■ ACLの第2節ACLの第2節。初戦はアウェイでKリーグの水原三星に1対2で敗れて黒星スタートとなった浦和レッズがホームの埼玉スタジアムでAリーグのブリスベン・ロアーと対戦した。ブリスベンは2012年以来2度目のACL出場でこのときはFC東京と同組になったが、0勝3敗3分けという成績でグループリーグ敗退となった。2013-14年はアジア王者のウェスタン・シドニー・ワンダラーズを押さえてAリーグを制している。
ホームの浦和は「3-4-1-2」。GK西川。DF森脇、那須、槙野。MF鈴木啓、阿部勇、加賀、宇賀神、柏木。FWズラタン、興梠。2012年にペトロヴィッチ監督が就任してからほとんどの試合で「3-4-2-1」を採用してきたが、この日はFWズラタンとFW興梠の2トップで、MF柏木がトップ下に入った。右WBにはFC東京から加入のMF加賀が起用されて、MF石原直やFW李忠成などがベンチスタートとなった。
対するアウェイのブリスベンは「4-2-3-1」。GKヤング。DFヒンガート、デヴェール、ジェイド・ノース、ステファヌット。MFブラッタン、マッカイ、ボレロ、ブロイヒ、エンリケ。FWカルジェロヴィッチ。オーストラリア代表でも中心として活躍しているMFマッカイが一番のビッグネームと言える。センターバックの一角で元オーストラリア代表のDFジェイド・ノースはFC東京と札幌でプレーした経験がある。
■ 0対1で敗れてACLは2連敗試合は開始3分にアウェイのブリスベンが先制する。高い位置でMF柏木からボールを奪ってMFブロイヒが右サイドにスルーパスを出すと、右サイドハーフのMFボレロが右足でシュート。これがキーパーのGK西川のニアサイドを抜いてゴールイン。開始早々にブリスベンが先制に成功する。いきなりリードを許した浦和は今シーズン初先発となるFW興梠が上手くボールに絡んでいくつかチャンスを作るが、ゴールは遠い。
1対0とブリスベンがリードして迎えた後半開始から浦和はFWズラタンとMF加賀を下げて、MF梅崎とMF石原直を投入。積極的に攻撃を仕掛けてDF森脇とFW興梠の2人が決定機を迎えるが決められず。すると、後半6分に3バックの中央のDF那須のフィードが相手に引っかかって、ゴールキーパーと1対1になりかける。たまらず後ろから引っ張って阻止したDF那須は一発レッドで退場。浦和は10人となる。
1人少なくなった浦和は後半の立ち上がりのような人数をかけた攻撃が出来なくなる。それでも何度かは惜しいシーンを作ったが、シュート精度を欠いて同点ゴールを奪えず。結局、1対0でアウェイのブリスベンが勝利した。ブリスベンは記念すべきACLでの初勝利となった。これで1勝1敗の勝ち点「3」となった。一方の浦和はACLは2連敗。ゼロックスのG大阪戦をを含めると公式戦は3連敗となった。
■ まさかの公式戦は3連敗スタート浦和はオフに大補強を行ってJ1の優勝候補に挙げられているが、公式戦はまさかの3連敗スタートとなった。シーズン前の期待値が高かった分、サポーターの失望は大きい。3月7日(土)に行われるJ1の開幕戦はアウェイでJ2王者の湘南と対戦するが、乏しい内容で湘南に敗れるようなことがあると開幕して間もない時期であるが、ペトロヴィッチ監督が解任されてもおかしくないような流れになっている。
誤算はいくつかあるが、開始3分で失点したのは痛かった。まず最初にMF宇賀神が球際の勝負に敗れたが、MF柏木がボールを拾った。マイボールにすることができたが、判断が遅くなってボールを失ってしまった。その後、手薄になっていたサイドにふられてMFボレロに決められたが、ニアサイドを破られているのでキーパーのGK西川にも責任がある。このときはヤマを張りすぎてしまった。
2連敗中ということでペトロヴィッチ監督はいろいろと動いてきたが、FW興梠をスタメンで起用して、FWズラタンとの2トップを採用したことはかなりの驚きと言えた。結局、後半の頭から「3-4-2-1」に戻したが、予期せぬ2トップだったので「3-4-2-1」を想定していただろうブリスベンは少し混乱していた。結果にはつながらなかったが、2トップを採用したこと自体はなかなか面白いアイディアだった。
