2015/04/07
【J2】 1節から5節までのクラブ別の雑感 (C大阪・千葉・札幌・京都・大宮・徳島) 2015/04/07
【J2】 1節から5節までのクラブ別の雑感 (群馬・長崎・岡山・大分・FC岐阜) 2015/04/08
【J2】 1節から5節までのクラブ別の雑感 (熊本・栃木SC・讃岐・水戸・愛媛FC) 2015/04/09
【J2】 1節から5節までのクラブ別の雑感 (磐田・東京V・北九州・横浜FC・福岡・金沢)
ロアッソ熊本 1勝1敗3分け 5得点/5失点 → オフの補強に成功した熊本は5試合で勝ち点「6」。まずまずのスタートを切ったと言える。ここまでの5試合の中で内容が良かったのは3節の愛媛FC戦(A)。スコアこそ1対0の僅差だったが、他にも多くのチャンスを作った。「完勝だった。」と言えるが、1節の水戸戦(A)と2節の群馬戦(H)と4節の福岡戦(A)の出来は今一つで、2対2の引き分けに終わった5節の徳島戦(H)の出来は普通だった。
ということで、内容的にはいいとは言えない試合が多い。それなりに結果が出ているが、「調子が良い。」とは言えない。「前線からのプレッシング」が胆となるチームなので当たり前と言えば当たり前であるが、ロングボールを多用するチームとの相性は良くない。5節までの対戦相手の中で水戸・群馬・福岡といった前線に高さのある大型ストライカーを擁しているチームとの試合は軒並み苦戦を強いられている。
それに対して後方からパスを繋ぐサッカーを志向する愛媛FCとの試合は熊本の良さがフルに発揮された試合だったので、「相手の攻撃スタイル」と「熊本の出来」にはかなりの相関関係がある。187センチのDFクォン・ハンジンが加入したことで最終ラインのハイボールへの対応力は上がっているが、(熊本の良さが出にくい)ロングボール中心のサッカーをするチームを相手にしたときの戦い方が課題と言える。
ということで、狙い通りの展開になったすっきりした試合は少ないが、ここまではキーパーのGK原の活躍が目立っている。プレスがハマらなくて決定機を作られるシーンが多かったがGK原がビッグセーブで防いでいる。187センチと大柄であるが、その割には動ける選手なので、将来性は高い。24歳とキーパーとしては若くてJリーグの試合経験がほとんどない選手を大抜擢した小野監督の期待に応えている。
5試合で5ゴールと「可もなく不可もなく」の攻撃陣では5節の徳島戦(H)で待望の移籍後初ゴールを決めたFW平繁に期待がかかる。FW齊藤和であったり、FW常盤であったり、FW巻と比べると献身性では劣る。FW平繁が1トップの位置に入っているときは「前からのプレスが効きにくくなる」というところもあるがゴール前のプレーは一流。彼が中央で待っていると相手に与える怖さが全然違ってくる。
栃木SC 1勝2敗2分け 5得点/8失点 → 1節が札幌(H)で、2節が横浜FC(A)で、3節が千葉(H)で、4節が徳島(H)で、5節が磐田(A)ということで、序盤はJ1経験のあるクラブとの対戦が続いている。「厳しい日程だった。」と言えるが1勝2敗2分け。厳しい相手との試合が続いたことを考えると開幕5試合は「最低ラインはクリアできた。」と言える。5節の磐田戦(A)は完敗だったが、その他の試合は拮抗した展開で内容は悪くなかった。
やろうとしているサッカーはなかなか面白い。何人かの選手が入れ替わっているが、戦術の浸透度はまずまずで、持ち味である組織力はかなりのレベルである。個々の選手で目立っているのは浦和から期限付きで獲得したFW阪野で、ここまではフォワードの軸として起用されており、4節の徳島戦(H)では初ゴールを記録した。タフに戦えるハードワーカーで、ボールもおさまりもまずまず。欠かせない選手になった。
他には同じく新戦力の左SBのDFパク・ヒョンジンの活躍も目立っている。4節の徳島戦(H)ではCKから2つのゴールをアシストしているが、プレイスキッカーとしても存在感を発揮している。「攻撃力のある左SB」はJリーグには少ない。左SBの人選で苦労しているチームが多い中、DFパク・ヒョンジンの存在は今シーズンの栃木SCのストロングポイントになっている。非常にいい補強が出来たと言える。
