■ キリンチャレンジカップのシリア戦アジア最終予選の8戦目となるイラク戦(A)を控えたハリルJAPANが6月7日(水)にシリアと親善試合を戦った。会場は東京スタジアム。B組の日本は5勝1敗1分けで勝ち点「16」。首位に立っているが2位のサウジアラビアとの勝ち点差はゼロ。一方、A組のシリアはここまで2勝3敗2分け。7試合で2得点/3失点。得点力は高くないが失点数の少なさは際立つ。3位のウズベキスタンとの差は「4」。可能性を残している。
日本は「4-1-4-1」。GK川島(FCメス)。DF酒井宏(マルセイユ)、DF吉田(サウサンプトン)、DF昌子(鹿島)、DF長友(インテル)。MF山口蛍(C大阪)、MF今野(G大阪)、MF香川(ドルトムント)、MF久保裕(ヘント)、MF原口(ヘルタ)。FW大迫(ケルン)。DF森重に代わってDF昌子が起用されたが他の10人は3月末のUAE戦(A)と同じ。様々な選択肢がある中で「現時点でベスト」と言える11人がスタメンで起用された。
ベンチスタートになったのはGK東口(G大阪)、GK中村航(柏)、DF槙野(浦和)、DF三浦弦(G大阪)、DF酒井高(ハンブルガーSV)、DF宇賀神(浦和)、MF加藤恒(PFCベロエ・スタラ・ザゴラ)、MF井手口(G大阪)、MF遠藤航(浦和)、MF倉田(G大阪)、MF乾(エイバル)、MF宇佐美(アウグスブルク)、MF本田圭(ACミラン)、FW岡崎慎(レスター)、FW浅野拓(シュツットガルト)という15人。MF宇佐美は追加で招集されている。
■ MF今野のゴールで追いついてドロー試合は立ち上がりからシリアが優勢。激しい守備と素早い攻守の切り替えで主導権を握る。日本は前半7分にMF香川が肩を痛めて負傷交代するアクシデントが発生。MF倉田が投入される。前半は1トップの位置でプレーしたFW大迫の正確なポストプレーが目立ったが、その他の選手はなかなか持ち味を出せず。スイスとベルギーでゴールを量産したMF久保裕も上手く攻撃に絡むことが出来なかった。
後半開始から日本はMF久保裕を下げてMF本田圭を投入するが後半3分にCKからFWマルドキアンにヘディングで決められてシリアに先制ゴールを許す。国際Aマッチは3試合目の出場となるDF昌子がハイボールに対して十分な対応が出来ずに手前でかぶる形になった。ビハインドとなった日本だったが後半13分に左SBのDF長友のグラウンダーの折り返しからMF今野が決めて1対1の同点に追いついた。
直後にMF原口を下げてMF乾を投入。2年2カ月ぶりの代表戦となるMF乾はリーガ・エスパニョーラの最終節のバルセロナ戦(A)で2ゴールを挙げる活躍を見せたがその勢いは継続中。得意のドリブルや意外性のあるパスで攻撃を活性化させる。IHのポジションに移ったMF本田圭には後半29分と後半42分に決定機が訪れるが決められず。逆転のチャンスはたくさん訪れたが決めることは出来ず1対1の引き分けに終わった。
■ いいアピールが出来たMF乾貴士後半3分に先制ゴールを奪うところまでの時間帯は完全なシリアペースだった。アジア最終予選に進出してここまでA組で4位と健闘しているシリアは好チームだった。キリンチャレンジカップは相手チームのモチベーションがあまり高くなくてダレた展開になるケースが多いがシリアのモチベーションが非常に高かったので日本にとっては絶好のスパーリング相手になった。相当に有意義な親善試合になったと言える。
前半の日本は良いところが少なかった。「日本の選手の動きが重かったこと」と「シリアの出来が良かったこと」の2つの理由から内容的には寂しいものになったが、さすがに先制された後はギアチェンジを行って圧倒的にボールを支配して攻め込む展開になった。逆転ゴールを奪うことはできなかったがいい流れでイラク戦(A)に臨むことが出来るのは良かった。前半が良くて後半に停滞する展開よりははるかにマシである。
目立ったのは何と言ってもMF乾である。2年2カ月ぶりの代表戦となったが左SHで躍動した。最後の精度を欠いて直接的にゴールに絡むことはできなかったが大きなインパクトを残した。良くも悪くも攻撃において大きな影響をチームにもたらすことが出来る選手なので試合の流れを変えたいときに投入するカードとしてはかなり強力である。ライバルはたくさんいるがMF乾はいいアピールが出来たと言える。
■ インサイドハーフで好プレーを見せたMF本田圭佑スタメンで起用された選手の中ではFW大迫のプレーが光った。同点ゴールの場面もFW大迫の見事なポストプレーがきっかけになっている。鹿島でプレーしていた頃からポストプレーの上手さに定評のある選手だったがドイツで経験を積んで力強さが格段に増している。アジアレベルであれば潰されることなく確実に起点になることができる。FW岡崎慎やFW浅野拓が競争相手になるが現時点ではFW大迫の一択と言える。
代表デビュー戦となったMF井手口の活きのいいプレーも光った。MF乾にも同じことが言えるが、後半は日本が押し込む展開になったので攻撃の選手も守備の選手も持ち味を出しやすいシチュエーションだった。その点は考慮する必要があるが、アンカーの位置で堂々としたプレーを見せた。同ポジションのMF山口蛍にはいい刺激になったと思うが、MF井手口はIHでも生きるタイプなので併用するのも面白い。
ACミラン退団が確定して移籍先が注目されているMF本田圭は後半の頭から投入されたが出来としては良かった。特にIHにポジションを移してから持ち味を発揮するようになった。ドリブラーではないので右SHよりもIHの方が今の時点では良さを出しやすい。左肩を負傷したMF香川は代表を離脱する可能性が高い。次のイラク戦(A)はMF本田圭とMF今野をIHの位置に並べるのがベターな選択と言えるのではないか。
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