■ ACミラン移籍が決定CSKAモスクワに所属する日本代表のMF本田圭のACミランへの移籍が決定した。ここ最近は、移籍市場がオープンするたびに「MF本田圭が○○に移籍か!?」というニュースが流れた。有名選手の宿命とも言えるが、欧州の有力クラブで「MF本田圭の獲得に興味を持っている。」といった風に名前が挙がらなかったチームを探す方が難しいほど、たくさんの噂が流れたが、ようやくACミラン移籍が決定した。
今シーズンのACミランは調子は今一つで、セリエAでは15節を終えた時点で4勝5敗6分けで「9位」と低迷している。低迷打破の切り札の1人として期待されるのは間違いないだろう。(CLは2勝1敗3分けで勝ち点「9」。バルセロナに次いで2位でGLを突破を決めているが、CSKAモスクワでCLに出場しているのでMF本田圭はACミランのメンバーとして決勝トーナメントに出場することはできない。)
ACミランというと、多くのサッカーファン(特に30歳以上の人)にとっては特別なチームである。1990年前後にオランダ人トリオを中心として黄金時代を築いたACミランは、毎年のようにトヨタカップに出場していた。結局、1989年から1994年までの6年間で4回もトヨタカップに出場しているので、「寒い時期にACミランが来日して国立競技場で試合をする。」というのが当たり前になっていた。
1989年から1994年というのは、日本でサッカー人気が爆発的に高まった時期だったが、現代とは全くサッカー環境は違っていた。欧州の一流選手のプレーを生で観る機会がほとんどなかったのはもちろんのこと、(録画も含めて)フルタイムの映像で試合を観る機会というのもほとんどなかった。(そして、もちろん、ネット上で試合やプレーの映像を観るようなこともできなかった。)
そのため、「トヨタカップ」というのは、日本のサッカーファンにとっては一大イベントだった。「この時代のトヨタカップの試合をビデオに録画をして、数えきれないほど何度も繰り返して試合を観た。」という思い出がある人は、日本全国にたくさんいると思う。そういう感じだったので、「ACミラン」というチームを特別に感じる人が多くて、「ACミラン好き」のサッカーファンは非常に多い。
■ 日本では特に人気のクラブそのため、インテルに移籍したときのDF長友、マンチェスターUに移籍したMF香川のとき以上に「ACミラン入り」に興奮している人はたくさんいると想像できるが、MF本田圭というプレーヤーに対する評価で面白いのは、「MF本田圭のようなタイプは欧州ではたくさんいる。」という意見と「MF本田圭のようなタイプは欧州では珍しい。」という全く真逆の異なる2つの意見があることである。
確かに、前者のような意見も分からないでもない。182センチで、フィジカルが強くて、強烈なシュートを持っている選手というのは、日本人では珍しい。なので、「日本人ではほとんどいないタイプ」であることは間違いないし、「サイズ」や「パワー」といった部分をクローズアップすると、MF本田圭に匹敵する選手は欧州には存在すると思うが、ありふれたタイプかというとそういうわけではない。
例えば、マンチェスターUのMF香川のようなタイプは、日本でも、欧州でも、南米でも、少なくは無い。もちろん、MF香川ほどの「運動量」や「得点力」がある選手は世界中を探してもほとんどいない。それ故、マンチェスターUのような大きなクラブでプレーすることができるが、ことに近年は、MF香川のようなタイプがいないと相手の守備網を突破できないので、どのチームも似た系統の選手は揃えている。
それに対して、MF本田圭のようなタイプというのはかなり珍しい。彼の一番の武器はインテリジェンスだと思うが、「MF本田圭のような欧州にはたくさんいる。」と主張する人も、『MF本田圭に似たタイプの選手を挙げてください。』と言われると困るだろう。したがって、その分だけ希少価値は高くなるが、同じようなタイプがほとんどいない分だけ、「使い方」や「起用方法」はちょっと難しくなる。
■ 漫画の世界を追い越した???このあたりが、なかなか移籍を希望しながら実現されなかった理由の1つだと思うが、それにしてもACミランである。しかも、10番である。フリット・ライカールト・ファンバステンの「オランダトリオ」を中心に栄華を極めた20年ほど前のACミランと異なるのは間違いないが、「伝統あるクラブに日本代表の中心選手が加入」というのは、多くの人にとって、テンションの上がるニュースである。
しかも、「青田買い」で獲得されたのではなくて、即戦力として期待されてチームに合流することになる。「キャプテン翼の世界を超えた。」と言う人もいるが、確かに、そのように感じる人が出てくるのは自然なことである。キャプテン翼の世界では、翼くんと若林くん以外は、なかなか欧州リーグで活躍できずにいる。『漫画の世界を現実が追い越してしまった。』と言っても言い過ぎではない。
未だに、1万人にも満たない長居スタジアムで、文字通り、やりたい放題やっていた18歳や19歳や20歳の香川真司と、オールド・トラフォードでプレーしているShinji Kagawaが同一人物だと思えないときがあるが、瑞穂陸上競技場で(時には左SBでプレーしていた)本田圭佑と、世界の舞台で活躍しているKeisuke Hondaの間に感じる何とも言えないギャップは「香川真司とShinji Kagawa」以上のものがある。
以前、DF長友がインテルに移籍した時、MF中村俊が「インテルで成功できるかどうかを議論するのはナンセンス。インテルに入団した時点で成功と言える。」という趣旨のコメントしていたが、確かに、ACミランへの入団というのは、1つの到達点である。「ミラノダービー」という世界中が注目する舞台で2人の日本人選手が対戦するとシチュエーションは、想像するだけでワクワクする。
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