■ ブンデスリーガの第4節ブンデスリーガの第4節。1勝2分けとまずまずのスタートを切ったマインツと、2勝1敗のドルトムントがコファス・アレーナで対戦した。ドルトムントはミッドウイークに行われたCLの開幕戦のアーセナル戦(H)は2対0で快勝して白星発進となった。ブンデスリーガの開幕戦はレバークーゼンに0対2で敗れたが、公式戦は3連勝中と結果が出ている。
ホームのマインツは「4-2-3-1」。GKカリウス。DFブロンシンスキ、ベル、ディアス、ハラ。MFガイス、バウムガルトリンガー、アラギ、モリッツ、ホフマン。FW岡崎慎司。日本代表のFW岡崎慎は3節のヘルタ・ベルリン戦で2ゴールを挙げるなど3試合で3ゴールと好スタートを切った。22歳のMFホフマンはドルトムントからのレンタル移籍となる。
対するドルトムントは「4-2-3-1」。GKヴァイデンフェラー。DFピズチェク、ギンター、パパスタソプーロス、ドゥルム。MFヨイッチ、ベンダー、オーバメヤン、香川真司、グロスクロイツ。FWアドリアン・ラモス。CLのアーセナル戦(H)は出場機会がなかったMF香川はリーグ戦は2試合連続スタメンとなった。18歳のMF丸岡がベンチ入りを果たした。
■ 2対0でマインツが勝利試合は立ち上がりからドルトムントがボールを保持して、マインツがカウンターで攻めるという予想通りの展開となる。ドルトムントは右SBのDFピズチェクのところから何度かチャンスを作るが、CLのアーセナル戦から中3日ということもあって全体の動きは重たくて、しっかりと人数をかけて守るマインツの守備を崩すことができない。
0対0で迎えた後半20分にFWアドリアン・ラモスとMF香川を下げて、FWインモービレとMFムヒタリアンを投入。勝負に出るが、直後の後半21分に右サイドの裏を取った途中出場のMFハイロの折り返しをFW岡崎慎が合わせてホームのマインツが先制に成功する。FW岡崎慎は2試合連続ゴールで、早くも今シーズン4ゴール目となった。
しかし、後半24分にドルトムントのCKから相手のシュートに対してブロックを試みたFW岡崎慎がハンドを取られてドルトムントにPKが与えられる。絶体絶命のピンチだったが、FWインモービレのシュートをキーパーのGKカリウスが防いで同点とはならず。逆に後半29分にDFギンダーのオウンゴールを誘って貴重な2点目のゴールを挙げる。
2点ビハインドのドルトムントは後半35分にMFベンダーに代えてMF丸岡を投入。記念すべきブンデスリーガ1部での初出場となったMF丸岡はドリブルで2人をかわして相手のイエローカードを誘発するなど好プレーを見せたが、そのままマインツが2対0で勝利してリーグ戦では2連勝となった。一方のドルトムントは2勝2敗となった。
■ FW岡崎慎は4試合で4ゴール目マインツは昨シーズンは7位と好成績を残したが、オフに主力の数名が抜けた。残留争いに巻き込まれるのではないか?とみられていたが、開幕4試合で2勝2分けと素晴らしいスタートを切った。残念ながらELの予選を突破できなかったので、欧州の舞台に挑戦する権利は逃したが、リーグ戦の方に集中することができるのはプラス材料である。
この日はFW岡崎慎とMF香川の「シンジ対決」に注目が集まったが、1ゴールを決めたFW岡崎慎に軍配が上がった。ゴールシーンはMFハイロの飛び出しとクロスも良かったが、一番、点の取れる位置に入ってきて、うまく右足で合わせた。強めのクロスは当たりどころが悪いと大きくふかしてしまう可能性が高くなるが、うまいシュートになった。
FW岡崎慎は4試合で4ゴールとなったが、3節のヘルタ・ベルリン戦の2点目のゴールにしても、この日のゴールにしても、味方が信頼してラストパスを供給してくれるのは有難いところである。この日はドイツでの100試合目だったが、通算では29ゴール目となった。サイドハーフで起用されることも多かったことを考えるとなかなかのペースである。
ポストプレーも良かった。1トップでプレーしているのでFW岡崎慎のところにボールは入って来るが、難しいボールもたくさん入って来る。相手のCBを背負っている状態でパスを受ける機会が多くて、ここでつぶされてしまうと相手にセカンドチャンスの機会を与えることになるが、この日は背負った状態でボールを受けたときも安定感があった。
リーグ屈指の強豪チームのドルトムントからゴールを奪ったことに価値がある。マインツはそこまで注目度の高いチームではないので、その他大勢のチーム扱いされてしまう。ドイツ国内での評価や知名度は上がりにくいが、人気チームのドルトムントを相手にゴールを決めることができると評価や知名度は上がって来る。
