■ Jリーグの選手名鑑を比較する毎年2月中旬から下旬にかけて各出版社から発売される「Jリーグの選手名鑑」を比較する企画も今年で3回目となった。第1回が2013年で、第2回が2014年だったが、この間に大きな出来事が2つあった。1つ目はサッカーマガジンの月刊化で、2つ目はサッカーダイジェストの隔週化である。前者は2013年の末、後者は2014年の末に正式に発表されたが、昨今の出版業界の厳しさを如実に示す出来事だったと言える。
2013/02/27
Jリーグの2013年の選手名鑑(5誌)を比較してみた。 2014/02/24
Jリーグの選手名鑑(4冊)を比較してみた。 (2014年版)サッカーマガジンの選手名鑑は(確認した限りでは)2013年版が最後で、2014年版は発行されておらず、2015年版も発行されないようだ。「長い間、サッカーダイジェストとサッカーマガジンの選手名鑑の2つを買っていた。」というサッカーファンは多かったと思うが、サッカーマガジンの選手名鑑という選択肢が無くなってしまった。ということで、今年は以下の5つを実際に購入して比較してみた。
(1) J1&J2&J3選手名鑑 2015 (サッカーダイジェスト)
(2) Jリーグ選手名鑑2015 J1・J2・J3 (エルゴラッソ特別編集)
(3) ELGOLAZO Jリーグプレーヤーズガイド2015 (エルゴラッソ)
(4) Jリーグ全選手名鑑2015 (日刊スポーツグラフ)
(5) ぴあ Jリーグ観戦ガイド2015 (ぴあMOOK)
(1) J1&J2&J3選手名鑑 2015 (サッカーダイジェスト) ・定価 : 980円 (税込)
・ページ数 : 298ページ
・付録 : クリアファイル
→ 昨年末にサッカーダイジェストが隔週化になることが発表されたとき、「(隔週化になって)サッカーダイジェストの選手名鑑はどうなるのか?」と心配した人は多かったと思うが、無事に2月14日(土)に発売された。「クオリティの低下」も心配されていたが、確認した限りではクオリティは落ちておらず。表紙の右上に「データ満載のナンバー1名鑑」と自分たちで書くほどであるが、『本当にそのとおり』と言える。
変わった点は「一言メモ」が追加されたことと、「プレイングスタイル指標」が追加されたことの2つ。一言メモは30文字程度であるが、オフ・ザ・ピッチでの選手のキャラクターなどが分かるのでなかなか面白い。一方、プレイングスタイルについてはスタッツを元に「決定力」や「ビルドアップ力」や「守備力」などを20段階で表現しようとしていると思うが、出場機会が少なかった選手の数値は参考にはならない。
各選手のプレースタイルを分かりやすく示そうとするのであれば、全て数字に頼るのではなくて、(ある部分では主観になるが、)担当者が独断で決めてしまった方がもう少し有意義な情報になると思う。この点は改善が必要だと思うが、試みとしてはなかなか面白い。内容も充実しており、980円を出す価値はあると思う。「どれか1冊だけ買おう。」と思ったときは、サッカーダイジェストの選手名鑑を買うべきと言える。
※ なお、今年からハンディ版も発売になった。「通常版名鑑と内容は同じのまま、観戦&持ち歩きの最適サイズになりました。」と説明されており、一回りサイズが小さくなって、軽くなったものが同時発売された。定価は880円なのでちょっとだけ安い。「重いので持ち運ぶのが大変」という点を過去に指摘したが、数少ない弱点を補うものである。「スタジアムに持っていきたい。」という人はこちらがベターと言える。
おすすめ度 : ★★★★★★★★★★ (10点満点で10点)
(2) Jリーグ選手名鑑2015 J1・J2・J3 (エルゴラッソ特別編集) ・定価 : 950円 (税込)
・ページ数 : 288ページ
・付録 : なし
→ サッカーマガジンの選手名鑑が無くなって、サッカーダイジェストの選手名鑑の独壇場になるかと思われたが、ここ数年でエル・ゴラッソの選手名鑑が台頭してきた。サッカーダイジェストと比較すると「各選手の寸評」が充実している。選手やクラブに近しいライターが担当していることもあって、エル・ゴラッソの選手名鑑の一番のウリになっている。(※ キャッチフレーズはどうかと思うが・・・。)
