■ スイス戦初戦のブラジル戦に2対3で敗れた日本は第2戦でスイスと対戦。スイスは初戦でメキシコに2対0で勝利を飾っている。
日本は<4-2-3-1>。GK嘉味田。DF松原、内田、岡本、廣木。MF柴崎、小島、堀米、高木、宇佐美。FW宮吉。セレッソU-18のFW杉本がスタメンから外れて、京都サンガのFW宮吉がスタメン。
■ まさかの逆転負け・・・試合は前半9分に日本が先制。さらに、前半20分にもFW宮吉が決めて幸先良く、日本が2点をリードする。完全に日本ペースで試合は進んだが、前半終了間際にスイスがロングボールの落としからネットを揺らして1点差に迫る。前半は2対1の日本リードで終了。
後半はスイスペース。スイスのロングボールに苦しみ続けて日本は3失点。試合終了間際にMF小島のミドルシュートで1点を返すが、3対4でまさかの大逆転負け。2連敗となって、グループリーグ突破は非常に厳しくなった。
U-17の大会は、毎回、日本は苦戦していてアジア予選で敗退することも珍しくはない。U-20の年代になると、ずっとアジア予選を突破していたので、もう少し大人になって、Jリーグの舞台を経験した選手が多くなると、少なくとも、アジア予選突破は問題ではなくなるが、16歳や17歳といった年齢では、どうしてもフィジカル的な差をカバーするだけのものが無く、為すがままに力技でやられるケースが多い。
だから、「U-17なので仕方ない。」と割り切ることも出来るが、MF宇佐美を筆頭に、特別、期待の高かった世代であり、落胆は小さくない。池内監督のチーム作りが正しかったのかどうかも、大会後には、しっかりと検討しなければならない。
そろそも、フル代表の岡田監督も含めて、現状、日本代表チームの監督に就任する事が出来るのは、基本的に、監督選考の時点でフリーに近い立場の指導者だけである。本当に優秀な指導者はJリーグのチームから引っ張りだこであり、フリーである場合は稀である。
■ 宮吉の2ゴールも・・・前半20分までにFW宮吉のゴールで2点リードを奪って、最高のスタートを切った日本だったが、前半最後の失点が余計だった。このゴールでスイスは息を吹き返し、日本は意気消沈。後半は日本のイレブンの足が止まって連続で3失点。反撃はMF小島のゴールの1点のみに終わった。
前半はスイスがFW宮吉の動き出しの良さとスピードについていけず、スイスのディフェンスラインは大混乱したが、徐々にスイスは対応し始めて、FW宮吉の勢いもなくなっていった。前半からFW宮吉がストロングポイントになっていたのは間違いないが、FW宮吉狙いの場面が多くて、疲弊させてしまった。
反対に後半になると、スイスは日本のバックラインに向けてロングボール1本にシフトチェンジ。スイスの得点は、1点目も2点目も3点目もこの形で、前半とは逆にスイスが日本の弱点を徹底的に突いてきた。これがU-17年代の幼さなのかもしれないが、スイスも日本の攻撃に簡単にやられてしまったし、日本もスイスの攻撃に簡単にやられてしまった。
■ ドイツの悪夢再び・・・①それにしても日本はスイスのロングボールにやられ過ぎてしまった。前半はスイスが綺麗につないでサイドを崩そうとして日本のプレスにはまったが、途中でロングボールが有効だということに気づくと、徹底して狙ってきた。相手の攻撃は単調であったが、分かっていながらどうすることも出来なかった。
日本の最終ラインの高さ不足は大会前から懸念されていたことであるが、本大会で懸念されていた問題点が露出してしまった。2試合で7失点では勝ち目はない。
あっさりとロングボールでやられてしまう展開は悪夢のドイツ大会を思い出させるようなものであった。177cmのDF内田と173cmのDF岡本は、それぞれで見ると世代トップクラスのディフェンダーであることは間違いないと思うが、スイスのような高さのある国と戦うときはハンディとなる。
おそらく、180cmを超えるようなセンターバックがいないわけではないだろうが、つなぎやカバーリング能力等を考えて、このコンビがベターだと考えていたのだろうが、これだけあっさりとハイボールに負けてしまうと、ディフェンスが成り立たなくなる。
■ ドイツの悪夢再び・・・②北京世代はこれまでの世代と比べてセンターバックの人材が揃っていて、日本にもようやく高さがあってフィードも出来る選手が育ってきたか、と思っていたが、下の世代になると、都合良く、何でも出来るセンターバックはいない。
