■ 第34節J2の第34節。17勝10敗6分けで勝ち点「57」のジェフ千葉と、14勝12敗7分けで勝ち点「49」のギラヴァンツ北九州がフクアリで対戦した。33節を終えた時点で、千葉は4位で、北九州は10位。北九州はここ7試合で5勝2分けと勝ち点を積み上げている。
千葉は「4-2-2-2」。GK櫛野。DF高橋峻、竹内、青木良、渡邊。MF佐藤勇、兵働、田中佑、谷澤。FW荒田、大塚。富山戦でレッドカードを受けたFWリカルド・ロボは出場停止で、FW藤田祥も欠場となったので、FW荒田とFW大塚の2トップとなった。
対するアウェーの北九州は「4-4-2」。GK佐藤。DF川鍋、金鐘必、キローラン木鈴、多田。MF新井、木村、鈴木慎、安田。FW池元、端戸。U-19日本代表のFW渡はベンチスタートとなった。FW池元は32試合で7ゴール、FW端戸は30試合で10ゴールを挙げている。
■ 北九州が4連勝!!!試合は開始2分にアウェーの北九州が先制する。中盤でプレスをかけてMF谷澤からボールを奪うと、最後はFW端戸がドリブルで前進してから強烈なミドルシュートを決めて幸先よく先制する。さらに、前半6分には、FW池元が前からプレッシャーをかけてDF青木良からボールを奪うと、たまらずDF青木良が後ろからFW池元を倒してしまって、レッドカードで退場。早々に千葉は10人となる。
そこで得たセットプレーでMF木村が中央に精度の高いボールを送ると、DFキローラン木鈴がヘディングで決めて2対0とリードを広げる。東京Vからレンタル移籍中のDFキローラン木鈴は今シーズン3ゴール目となった。千葉はFW大塚を下げてDF佐藤健を投入して、DF佐藤健を最終ラインに入れて4バックを保つが、北九州にボールを回されてチャンスを作れない。
すると、前半34分にMF安田の絶妙のパスを受けたFW端戸が裏に飛び出して、GKとの1対1を確実に決めて3対0と突き放す。FW端戸は3試合連続ゴールで、トータル12ゴール目となった。前半は北九州が圧倒して3対0とリードして折り返す。
後半になると、千葉も1トップのFW荒田がシュートチャンスを得るようになるが、GK佐藤のファインセーブもあってゴールを奪うことはできない。結局、試合は3対0でアウェーの北九州が勝利して4連勝となった。一方の千葉は2連敗となった。
■ 文句なしの勝利8月以降、絶好調の北九州がアウェーで千葉に3対0と圧勝した。見事だったのは、試合の入り方で、前半2分にMF谷澤からボールを奪ってカウンターからFW端戸が決めて先制すると、前半6分にもFW池元のフォアチェックからDF青木良の退場を誘って、試合を優位に進めた。
その直後のフリーキックで2点目を獲れたことも大きくて、J2に昇格してから、一度も勝利したことの無い千葉を相手に文句のつけようのない勝利で、4連勝を達成。プレーオフ争いに加わってきたといえる。
3対0というスコアも見事だったが、戦いぶりも素晴らしかった。三浦監督のサッカーというと、アグレッシブなスタイルで、運動量と技術と判断力が必要とされるが、3つのバランスが絶妙で、選手たちのコンビネーションも申し分ないレベルだった。
次の35節はホームで首位の甲府と対戦するが、甲府も夏以降、安定した試合を続けており、好勝負が期待できる。北九州が首位の甲府に勝つようなことがあれば、さらに勢いに乗ることは確実なので、ただの1試合ではない重要な試合となるだろう。
■ 躍動するFW端戸仁退場を誘発したFW池元、トップ下でアシストを記録したMF安田、攻守両面で気の利いたプレーを見せたリーダーのMF木村なども、いいプレーを見せたが、この試合のMOMを選ぶとしたら、FW端戸しか考えられないだろう。前半2分に強烈なミドルシュートで先制ゴールを奪うと、前半34分に試合を決める3点目のゴールをマークし、2ゴールの大活躍だった。
これで3試合連続ゴールで、ここ6試合で6ゴール。トータルでも12ゴール目となったが、プレーに自信がみなぎっている。テクニックとスピードに定評のある選手であるが、ここ最近は、シュートへの意識が高くなって、開幕当初とは別人のような雰囲気である。
同じ学年で、同じ横浜FMのユース出身のMF齋藤学が「和製・メッシ」と言われることが多いが、レフティであり、イマジネーション溢れるプレーを見せる点を考慮すると、FW端戸の方がFWメッシのスタイルに近い選手であり、ポテンシャルはMF齋藤学にも見劣りしない。
横浜FMというチームは経験豊富な選手が多いので、ユースなどから新人選手が加入してきても、十分なチャンスを与えることは難しいので、出場機会に恵まれずに埋もれてしまう選手が多いが、ある程度のビッグクラブになると仕方がないことである。
MF乾であったり、FWハーフナー・マイクであったり、MF水沼だったり、MF齋藤学であったり、横浜FMでチャンスを得ることができなかった選手が他クラブで活躍してきた歴史があるので、開幕前から、FW端戸にもブレークの期待がかけられていたが、現状では、その期待を大きく上回るパフォーマンスを見せている。
■ 取りこぼしが目立つ千葉対する千葉は、完敗で2連敗となった。千葉は28節で町田に0対1で敗れると、29節でも鳥取に1対2で敗れて、30節はFC岐阜とドローで、33節は富山に0対2で敗れている。よって、いわゆる、J2のボトム4のチームと対戦して、4試合で0勝3敗1分けと散々な結果に終わった。
ポジティブに考えると、「プレーオフ昇格争いのライバルチームに直接対決で敗れるよりはマシ」と言えるが、4試合で少なくとも勝ち点「10」が欲しかったところで、わずか勝ち点「1」に終わったのは、大きな誤算である。
この試合は、北九州のアグレッシブな守備が素晴らしかったともいえるが、1失点目も、DF青木良の退場シーンもミスがきっかけで、ミス絡みで2失点を喫した富山戦と同じような展開となった。ビハインドの状況で、前半6分で1人少なくなると、相当に厳しくなるが、直後の2失点目で勝ち点「3」を得る可能性はほとんどなくなった。
千葉は2010年も、2011年も、夏頃までは上位に付けていたが、勝負どころの秋以降に直接対決で敗れるケースが多くて、昇格を逃してきたが、今年も勝負の時期に入って、チームがパワーを失ってきている。J2は、甲府が抜け出しつつあるが、そのほかのチームは決め手に欠けているので、千葉にもチャンスは残っているが、良くない雰囲気になっている。
関連エントリー 2008/10/20
【千葉×東京V】 巻誠一郎という男 (生観戦記 #14) 2008/12/06
【千葉×FC東京】 奇跡のエンディング 2009/02/08
フクアリが生み出す新しいサッカースタジアム像 2009/07/26
【JFL:刈谷×北九州】 アマラオ 42歳の現役復帰 (生観戦記 #8) 2010/10/07
フットボール史上最高のプレーヤーは誰か?を考える。 2011/04/01
独断と偏見で選んだ KING KAZU ベスト10ゴール 2012/01/13
ガンバレ!!! 加部未蘭
- 関連記事
-