その他ではJ3リーグの欄はサッカーダイジェストの選手名鑑よりも少しだけ充実しているように思える。また、各選手のスタッツ、マスコット名鑑、レフェリー名鑑などが充実しているのもエル・ゴラッソの特徴と言える。「サッカーダイジェストの1強」になると面白くないので、エル・ゴラッソの選手名鑑にかかる期待は大きいが、年々、進歩しているように思える。両方を購入して見比べるのも面白いだろう。
おすすめ度 : ★★★★★★★★★☆ (10点満点で9点)
(3) ELGOLAZO Jリーグプレーヤーズガイド2015 ・定価 : 562円 (税込)
・ページ数 : 256ページ
・付録 : なし
→ エル・ゴラッソの小型版であるが、大型版とは全く内容は異なる。ポケットサイズのため、スペースは限られている。情報量が少なくなるのは仕方がないが、表紙に「小ネタの宝庫」と書かれている通り、どちらかというと「くだけた内容」で、各選手の寸評もサッカーとは関係のない話も多い。選手のプレースタイルなど基本的な情報は知っていて、「もう少し突っ込んだ情報が欲しい。」という中級者向けと言える。
ちなみに、表紙に登場するのは「各チームのムードメーカー達」である。浦和のDF森脇、広島のDF千葉、横浜FMのDF比嘉、神戸のDF安田理など。『「チームの顔」が選ばれるサッカーダイジェストの選手名鑑に登場する機会はおそらくないだろう。」と思われる選手を起用しているのも面白いところである。また、その日行われる試合を全て記載した「ジャパンフットボールカレンダー」も役に立つ。
おすすめ度 : ★★★★★★★★☆☆ (10点満点で8点)
(4) Jリーグ全選手名鑑2015 (日刊スポーツグラフ) ・定価 : 550円 (税込)
・ページ数 : 226ページ
・付録 : なし
→ オールカラーであること、軽くて持ち運びしやすいことも特徴と言えるが、最大のウリは各選手(※ J1の選手のみ)の年俸が書かれていることである。「ここに記載されている年俸はあまり正確ではない。」と言われるが、Jリーガーの年俸の情報が記載されるのはここだけ。独自データであり、「あの選手はこれくらい貰っているのか。」、「あの選手は高すぎるだろう。」などと見ながら楽しむことができる。
おすすめ度 : ★★★★★★★☆☆☆ (10点満点で7点)
(5) ぴあ Jリーグ観戦ガイド2015 (ぴあMOOK) ・定価 : 1,080円 (税込)
・ページ数 : 160ページ
・付録 : なし
→ 純粋な意味での選手名鑑とはやや異なるが、毎年この時期に発売される。おそらく、2013年が1発目だったと思う。初めて手に取った時は「これは面白い。」と思った。各クラブごとに「人気のスタジアムグルメ」や「人気の観光スポット」や「人気の土産」などが書かれていた。定番のものだけであるが、いろいろなスタジアムに行こうとする人には非常にありがたい本であり、実際にかなり役に立った。
「こういう本があったらいいなあ・・・。」と思っていたものを作ってくれたので、2013年版については高く評価した。ちょうど1年前に2014年版が発売になったので、さらなる進化を期待して購入したが、内容的には2013年版とほとんど同じだった。「買った意味があまりなかった。」と感じたが、2015年版は大幅にクオリティが低下しており、全くおすすめすることはできない残念な仕上がりになっている。
J1の18クラブについてはまだマシであるが、J2の22クラブはちょこっとだけ「うまいもの巡り」でその土地の名産品が紹介されているだけ。J2のクラブのスタジアムグルメの紹介や観光スポットの紹介は全く無くなった。唯一、J2に初昇格した金沢の情報は満載であるが、それだけである。一部、情報は古くなるが、アウェイに遠征することを考えている人は2013年版や2014年版を購入した方がはるかに有意義である。
2013年版と2014年版のどちらかあるいは両方を持っている人が2015年版を購入する意味はほとんどないし、2013年版や2014年版を購入して「役に立った。」と感じた人が進化を期待して2015年版を購入したら、本当にがっかりするだろう。この内容で1,080円(税込)というのは高すぎる。今回のようなクオリティではほとんど売れないはずで、2016年版が書店に並ぶことはないだろう。とにかく退化の仕方に驚く。
おすすめ度 : ★★☆☆☆☆☆☆☆☆ (10点満点で2点) 関連エントリー 2009/12/18
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