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【J2】今オフの戦力補強の個人別の評価 (札幌・水戸・栃木SC・群馬・大宮編) | | |　

　→　2015/01/09 　【J2】今オフの戦力補強の個人別の評価 (札幌・水戸・栃木SC・群馬・大宮編)
　→　2015/01/10 　【J2】今オフの戦力補強の個人別の評価 (千葉・東京V・横浜FC・金沢・磐田編)
　→　2015/01/10 　【J2】今オフの戦力補強の個人別の評価 (FC岐阜・京都・C大阪・岡山編)

※　毎年恒例のJリーグの移籍に関する個人別の評価です。

　→　この記事は2015年1月8日(木)に書いています。
　→　「確定の移籍情報」はこの時点で反映しているものに限定します。
　→　高卒(ユース卒含む)・大卒のルーキーは個人別の評価の対象外です。

はじめに・・・

「S+」→「S-」→「A+」→「A-」→「B+」→「B-」→「C+」→「C-」→「D+」→「D-」→「E+」→「E-」の12段階で評価しており、「S+」が最上級の評価になります。ちなみに、ここ5年ほど、毎年、「個人別の評価」を行っていますが、「S+」にしたのは昨オフのGK西川(広島→浦和)のみです。「S-」も年に2・3件程度で、「A+」や「A-」もそれほど多くありません。(逆に「E+」や「E-」となるケースも非常に少ないです。)

「選手の能力」は1つの評価対象になりますが、単純に「能力の高い選手(あるいはネームバリューのある選手)を獲得できた。→高く評価する。」というわけではありません。もちろん、その選手の能力や実績はウエイトの大きい部分ですが、「チーム事情にマッチした補強なのか？」、「本当にチームの総合力アップにつながるか？」の2点を重視しており、分かる範囲で獲得にかかったコストも考慮しています。

例えば、GK東口のような代表クラスで中堅世代のキーパー(※ 海外移籍の話もほぼ無い。)がいるチームが他チームで活躍する代表クラスのキーパーを引き抜いた場合、(万一のときは役に立つかもしれませんが、)結局、どちらかしかピッチには立てないので戦力アップになるかというと疑問で、むしろ、そのお金で他のポジションを強化した方が有意義なので、こういうケースは低評価になります。

また、「あの選手は半年や1年ほど、我慢して起用し続けたら、絶対にいい選手になる。」と思える若手選手がいるにも関わらず、同ポジションの日本代表クラスのベテランを獲得した場合、短期的には戦力アップになるかもしれませんが、数年先を考えるとマイナスになる可能性が高いので、こういうパターンも(獲得した選手の実力や実績は評価しますが、)移籍に関する評価は低くなります。

その一方で、「チームのまとめ役になることができる選手」や「人気があって集客力アップに貢献できる選手」などピッチ上以外でもチームに好影響をもたらすことができる選手もいます。また、「即戦力とは言えないが、数年先が楽しみな選手」もいます。単純に「この先の1年間でサッカー選手としてピッチ上でチームに貢献できるか否か。」だけでなく、それ以外の部分もある程度は考慮して評価しました。

コンサドーレ札幌

　MF ニウド (東京ヴェルディ：期限付き)　→　B+
　FW ナザリト(FC岐阜)　→　B-
　MF 稲本潤一 (川崎フロンターレ)　→　B-　
　MF イルファン (ヴァンフォーレ甲府)　→　C-
　DF 福森晃斗 (川崎フロンターレ：期限付き)　C+

　→　目を引くのは元日本代表のMF稲本(川崎F)とJ2で4位タイの17ゴールを挙げたストライカーのFWナザリト(FC岐阜)の2人だが、一番、大きいのはMFニウド(東京V)ではないかと思う。21歳と若い選手であるが、活動力が多くて、チームにダイナミズムを加えることができる。2列目とボランチの両方でプレーできるが、札幌にはいなかったタイプで、かつ、伸びしろも大きい選手なので、1月8日(木)の時点で加入が決まっている5人の選手の中ではMFニウドの加入を一番高く評価した。

FWナザリトは「圧倒的な個の力」を持っているが、周りの選手を使うプレーは得意とは言えない。FW都倉とFWナザリトの2トップになると「ド迫力」で、ポテンシャルという意味では「J1でも上位クラスの2トップ」と言えるが、この2人を同時起用して機能させるのはなかなか難しいと思うので、彼の個人能力の高さは評価しつつ、「B-」と控えめに評価した。注目のMF稲本はフル稼働というのは無理だと思うが、人間性も高く評価されている選手で、チームのブランド力の向上にも大きく貢献するだろう。

水戸ホーリーホック

　FW 宮市剛 (湘南ベルマーレ：期限付き)　→　B-
　MF 岩尾憲 (湘南ベルマーレ：期限付き)　→　B-
　DF 山崎貴雅 (FC刈谷)　→　？？？

　FW 馬場賢治 (湘南ベルマーレ：期限付きから完全移籍)
　MF 吉田眞紀人 (名古屋グランパス：期限付きから完全移籍)

　→　湘南から加入のFW宮市剛はトゥウェンテでプレーするFW宮市亮の弟としてよく知られている。「潜在能力に関しては日本サッカー史上でも屈指」と言える兄と比べると評価はあまり高くないが、186センチとサイズに恵まれている。ストロングヘッダーのFW三島がいるが、元日本代表のFW鈴木隆が抜けているので、長身フォワードが必要なチーム事情である。本人にとっても、レンタル元の湘南にとっても、受け入れ先の水戸にとっても、「いい移籍」と言えるのではないか。

