■ 広告料収入で1位になったのは名古屋グランパスJリーグのクラブにとって最大の収入源になるのは「広告料収入」である。2015年にJ1やJ2に所属した40クラブの合計の営業収益は約897.45億円となるがそのうちの約48.0%に相当する430.63億円が「広告料収入」で、約19.0%に相当する170.80億円が「入場料収入」で、約6.4%に相当する57.54億円が「分配金」になる。「広告料収入が減少すること」は大半のクラブにとって死活問題となるのは明らかである。
2015年の各クラブの収支報告書から40クラブの「広告料収入」を調べてまとめたのが下の表1である。営業収益と入場者収入はどちらも浦和が断トツで1位だったが、広告料収入は名古屋が1位だった。トヨタという世界でも有数の大企業がチームを支えており、関連会社からも手厚くサポートされていることが分かる。東海地区はJリーグのクラブが少ない点もグランパスにお金が集中する理由と言えるだろう。
2位は浦和で25.49億円、3位は横浜FMで22.56億円、4位は神戸で21.98億円、5位は大宮で21.83億円だった。名古屋や浦和や横浜FMが上位に位置するのは容易に予想できるが神戸や大宮は意外な気もする。特に大宮は2015年はJ2所属だったので降格したことがマイナスに作用した部分は多かったと思うがそれでも全体で5番目なので「Jリーグの中では屈指の裕福なクラブ」と言える。結果を出して応えたい。
表1. 広告料収入のランキング (2015年度)
【Jリーグ】 2015年の各クラブの広告料収入について |
クラブ名 | カテゴリー | 営業収益(億円) | 広告料収入(億円) | (%) | 入場料収入(億円) |
名古屋 | J1 | 44.46 | 27.75 | 62.4% | 7.27 |
浦和 | J1 | 60.88 | 25.49 | 41.9% | 21.74 |
横浜FM | J1 | 45.67 | 22.56 | 49.4% | 9.48 |
神戸 | J1 | 36.63 | 21.98 | 60.0% | 4.25 |
大宮 | J2 | 30.05 | 21.83 | 72.6% | 3.15 |
柏 | J1 | 30.19 | 19.28 | 63.9% | 5.18 |
G大阪 | J1 | 42.82 | 19.07 | 44.5% | 7.95 |
鹿島 | J1 | 43.11 | 18.61 | 43.2% | 7.88 |
FC東京 | J1 | 46.78 | 17.10 | 36.6% | 9.66 |
千葉 | J2 | 25.04 | 16.41 | 65.5% | 3.60 |
川崎F | J1 | 40.77 | 15.69 | 38.5% | 7.77 |
磐田 | J2 | 29.96 | 15.15 | 50.6% | 3.96 |
C大阪 | J2 | 27.12 | 15.05 | 55.5% | 4.64 |
広島 | J1 | 36.10 | 14.69 | 40.7% | 6.38 |
清水 | J1 | 31.42 | 14.17 | 45.1% | 5.51 |
鳥栖 | J1 | 24.89 | 12.03 | 48.3% | 5.76 |
京都 | J2 | 18.97 | 11.33 | 59.7% | 1.93 |
徳島 | J2 | 17.41 | 10.98 | 63.1% | 1.45 |
新潟 | J1 | 25.10 | 10.38 | 41.4% | 7.11 |
松本 | J1 | 21.49 | 9.23 | 43.0% | 5.97 |
仙台 | J1 | 22.39 | 9.09 | 40.6% | 6.60 |
甲府 | J1 | 15.25 | 7.51 | 49.2% | 3.54 |
札幌 | J2 | 14.20 | 6.13 | 43.2% | 4.24 |
湘南 | J1 | 15.61 | 5.73 | 36.7% | 3.35 |
東京V | J2 | 13.11 | 5.64 | 43.0% | 2.04 |
横浜FC | J2 | 10.02 | 5.60 | 55.9% | 1.56 |
岡山 | J2 | 11.74 | 5.35 | 45.6% | 1.76 |
岐阜 | J2 | 9.99 | 5.16 | 51.7% | 1.31 |
大分 | J2 | 9.58 | 4.97 | 51.9% | 2.45 |
栃木 | J2 | 9.36 | 4.86 | 51.9% | 1.28 |
福岡 | J2 | 16.54 | 4.74 | 28.7% | 2.35 |
山形 | J1 | 18.13 | 4.46 | 24.6% | 2.81 |
長崎 | J2 | 8.97 | 4.40 | 49.1% | 0.94 |
北九州 | J2 | 7.77 | 3.28 | 42.2% | 0.82 |
熊本 | J2 | 7.56 | 3.13 | 41.4% | 1.19 |
群馬 | J2 | 5.48 | 2.90 | 52.9% | 0.71 |
愛媛 | J2 | 5.69 | 2.51 | 44.1% | 0.67 |
讃岐 | J2 | 5.75 | 2.28 | 39.7% | 0.99 |
金沢 | J2 | 5.84 | 2.21 | 37.8% | 0.74 |
水戸 | J2 | 5.61 | 1.90 | 33.9% | 0.81 |
■ 大企業に支えられるクラブが軒並み上位6位は柏、7位は癌、8位は鹿島、9位はFC東京、10位は千葉と続いていく。何だかんだで日本でも有数の大企業がバックにあるクラブばかりである。16.41億円の千葉は全体では10番目で、J2の中では大宮に次いで2番目となる。磐田やC大阪よりも「広告料収入」は多かった。川崎Fは11番目で、Jリーグ王者の広島は14番目だった。鳥栖は意外と多くて全体では16番目。10億円を超えているのは全部で19クラブだった。