また、GK榎本達とGK柴崎邦とGK鈴木智がチームを離れたことで実績のある選手が皆無に近かったので、開幕前に最も不安視されていたキーパーのポジションは磐田から加入したGK竹重が良く頑張っている。FW阪野、DFパク・ヒョンジン、GK竹重と新戦力の活躍が目立つ一方、期待された生え抜きの選手のパフォーマンスはやや物足りない。これから順位を上げていくためには彼らの奮起が不可欠と言える。
攻守の軸であり、「J2でも有数のボランチ」と言えるMF小野寺は2節の横浜FC戦(A)の後半終了間際に「決めたらほぼ勝ち」と言えたPKを失敗して、3節の千葉戦(H)と4節の徳島戦(H)はスタメンから外れた。そして、サポーターの期待を集めている栃木県出身のアタッカーのMF湯澤とMF中美の2人は時折いいプレーを見せるが試合から消えている時間が長い。生え抜きの3人の活躍に期待したい。
カマタマーレ讃岐 2勝1敗2分け 4得点/2失点 → 5節を終えた時点で7位。ここまでのJ2のサプライズチームの1つと言える。昨シーズンはリーグワースト2位となる71失点を喫したが、ここまで5試合で2失点のみ。強豪の磐田に1対0で勝利した3節の試合が象徴的と言えるが、人数をかけてしっかりと守ってセットプレーあるいはカウンターでチャンスを作るスタイルが確立された。狙い通りの形で磐田に勝利したことで選手たちは大きな自信を手にした。
オフに長らく山形の正キーパーとして活躍してきたGK清水健を獲得できたのは大きかった。昨シーズンはキーパーのレギュラーがなかなか定まらなくて、泣き所のポジションになっていたが、今シーズンは逆にキーパーがストロングポイントになっている。ハイボールの処理に関しては少し安定感を欠いているが、最大の特徴である反射神経の鋭さを駆使して失点を防いでいる。5試合で2失点はリーグ最少タイである。
攻撃陣ではMF仲間の加入が大きい。讃岐は攻撃のバリエーションが豊富なチームではなくて、昨シーズンはロングボールとセットプレーとFWアンドレアの突破くらいしか武器が無かった。今シーズンも基本的な戦い方は変わっていないが、この3つに加えて「MF仲間の個人技」が攻撃の武器として新たに加わったので、昨シーズンよりは攻撃が多彩になった。MF仲間も期待通りか、それ以上の活躍を見せている。
新加入選手以外ではFWアンドレアの活躍が目立つ。2トップで一角でプレーするときと左サイドハーフに入るときの2パターンあるが、単独でサイドを切り裂くことができるのは魅力。クロスやシュートの精度が高くないので、彼の突破が直接的にゴールにつながるシーンは少ないが、ドリブルで縦にボールを運ぶことが出来るので、セットプレーを獲得したり、守備陣が休む時間を作ることが出来る。
ここに来て怪我で欠場が続いているが、右サイドハーフでプレーするMF沼田の活躍も印象的。開幕の大分戦(H)では先制ゴールを記録して3節の磐田戦(H)では直接FKで値千金の決勝ゴールをマークした。近隣クラブである岡山戦に強くて「瀬戸大橋ダービー男」と言われているが、キックの精度が高くて、ヘディングでゴールを狙うことも出来る。いいところでゴールを奪う「勝負強さ」も持っている選手である。
水戸ホーリーホック 1勝2敗2分け 3得点/5失点 → 4節の愛媛FC戦(H)は3対1で快勝して今シーズン初勝利を挙げた。この試合は内容でも相手を圧倒した完勝だったが、結局、それ以外の4試合はノーゴールに終わっている。開幕の熊本戦(H)と5節の讃岐戦(A)はスコアレスドローだったので、勝ち点「5」を稼いでいるが、「5試合中4試合が無得点」という結果はかなり不本意で、5節終了時点で16位という順位もかなり不本意と言える。