不可解だったのはいきなりMF加賀を右WBのスタメンで起用したことである。「MF宇賀神を右WBで起用して、左WBはMF橋本和を起用する。」というのが現時点でのファーストオプションだったが、MF橋本和はベンチスタートで、MF宇賀神を左WBに回した。MF梅崎という選択肢もあるし、MF関根貴やMF平川やDF森脇も右WBでプレーできることを考えると大胆な選手起用だったが、裏目に出てしまった。
MF加賀は本来はCBの選手で「スピード自慢のCB」である。相手チームの高さや強さを考えて「守備力の高い選手をWBに置きたい。」という意図があったと思うが、いきなり先制ゴールを奪われて攻めに出なければなくなったのでプランが狂った。MF加賀は「攻撃力のあるCB」として知られているが、やはり、WBの専門家ではないので、MF加賀のところで攻撃がストップするケースが多かった。
過密日程であることも関係していると思うが、浦和のメンバーはなかなか定まらない。結果が出ておらず、かつ、同じくらいのレベルの選手がたくさんいるので、「それならば違う選手を起用してみよう。」となりがちであるが、そうなるとチームとして成熟することができなくてさらに状況が悪化してしまう。今シーズンの浦和の武器になるはずだった「選手層の厚さ」は今の段階ではマイナス方向に作用しつつある。
■ 退場覚悟で止めに行ったDF那須の判断は正しかったのか?試合のターニングポイントになったのは後半3分の大チャンスでFW興梠が決められなかったシーンである。その直後にDF那須が自らのミスパスが原因で一発レッドで退場となったが、完璧なパスワークで相手の守備網を突破して作った決定機がゴールに結びついていたら、全く違った試合展開になっていたと思うが、相手キーパーに防がれてしまった。浦和にとっては何とも悔しいシーンである。
当然、その直後のDF那須のレッドも痛恨だった。最初のフィードが相手選手に当たって入れ替わられたので後ろから相手選手を引き倒したことが原因で一発レッドとなった。誰がどう見てもレッドカードに値するプレーだったので、この判定は100%正しかったと言えるが、あのような形で相手選手を引き倒したらレッドカードが出ることは十分に分かっていたと思うので、退場覚悟のファールだった。
あの流れなのでファールで止めなかったら完全にキーパーと1対1の形になったと思う。当然、ここで0対2のスコアになると相当に苦しくなるが、キーパーはGK西川なので1対1になったとしても「止めることができる可能性もそれなりにあった。」と考えられる。残り時間が40分以上あったことを考えると、退場覚悟で止める必要はなかったのでは?という気もするが、本能的に手が出てしまうのも理解できる。
後半の浦和の入り方は非常に良くて早々に2つの決定機を作った。11対11のままで進んでいたら、同点ゴールが生まれた可能性はそれなりに高かったと思う。大きなミスだったと言えるが、退場覚悟でファールをして止めたDF那須の判断が正しかったのか?は難しいところである。終了間際であれば退場になってもダメージは小さいが、後半開始早々だったことを考えると自重しても良かったのかもしれない。
先のとおり、今度の土曜日にJ1の開幕戦が行われる。浦和はJ2から昇格してきた湘南と対戦するが、浦和の選手には大きなプレッシャーがかかる。3試合とも内容が極端に悪いわけではないが、流れが良くない。自分たちが優勢のときは非常にいいサッカーができるが、ひとたび劣勢になると必要以上に焦ってしまって自滅する可能性が高くなるのがここ数年の浦和である。湘南との試合は本当に注目の一戦となる。
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