■ MF香川に関する3つのポイント一方のMF香川はCLのアーセナル戦(H)は出場機会がなかったので、2試合ぶりのスタメンとなった。0対0のスコアだった後半20分までプレーしたが、シュートシーンに絡むことはできなかった。前回の試合で足を攣って交代したので、コンディションの問題も考慮されていると思うが、復帰2戦目のマインツ戦(A)は不完全燃焼に終わったといえる。
ただ、キレはあった。なかなか後方からいいボールが入って来なくて苦しんだが、ドリブルで相手をかわしてチャンスシーンに拡大させたシーンは3度ほどあった。いい形でボールを受けるシーンが少なくて、見せ場となるシーンは少なかったが、プレーの質は低くなかった。MF香川単体で考えるとパフォーマンスとしては決して悪くなかった。
今回、ドルトムントで活躍できるかどうか?のポイントになるのは、体力的な問題と、ゴール前の得点感覚の問題と、クイックネスの問題の3つだと考えられる。1つ目の体力的な問題というのは今の時点では「良好」とは言えないが、何試合かスタメンで起用されて長時間プレーすることで自然と改善してくる話なので、大きな問題とは言えないだろう。
2つ目のゴール前の得点感覚の問題はまだ何とも言えない。マンチェスターUのときはサイドハーフでプレーすることが多くて、ゴール前に入って行く機会が少なかったし、さらにはゴール前に入っていったときのシュート意識も高くなかった。一番のウリである「得点感覚」が失われてしまったのではないか?という懸念はこの段階では拭えない。
3つ目のクイックネスの問題もキーになってくる。前回、ドルトムントでプレーしたときはMF香川のドリブルに相手が付いてこれなかったが、年齢を重ねたり、肉体改造をして強さを身に付けようとしたときに失われる可能性がある。マンチェスターUのときはプレミア基準のジャッジにも悩まされて、仕掛けたときにつぶされるシーンは目立った。
3つの中でもっとも気になるポイントが3つ目と言えるが、この日は軽快な動きで相手をかわすシーンが何度か見られた。こういったプレーが1試合の中で何度かできれば攻撃の中で「違い」を生み出すことができる。初戦のフライブルク戦(H)はあまり見られなかったが、マインツ戦(A)ではいくつからしいプレーができた。まずは一安心と言える。
■ 18歳のMF丸岡が堂々のデビュー「シンジ対決」ということでFW岡崎慎とMF香川に注目が集まったが、ドルトムントのMF丸岡も開幕戦のレバークーゼン戦に続いてベンチ入りを果たした。ドルトムントが大量リードを奪うなど、余裕の展開になったときに出場機会が巡って来るかと思ったが、0対2という2点ビハインドの状態で投入されて、ドイツ1部リーグでのデビューを飾った。
先のとおり、中盤でボールを受けてドリブルで2人をかわして相手のイエローカードを誘発するなど、なかなかいいプレーを見せた。2点ビハインドだったので、ボランチの選手も攻撃的にいく必要がある展開だったが、ベンチの意図をよく理解しており、積極的にプレーできたのは非常に良かった。申し分のないデビュー戦となった。
1996年1月6日生まれなので、まだ18歳である。そのままC大阪のトップチームに進んでいた場合でも、「この時期までにJ1の試合でデビューを果たすことができたならば御の字」と言えたが、この時期に欧州でも屈指の強豪クラブであるドルトムントのトップチームで出場機会を得ることができるというのは快挙であり、すごい話である。
今、ドルトムントは怪我人が続出している。チーム事情も関係しているが、同ポジションのMFベンダーやMFケールはどちらかというと守備に特徴のある選手で、司令塔タイプのMFギュンドガンは長期離脱中で復帰を目指している途中で、セルビア代表のMFヨイッチが組み立て役を担っているが、軽率なミスが多くて、リズムを壊しているところもある。
同じく司令塔タイプのMFシャヒンも怪我で戦列を離れているので、攻撃に特徴のあるボランチがやや不足している状態なので、MF丸岡にとっては絶好のチャンスと言えるが、最初のチャンスを生かすことができたと言える。スタメンというのはちょっと難しいと思うが、この日のように短い時間でアピールして出場機会を増やしたいところである。
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