昨オフに期限付きで加入したFW馬場とMF吉田眞の2人を完全移籍で獲得できたことが今オフの大きな収穫と言えるが、新戦力で即戦力の期待がかかるのはボランチのMF岩尾である。湘南でも「第3ボランチ」の地位を築いており、曺貴裁監督の評価は高かったので、実力者を補強できたのは水戸にとってはラッキーだった。一方、東海社会人リーグ(=5部リーグ相当)のFC刈谷のDF山崎(専修大出身)はどういう選手なのか詳しくは分からないが、地域リーグでプレーする選手に夢を与える補強と言える。

栃木SC

　GK 竹重安希彦 (ジュビロ磐田)　→　C-
　DF 尾本敬 (水戸ホーリーホック)　→　C+
　FW 阪野豊史 (浦和レッズ：期限付き)　→　B-
　MF 河本明人 (ヴァンフォーレ甲府：期限付き)　→　B-

　FW 西川優大 (カターレ富山：期限付きから完全移籍)
　MF 本間勲 (アルビレックス新潟：期限付きから完全移籍)
　MF 荒堀謙次 (湘南ベルマーレ：期限付きから完全移籍)

　→　何人かの主力が抜けており、台所事情の苦しさを感じさせるオフになっているが、MF小野寺、MF廣瀬、DF山形辰の残留が決まったのは良かった。FW大久保(→横浜FC)、FW重松(→未定)、MF近藤祐(→北九州)の3人が抜けているので、攻撃的なポジションの強化が不可欠だったが、MF河本(甲府)とFW阪野(浦和)の加入が決定した。ともに期限付き移籍となるが、両者ともある程度の出場機会は与えられるはずで、攻撃陣の顔ぶれを考えると「活躍してもらわないと困る。」という存在である。

大卒3年目となるFW阪野については浦和ではなかなか出場機会を得ることができなかったので、「移籍はあり得る。」という情勢だったが、MF河本については甲府で「貴重な戦力」になっていたので、カテゴリーが下のクラブに移籍することはちょっと予想できなかった。アグレッシブな選手なので期待大と言える。実力者3人が退団したキーパーの補強がなかなか進んでいない点は気になるが、レンタル移籍で活躍したFW西川、MF本間、MF荒堀の3人を完全移籍で確保できたのは朗報である。

ザスパクサツ群馬

　MF 松下裕樹 (横浜FC)　→　B+
　DF 小林亮 (モンテディオ山形)　→　C-
　MF 吉濱遼平 (湘南ベルマーレ)　→　B-
　GK 鈴木雄太 (湘南ベルマーレ)　→　D+

　→　今オフのJ2の移籍市場で「もっとも苦戦しているクラブ」と言わざる得ない。FW平繁(→熊本)、FWダニエル・ロビーニョ(→京都)、DFクォン・ハンジン(→熊本)、MF瀬川(→山形)と攻守の軸となる選手が相次いでチームを離れて、MF青木孝(→未定)、MF加藤弘(→北九州)、MF永田(→讃岐)も抜けたとなると、イチからチームを作り直すことになるだろう。横浜Fなどで活躍した服部新監督は指導者として豊富な経験があるわけではないので、難しいシーズンになるのは間違いないだろう。

経営難の問題があるので、補強はなかなか進んでいないが、MF松下裕(横浜FC)がチームに復帰してきたのは大きい。メンバーが大きく変わる中、精神的な支柱になれる存在がいないとチームがバラバラになる危険性がある。戦力としてはもちろんのこと、チームのまとめ役になることも期待される。DF久富やDF夛田やDF小柳がいるSBは充実しているポジションなので、DF小林亮(山形)の獲得は意外に感じるが、打開力があって、攻撃にアクセントを加えることができるMF吉濱(湘南)はいい補強と言える。

大宮アルディージャ

　→　移籍の可能性があったFWムルジャとMF家長を引き留めることができたことは何よりも大きい。この2人に加えて、大卒2年目となるMF泉澤がいれば攻撃に関しては何とかなるだろう。また、2013年の途中にJ2の岡山にレンタル移籍したFW清水慎はJ2でかなりの試合経験を積んでチームに戻って来る。岡山では思うような結果を出すことはできなかったが、FWズラタン(→浦和)とFW長谷川(→徳島)が移籍してCFの層が薄くなっているので、大宮でもある程度の出場機会は得られるだろう。

1月8日(木)の時点で加入が決まったのは新卒を除くと4人だけ。選手層がかなり薄くなっており、流出分を補う補強ができているとは言い難いが、ユーティリティー性の高いMF大屋(神戸)を獲得できたのは大きい。注目のキーパーはGK北野(→未定)とGK江角(→未定)が抜けて、GK塩田(FC東京)とGK加藤(浦和)の加入が決まったが、タイプは全く異なる。守護神がどちらになるのか？は監督の好みが強く影響するだろう。GK北野 or GK江角→GK塩田 or GK加藤であれば「キーパーの質はややアップ」と言える。

　FW 清水慎太郎 (ファジアーノ岡山：レンタル復帰)　→　C+
　MF 大屋翼 (ヴィッセル神戸)　→　B+
　GK 塩田仁史 (FC東京)　→　B-
　GK 加藤順大 (浦和レッズ)　→　B-