「29」。11位と期待以下の成績と言える。
デビュー戦となった19節の大宮戦(H)を除くとFWポドルスキもなかなか見せ場を作ることは出来ないので周囲は騒がしくなってきたが「運動量の少なさ」は気になるところでである。表1のとおり、スタメンフル出場した19節の大宮戦(H)の走行距離は8.619キロで、同じくスタメンフル出場した20節の柏戦(A)は8.742キロで、同じくスタメンフル出場した21節のFC東京戦(A)は8.795キロという少なさだった。
後半31分に途中交代した21節の鹿島戦(H)は7.126キロ。90分あたりの走行距離は8.44キロになる。夏場の暑い時期の試合が続いており、どのチームのどの選手も全体の走行距離が少なくなる季節である点を考慮する必要はあるが4試合とも90分換算で9キロにも届いていない。当然、FWポドルスキという選手は運動量の多さを武器にするタイプではないが「走行距離に関してはJ1の中では最低レベル」となる。
表1. FWポドルスキの走行距離 (19節~22節まで)
節 | 対戦相手 | H/A | 出場時間(分) | 走行距離(キロ) | スプリント回数 |
(キロ) | 90分換算 | (回) | 90分換算 |
19節 | 大宮アルディージャ | H | 90 | 8.619 | 8.62 | 10 | 10.00 |
20節 | 柏レイソル | A | 90 | 8.742 | 8.74 | 8 | 8.00 |
21節 | 鹿島アントラーズ | H | 76 | 7.126 | 8.44 | 5 | 5.92 |
22節 | FC東京 | A | 90 | 8.795 | 8.80 | 8 | 8.00 |
■ 暑さの影響なのか活動量は少ない。一方のスプリント回数もフル出場した19節の大宮戦(H)は10回、20節の柏戦(A)は8回、22節のFC東京戦(A)は8回となる。後半31分で途中交代した21節の鹿島戦(H)は5回。鹿島戦(H)の90分あたりのスプリント回数は5.92回となるが、FW登録の選手でスプリント回数がフル出場して10回に満たないというのは相当に珍しい。90分あたりのスプリント回数は「4試合連続10回以下」となるが、かなり寂しい数字である。
FWポドルスキが衝撃デビューを果たした19節の神戸 vs 大宮はノエビアスタジアムで試合を観ていたので、90分間、FWポドルスキの動きに注目しながら試合を観ていたが、2ゴールを挙げたことと同じくらい「ほとんど動かないこと」に驚いた。大宮戦(H)はそれでも2ゴールという結果を残したので「結果良ければすべて良し」で称賛されたが、先行きが不安になるようなパフォーマンスだったのは確かである。
大宮戦(H)のちょうど1週間前にあたる7月22日(土)に行われたベガルタ仙台(@ユアテックスタジアム)との親善試合は前半の45分間だけプレーした。このときは最初から「45分で交代する。」ということが分かっていたと思うので、比較的、運動量は多かった。「想像していた以上に守備でも貢献してくれる。」と評価する人が多かったが、慣れない日本の暑さの中でフル出場するためにはスタミナをセーブせざる得ない。
■ FWフォルランのケースと重なるが・・・。「現時点ではコンディションが万全ではないが試合をこなしていけばもう少し状態は良くなるだろう。」という見方も出来るが、このくらいの活動量がデフォルトであるならば厳しい。パートナーを組むFW渡邉千もそこまで献身的なプレーヤーではないので2トップの動きの量が少ない点は現状の神戸の大きな問題点である。「FWポドルスキを外す。」という選択肢はないと思うのでネルシーニョ監督は大変である。
23節は横浜FM戦(H)、24節は磐田戦(A)、25節はG大阪戦(A)となるので神戸は相当にタフな日程である。一度、ネルシーニョ監督の解任の話が具体化した時期があったが、ここに来ての3連敗。監督の責任とは言い難いところもあるが、開幕前の評価が非常に高かったことを考えると相当に不本意な成績であることは間違いない。次の横浜FM戦(H)にも敗れて4連敗となったら解任の判断が下されても不思議はない。
C大阪に加入したFWフォルランが加入1年目の2014年に力を発揮できなかったときと同じような雰囲気になっている。FWフォルランもFWポドルスキも共にドリブルから1人で決定機を作れる選手ではないので「周りの選手のレベルが低いので良さを出せていない。」という声も出ているが、2014年のFWフォルランと同様でここまで動いてくれないとチームメイトに素晴らしいパサーがいても活躍するのは無理である。
ちなみにFWフォルランは1年目は期待を大きく裏切ったが2年目はJ2で16試合に出場して10ゴールを記録。この年のJ2の得点王に輝いたFWジェイ(磐田)が32試合で20ゴールだったので得点王ペースの活躍だった。2シーズン目のFWフォルランについて語られる機会は少ないが2015年のFWフォルランは2014年のFWフォルランとは全く別人。開幕からモチベーションが非常に高くてスペシャルなところを見せつけた。
加入1年目の2014年はブラジルW杯を控えていた。ここが最大の目標だったのでセーブしながらプレーしていたところもあったと思うが2年目は様変わりした。1年目のFWフォルランは「日本であれば活躍できるだろう。」と舐めていたところがあったと思うが、打ちのめされたことでモチベーションが高まった。しっかりと体を作って来たことがJ2でのゴール量産につながったが、FWポドルスキはどうなるだろうか。
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