徳島は10.98億円でJ2の中では6番目。新潟・松本山雅・仙台・甲府よりも上となる。J1のクラブでは湘南が17番目で5.73億円。東京Vや横浜FCや岡山などと同じくらいである。18番目は山形で4.46億円。J3に降格した大分や栃木SCよりも下になる。J3所属のクラブでは富山が1番目で、2番目が長野、3番目が町田、4番目が福島、5番目が鳥取となる。ブービーは藤枝MYFCで、ワーストはY.S.C.C.横浜だった。
J3のクラブの中では富山や長野は「裕福なクラブ」と言える。この2チームに関しては北九州・熊本・群馬・愛媛FC・町田・讃岐・金沢よりも広告料収入は上となる。ブービーだった藤枝MYFCは約9,900万円で、ワーストのY.S.C.C.横浜は約4,900万円なので経営的にかなり厳しいのは間違いないだろう。2015年はJFLに所属していた鹿児島は1.80億円。山口・秋田・SC相模原・FC琉球よりも広告料収入は多かった。
■ 1位は大宮、2位は千葉、3位は柏、4位は徳島、5位は名古屋最後の表3は「営業収益に占める広告料収入の割合」の高いチームから順番に並べたものである。1位は大宮で72.6%、2位は千葉で65.5%、3位は柏で63.9%、4位は徳島で63.1%、5位は名古屋で62.4%、6位は神戸で60.0%となる。大宮は突出して高い数字になっており、唯一の70%オーバーとなる。60%を超えているのは大宮・千葉・柏・徳島・名古屋・神戸の6チームとなる。J1では柏が最も割合が高い。
平均値を出すとき48.0%になるが、磐田・横浜FM・甲府・長崎・鳥栖・岡山あたりが平均程度となる。横浜FMは広告料収入が多くて全体で3番目となるが、入場者収入も1位の浦和、2位のFC東京に次いで3番目となるのでバランス自体は悪くない。ざっと見るとJ1のクラブよりもJ2のクラブの方が割合が高くなっており、1位から14位に入った14チームの中でJ1のクラブは柏と名古屋と神戸の3チームだけだった。
逆に割合が低いのはJ1では川崎F・湘南・FC東京・山形など、J2では讃岐・金沢・水戸・福岡あたりとなる。2013年の秋に経営危機の問題が発覚して大きな騒動になった福岡は4.74億円で全体では31番目。割合は28.7%で40クラブの中で2番目に低い数字だった。最も低かったのは山形で24.6%だった。詳細は明らかになっていないが山形は「その他収入」が非常に多いことが理由で広告料収入の割合が低くなっている。
表3. 営業収益に占める広告料収入の割合
【Jリーグ】 2015年の各クラブの広告料収入について |
クラブ名 | カテゴリー | 営業収益(億円) | 広告料収入(億円) | (%) |
大宮 | J2 | 30.05 | 21.83 | 72.6% |
千葉 | J2 | 25.04 | 16.41 | 65.5% |
柏 | J1 | 30.19 | 19.28 | 63.9% |
徳島 | J2 | 17.41 | 10.98 | 63.1% |
名古屋 | J1 | 44.46 | 27.75 | 62.4% |
神戸 | J1 | 36.63 | 21.98 | 60.0% |
京都 | J2 | 18.97 | 11.33 | 59.7% |
横浜FC | J2 | 10.02 | 5.60 | 55.9% |
C大阪 | J2 | 27.12 | 15.05 | 55.5% |
群馬 | J2 | 5.48 | 2.90 | 52.9% |
栃木 | J2 | 9.36 | 4.86 | 51.9% |
大分 | J2 | 9.58 | 4.97 | 51.9% |
岐阜 | J2 | 9.99 | 5.16 | 51.7% |
磐田 | J2 | 29.96 | 15.15 | 50.6% |
横浜FM | J1 | 45.67 | 22.56 | 49.4% |
甲府 | J1 | 15.25 | 7.51 | 49.2% |
長崎 | J2 | 8.97 | 4.40 | 49.1% |
鳥栖 | J1 | 24.89 | 12.03 | 48.3% |
岡山 | J2 | 11.74 | 5.35 | 45.6% |
清水 | J1 | 31.42 | 14.17 | 45.1% |
G大阪 | J1 | 42.82 | 19.07 | 44.5% |
愛媛 | J2 | 5.69 | 2.51 | 44.1% |
札幌 | J2 | 14.20 | 6.13 | 43.2% |
鹿島 | J1 | 43.11 | 18.61 | 43.2% |
東京V | J2 | 13.11 | 5.64 | 43.0% |
松本 | J1 | 21.49 | 9.23 | 43.0% |
北九州 | J2 | 7.77 | 3.28 | 42.2% |
浦和 | J1 | 60.88 | 25.49 | 41.9% |
熊本 | J2 | 7.56 | 3.13 | 41.4% |
新潟 | J1 | 25.10 | 10.38 | 41.4% |
広島 | J1 | 36.10 | 14.69 | 40.7% |
仙台 | J1 | 22.39 | 9.09 | 40.6% |
讃岐 | J2 | 5.75 | 2.28 | 39.7% |
川崎F | J1 | 40.77 | 15.69 | 38.5% |
金沢 | J2 | 5.84 | 2.21 | 37.8% |
湘南 | J1 | 15.61 | 5.73 | 36.7% |
FC東京 | J1 | 46.78 | 17.10 | 36.6% |
水戸 | J2 | 5.61 | 1.90 | 33.9% |
福岡 | J2 | 16.54 | 4.74 | 28.7% |
山形 | J1 | 18.13 | 4.46 | 24.6% |
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