■ GLの3戦目U-19アジア選手権のGLの3戦目。初戦はイランに0対2で敗れて、2戦目はクウェートに1対0で勝利したU-19日本代表は、地元のU-19UAE代表と対戦した。グループAは、イランが1勝1分けで勝ち点「4」、日本が1勝1敗で勝ち点「3」、UAEが2分けで勝ち点「2」、クウェートが1敗1分けで勝ち点「1」となっている。
3戦目は日本とUAEが対戦して、イランとクウェートが対戦するが、日本は勝てば無条件で決勝トーナメント進出が決定するが、負けるとGL敗退が決定し、引き分けの場合でも、イランが勝つか、引き分けると、2位以内を確保することができる。
日本は「4-2-2-2」。GK櫛引。DF川口、岩波、遠藤、山中。MF松本、熊谷アンドリュー、小野瀬、大島。FW久保、矢島。中1日の試合となったが、スタメン11人は2戦目のクウェート戦と全く同じで、FW風間宏矢、FW渡、MF榊らがベンチスタートとなった。
■ 2位で突破を決める先に決定機を作ったのは日本で、前半19分にMF松本の攻撃参加から川崎FのFW大島がGKと1対1のチャンスを迎えるが、ループシュートは枠外となって先制ならず。勝たないとGL敗退が決まるUAEは、ロングボール中心の攻撃となるが、DF岩波とDF遠藤が落ち着いて対応したので、ほとんど危ないシーンを作らせない。前半は0対0で終了する。
後半開始早々に日本はFW久保のパスを受けた浦和のFW矢島が決定機を迎えるが、惜しくも枠外で先制ならず。後半15分あたりを過ぎてくると、UAEも運動量が落ちてきて、中盤にスペースができたので、日本がペースを握るようになるが、後半30分以降は、UAEもリスク覚悟で攻めるようになったので、危ないシーンを作られるようになる。
同時刻にキックオフされたイランとクウェートの試合は、「イランが大量リードしている。」という情報が入っていたので、「引き分けでもOK」となった日本は、終盤になると、無理に攻めることは無くなって、時間を経過させようとするとが、後半44分に左サイドを突破されて絶対絶命のピンチを迎えるが、清水のGK櫛引がビッグセーブを見せてゴールを許さない。
結局、試合はスコアレスで終了。イランとクウェートの試合は、イランが6対0で圧勝したので、イランが2勝1分けでグループ首位となって、日本は1勝1敗1分けで2位で決勝トーナメント進出が決定。11日(日)にU-20W杯出場を賭けてイラクと対戦することになった。
■ GK櫛引がビッグセーブ初戦でイランに0対2で敗れたときは、GL突破も危うくなったが、日本が絡まない試合(UAE vs クウェートとイラン vs UAE)がいずれも引き分けに終わるという運も味方して、何とか、GL突破を決めた。グループAで2位になると、グループBで首位のチームと対戦することになるが、苦手としている韓国との対戦を避けることができたのも、ラッキーと言える。
ラストの15分ほどは、UAEが前掛かりに来たのでピンチの場面もあったが、トータルで見ると、守備の方は安定していた。この日も、DF岩波が積極的な守備を見せて、相手のフォワードに仕事をさせず、MF松本とMF熊谷アンドリューのダブルボランチも貢献度は高かった。
そして、何と言っても、GK櫛引の活躍が光った。UAEもそれほど決定機は無かったが、鋭い出足でDFラインの後ろをカバーし、さらには、終了間際の相手の決定機を体を張って防いだ。このシーンでは、DF岩波がサイドに釣りだされて、しかも、簡単にかわされてしまったので、中の枚数が足りずに、大ピンチだったが、GK櫛引がファインセーブでチームを救った。
GK櫛引というと、将来を嘱望されているGKの1人である。リオ世代の守護神候補として、何年も前から期待されてきた選手であるが、清水にはGK林とGK山本海という日本代表クラスのキーパーが2人もいるので、試合に出場するチャンスは回ってこない。ベンチに入ることも難しい状況なので、ツライ状況と言えるが、ここまでの3試合は落ち着いてプレーしている。
GKは息の長いポジションで、10代後半や20代前半の年齢でクラブのレギュラーを獲れる選手はほとんどいない。したがって、アテネ世代も、北京世代も、ロンドン世代もGKで苦労してきて、特に、U-17やU-18やU-19やU-20の段階では、GKの力不足で困難な試合になることが多かったが、今回のチームには、GK櫛引がいるので、大きな不安は無い。
■ 数少ない収穫は大島問題は攻撃陣である。中1日で3試合を戦ったので、疲労はあったと思うが、FW久保も、FW矢島も、MF小野瀬も、2試合目のクウェート戦よりパフォーマンスを落として、ゴールを奪うことはできなかった。GLは1勝1敗1分けの成績で決勝トーナメント進出を決めたが、3試合で1得点というのは、大きな問題である。
エースのFW久保は、この日は、完全に空回りして、ドリブルで仕掛けても突破できず、攻撃の起点になることもできなかった。2戦目からは、FW矢島との2トップのような感じになっているが、味方からロングボールを受ける仕事をこなすのは、ほとんどの場合がFW久保なので、相当に負担がかかっている。
数少ない収穫と言えるのは、UAE戦の後半45分間は、MF大島がボールに触るようになって、いくつかのチャンスを作ったことである。その前段階の守備の良さも光ったが、ボールが集まるようになってきて、MF大島が攻撃の起点になった。
今大会は、MF大島が中盤の要として期待されているが、イラン戦とクウェート戦はほとんど見せ場を作れず、UAE戦の前半も攻撃に絡めなかったので、期待外れに終わっていたが、ボールが集まってくると、チャンスを演出することができる。
■ 次はイラク戦ということで、攻撃に関しては、全く物足りないが、何とかGL突破を決めた。ただ、一番、重要なのは、11日に行われる準々決勝である。2008年と2010年もGLは突破したが、準々決勝で韓国に敗れてU-20W杯出場はならなかった。U-20W杯に出場できないと、大きな空白が生じてしまうので、日本サッカー界にとっても、非常に大事な試合である。
対戦相手はイラクに決定したが、韓国との対戦を避けることができたのは大きい。8月のSBSカップで対戦した時は、韓国に退場者が出たこともあって、日本が一方的に攻め込んでおり、この世代の韓国代表は、恐れるような相手ではないと思うが、日本戦になると実力以上のものを発揮することがあるので、厄介な相手であり、イラクの方が対戦相手としてベターなのは明らかである。
今大会は、中東のチームとの対戦が続いており、次もイラクが相手となるが、イラクというと個人技に優れた選手が多いので、注意が必要である。守備に関しては、試合を重ねるごとによくなっていて、この日は、比較的、安心して見ることができたので、大きな不安は無いが、今回のU-19日本代表は「得点力」に欠けるので、先に点を獲られると苦しくなる。今まで以上の集中が必要である。
攻撃については、劇的な改善は難しいと思うが、幸いにして、次の試合は中3日となるので、体力的な問題は少ないと思われる。これまでの3試合は、MF松本を除くと、中盤の選手の運動量は少なかったので、運動量を増やすことは絶対に必要であり、最後のゴールを奪うという仕事は、FW久保に期待したいところである。
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