『5試合で3ゴールだけ』という結果や数字だけを見ると「得点力不足」であり、「攻撃力不足」のように思えるが、決してそういうことはない。シュートチャンスはたくさん作っており、攻撃のバリエーションはかなり豊富で決定機も多い。フィニッシュの精度を欠く場面が多くて、「攻め込みながらも点が取れない。」というフラストレーションの溜まる試合が続いているが、辛抱してやり続けるしかない。
センターフォワードがキーになるだろう。ここまでは湘南から期限付きで移籍してきた186センチのFW宮市剛とFW三島康のどちらかがスタメンで起用されており、どちらが軸になるのかは決まっていないが、ともに高さがある。19歳のFW宮市剛は体が出来上がっておらず、タフさには欠けるが兄と同様にスピードがあって、183センチのFW三島康は言うまでもなくJ2では屈指のストロングヘッダーである。
移籍2年目のMF吉田眞にかかる期待は大きい。「たくさんシュートチャンスを作っているにも関わらず、なかなかゴールが奪えない。」というのはMF吉田眞のシュートがなかなか枠に飛ばないことが主要因の1つなので、ここまでは本領発揮とはいかないが、シュートへの意識が高くて、点を取ることに貪欲な選手である。特大のポテンシャルを考えると15ゴール程度を記録しても全く不思議はない。
守備的なポジションでは大卒ルーキーのDF今瀬に注目したい。184センチの長身で、フィード力が高くて、国士舘大出身で、身体能力も高い。水戸から広島に移籍して日本代表になったDF塩谷を彷彿とさせるが、フィードの部分で苦労している。4節の愛媛FC戦(H)が象徴的と言えるが、フィードのミスで決定機を招くシーンが多いのでかなり苦労しているが、柱谷監督は我慢してスタメンで起用し続けている。
愛媛FC 1勝3敗1分け 4得点/8失点 → 開幕の四国ダービーは内容ではライバルを圧倒してスコアレスドロー。2戦目の福岡戦(H)も前半は相手を圧倒して2対1で勝利。今シーズン初勝利を飾った。2試合を終えて1勝1分け。非常に良いスタートを切ったが、3節以降は3連敗。4節は水戸に1対3で敗れて、5節も金沢に1対3で敗れた。ともにアウェイ戦で、0対3になってから1ゴールを返したが、「2試合連続で完敗だった。」と言える。
急失速の原因ははっきりしている。2節の福岡戦(H)の後半にMF藤田息とMF藤とMF河原の3人が立て続けに負傷をしてプレー続行不可となるアクシデントが発生したが、尋常ではないほどの怪我人の多さに苦しんでいる。「選手層」という点では「J2ではもっとも下のランク」と言えるが、他にもDF村上佑やDF西岡やDF浦田などが怪我で戦列を離れている。ここまで怪我人が続出するとやり繰りは無理である。
2試合で勝ち点「4」といいスタートを切っただけに怪我人の多さには「ツキの無さ」を感じる。Wボランチと最終ラインの3人の顔ぶれが毎試合のように大きく代わる状態では安定した成績を残すのは難しい。ボランチが本職で170センチのDF江口を最終ラインの中央で起用するなど木山監督はいろいろなことに挑戦しているが、とにかく、怪我で戦列を離れている選手たちの早期の復帰が待たれる。
期待された新戦力のFW瀬沼はここまでの5試合はいずれもスタメンで起用されている。5節の金沢戦(A)の前半は2シャドーの位置に入ったが、5試合を終えてノーゴール。期待に応える活躍はできておらず、物足りないパフォーマンスが続いている。FW瀬沼は185センチとサイズがあるが、足元の技術も高くて、スピードもある。万能型のフォワードと言えるが、何を武器にするのかが整理されていない。
FW瀬沼はポストプレーも出来る選手なので、真ん中でどっしりと構えて体を張ったプレーで攻撃の起点になることが一番望まれていると思うが、現状はサイドに流れることが多い。また、動きにメリハリがないので、いいタイミングでボールが出てこなくて、FW瀬沼が生きるシーンはほとんどない。エース候補のFW瀬沼の不出来も大きな誤算で、怪我明けのMF河原のプレーも冴えない。誤算続きの序盤戦と言える。
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