せっかくいいサッカーをしても、綺麗につないで崩しても、最終的に相手のロングボール一発でやられてしまっては、何にもなくなってしまう。DF内田とDF岡本が悪いのではなく、組み合わせが良くなかったということであり、再考の必要はある。
フル代表では、DF中澤とDF闘莉王というコンビがいて、高さや強さで負けることは少なくなってきているが、改めて、センターバックの問題がクローズアップされる大会になってしまった。
■ 不安定な嘉味田ブラジル戦のロスタイムに致命的なパンチングミスでオウンゴールを喫したGK嘉味田は名誉挽回のチャンスを得たが、残念ながら、この試合も終始、不安定だった。
中2日で簡単に立ち直ることは難しいのは理解できるが、これだけGKが落ち着かないと、チーム全体も落ち着かない。3失点目はシュートに対する見切りが早すぎたし、4失点目は正面のボールだったので、しっかりとキャッチしなければならないし、PKを取られたシーンも不用意飛び込み過ぎた。
これだけ試合中にミスが多いと、GK嘉味田本人が悪いのではなく、使った監督の方が悪いといわれても仕方がない。
■ 先発起用の宮吉が2ゴール数少ない明るい話題とおいえるのが京都サンガのFW宮吉の活躍である。この日は、ブラジル戦で同点ゴールを決めたFW杉本を外して、京都サンガでトップチームデビューを果たしているFW宮吉を先発で起用。背の高いスイスを相手に169cmのFW宮吉起用は1つの賭けであったが、そのFW宮吉が2ゴールの活躍。
鋭い動き出しの前にスイスのセンターバックは翻弄され続けた。1.5列目的なポジションに入ったMF宇佐美とFW宮吉のホットラインは前半のうちは機能した。高さは無いが、動き出しが鋭く、シュートも正確である。
■ 空回りの宇佐美ブラジル戦はやや低調だったMF宇佐美であるが、この試合は積極的にシュートを放っていった。やや気負い過ぎの部分も見られたが、ドリブルからの長距離パスも効果的で、FW宮吉とのコンビは絶妙だった。ただ、何度かあったチャンスに決め切れず途中交代となった。
ボールを持った時の打開力は抜群で、ドリブルだけではなく視野の広さもある。間違いなく、日本サッカー界が生んだ最高のタレントの1人であるが、このままで大丈夫なのかという不安もある。
課題といわれる運動量や守備意識といった部分では、MFではなくFWに近いポジションでプレーしているため、それほど問題にはなっていないが、高校2年という大事な時期にほとんど公式戦に出ることなく終わりだという事実は、彼のキャリアを考えても大きなマイナスである。
実力勝負の世界で、G大阪のトップチームは日本代表クラスの選手が揃っているので出番が回って来ないのも仕方ないとはいえ、ベンチあるいはスタンドでの観戦は何も生み出さない。来シーズンもこういう状況が続くようだと、深刻である。
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こんにちは。久し振りに書かせていただきます。
前半早くに2点取れてしまった時点で嫌な予感がしたのですが、、、。まさか本当に逆転されてしまうとは。
ドイツでの悪夢、とも言えますが、僕はカナダでのワールドユース、準々決勝?、スロバキア戦を思い出してしまいました。あの時も確か簡単に2点取れて、楽勝ムードになった隙をつかれた後、修正できなかったという印象があります。
今回も日本の選手は楽勝と思ってしまったのではないでしょうか。
なぜこういう事が繰り返されるのでしょうか。
フル代表における欠点でもある90分同じペースで試合をしてしまう、という点をこの試合でも改善できなかった。これはもう国民性なんでしょうか。
宮吉に裏を狙わせる、そのやり方をずっと繰り返し、途中で変えていけないのは指導の問題なのでしょうか。
シュートがほとんどライナーでゴロのシュートが撃てないのも気になりました。宇佐美を筆頭に。
調子のよくない宇佐美を引っ張らず、高市?選手を早めに入れるべきでした。彼のプレーが良かっただけに。
非常に残念な試合でした。
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