■ 準々決勝の1試合目ユーロ2012はグループリーグが終了して、決勝トーナメントがスタートした。ポルトガルとチェコ、ドイツとギリシャ、スペインとフランス、イングランドとイタリアの組み合わせとなったが、まず、ワルシャワでポルトガルとチェコが対戦した。ポルトガルはグループBを2勝1敗で通過し、チェコもグループAを2勝1敗で通過した。
ポルトガルは「4-1-2-3」。GKパトリシオ。DFペレイラ、ペペ、ブルーノ・アルヴェス、コエントラン。MFヴェローゾ、モウチーニョ、ラウル・メイレレス。FWナニ、ポスティーガ、クリスティアーノ・ロナウド。大黒柱のFWクリスティアーノ・ロナウドはオランダ戦で2ゴールを挙げている。
対するチェコは「4-2-3-1」。GKチェフ。DFゲブレ・セラシ、シヴォク、カドレツ、リンベルスキ。MFプラシル、フブシュマン、イラチェク、ダリダ、ピラル。FWバロシュ。アーセナル所属のMFロシツキは怪我のためベンチスタートで、21歳のMFダリダがトップ下で起用された。
■ ポルトガルがベスト4試合の立ち上がりは、静かな展開となる。両チームとも、チャンスシーンを作ることができず、重苦しい展開となる。しかし、徐々にポルトガルがボールを支配するようになって、ポルトガルが優勢となる。前半終了間際に、FWクリスティアーノ・ロナウドが巧みなコントロールから右足でシュートを放つが、ポストに直撃してゴールならず。前半は0対0で折り返す。
後半もポルトガルのペースとなる。FWナニ、MFモウチーニョ、FWクリスティアーノ・ロナウドがボールに絡んでチャンスを作る。しかし、チェコもGKチェフを中心にしのいで、0対0の状況が続いていくが、後半34分についに均衡が破れる。
MFモウチーニョが右サイドを抜け出してゴール前にクロスを入れると、中央に入って来たFWクリスティアーノ・ロナウドが豪快にヘディングで決めてポルトガルが先制する。チェコは最後のコーナーキックでGKチェフもゴール前に上がって同点ゴールを狙うが、実らず。結局、1対0でポルトガルが勝利して、ベスト4進出を決めた。一方のチェコは、準々決勝で敗退となった。
■ C・ロナウドが決勝弾!!!試合は大方の予想通り、ポルトガルのペースで進んだ。試合の序盤は堅さもあって、攻撃のリズムをつかめなかったが、徐々に流れが良くなって、チェコを押し込んだ。ただ、右サイドのFWナニがブレーキとなって、攻めきれなかったが、大黒柱が値千金の決勝ゴールをマークして、劇的な勝利を飾った。
初戦のドイツ戦、2戦目のデンマークで不発に終わったため、大きな批判を浴びたFWクリスティアーノ・ロナウドだったが、3戦目のオランダ戦で復活して2ゴールを挙げると、この日も、チームを勝利に導くゴールをマークした。今回のポルトガル代表の攻撃陣は、FWクリスティアーノ・ロナウドを除くと、世界トップレベルのタレントはおらず、負担は大きいが、2試合連続でヒーローとなった。
オランダ戦、チェコ戦を見ると、FWクリスティアーノ・ロナウドは、FWメッシととも、世界のトッププレーヤーの中に入っても、頭一つ抜けた存在になっていることを感じる。FWメッシとのバロンドール争いが注目されているが、リーガ・エスパニョーラも制しているので、FWクリスティアーノ・ロナウドが有利になったように感じる。
■ 変化を加えたMFモウチーニョFWクリスティアーノ・ロナウド以外では、決勝ゴールをアシストしたMFモウチーニョが光った。デンマーク戦やオランダ戦は、FWナニとFWクリスティアーノ・ロナウドのサイドアタックばかりで、単調な攻撃になっていたが、この日は、MFモウチーニョがいいところでボールを受けて、攻撃に変化を加えた。グループリーグでは、存在感を発揮できなかったので、彼の調子が上がってきたのは、ポルトガルにとっては朗報である。
一方で、マンチェスターU所属のFWナニは、判断が遅くなるシーンが目立って、攻撃の流れをストップさせてしまった。今回のチームも、頼りになるストライカーがいないので、周りの選手の頑張りが必要となるが、この日は、FWナニがブレーキになった。
これで、ポルトガルはベスト4進出となったが、次は、スペインとフランスの勝者と対戦する。グループリーグの試合を観ると、フランスは調子が上がっていないので、スペインと激突する可能性が高いが、スペインもいい状態ではないので、ポルトガルにもチャンスはある。
スペインを打ち破るためには、やはり、FWクリスティアーノ・ロナウドの活躍が不可欠で、1回目あるいは2回目に訪れるチャンスを確実に決めて、前半の早い段階で先制したいところである。今大会のポルトガルは、尻上がりに調子を上げており、日程的にも、準々決勝の初日に登場したことで、休養日も多くなるため、有利である。ダークホースと言える。
■ 実り多きチェコ代表一方のチェコは、90分を通して、シュートは2本だけで、ほとんど決定機を作ることはできなかった。MFロシツキに代わってトップ下で起用されたMFダリダは、献身的に走り回って攻守に貢献したが、FWバロシュのところにいいボールを供給できず、攻撃の迫力はなかった。
ただ、グループリーグの初戦で、ロシアに1対4で完敗したことを考えると、良く持ち直してきたといえる。完敗を引きずらなかったことが良かったが、MFイラチェク、MFフブシュマン、MFピラルといった選手は、グループリーグから運動量豊富に走り回って、チームに貢献した。
MFネドベドやFWコレルやMFガラセクが中心だった頃のチェコ代表は、ショートパスを巧みに使った芸術的なサッカーを見せた。それと比べると、今回のチームは、華やかさはなかったが、中盤に攻守両面で貢献できる選手を配置して、いい内容のサッカーを見せた。MFピラルという次世代を担う選手の台頭もあって、収穫の多い大会になったと言えるだろう。
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