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【山口×熊本】「誰がJ2で通用するのか？」ならびに「誰がJ2では通用しないのか？」 | | |　

■　Jリーグがいよいよ開幕

2022年のJリーグがいよいよ開幕した。MF高井やFW草野など主力数名が抜けたレノファ山口はホームの維新みらいふスタジアムで昇格チームのロアッソ熊本と対戦した。降格3年目となる2021年のJ3を制覇して2018年以来のJ2復帰を果たした熊本は3年間のJ3生活の中でメンバーは大きく入れ替わった。どちらも下位候補に挙げられているのでスタートダッシュを成功させて残留争いには巻き込まれたくない。

ホームの山口は「4-1-2-3」。GK関。DF眞鍋、生駒、渡部、橋本健。MF佐藤謙、池上、田中渉。FW吉岡、大槻周、沼田駿。大卒ルーキーのFW沼田駿が「3トップの左」でスタメン出場。関西大出身でスピードが武器となる。北九州から移籍したDF生駒がCBでスタメン出場。CBが本職となるDF眞鍋が右SBに回って山形に移籍したDF川井の後釜として期待を受けている。40歳のMF山瀬功はベンチスタートになった。

アウェイの熊本は「3-1-3-3」。GK佐藤優。DF黒木晃、菅田、阿部海。MF河原創、上村周、竹本、坂本亘。FWターレス、高橋利、杉山直。大卒2年目のMF坂本亘がトップ下でスタメン出場。J1の名古屋への完全移籍が成立しながら2022年は引き続いて熊本でプレーすることになったFWターレスは「3トップの右」でプレーする。大卒ルーキーのFW土信田はベンチスタート。練習試合でゴールを重ねている。

■　ともに下位候補に挙げられているが・・・。

雪がちらつく中での試合になったが序盤は熊本が優勢に試合を進めた。テンポよくボールを回してチャンスシーンを作った。やや劣勢の展開になった山口だったが前半38分にセットプレーを獲得すると前線に残っていたCBのDF生駒のシュートが決まってホームの山口が先制に成功する。過去3年間は北九州(J2 or J3)でプレーした185センチのDF生駒は2021年はJ2で32試合に出場するなど飛躍の1年になった。

直後の前半39分にも「3トップの右」のFW吉岡が抜け出してキーパーと1対1の決定機を迎えたが決められなかった。切り返しての左足のシュートまでは完璧だったがシュートコースが甘くなった。1対0で迎えた後半11分に右サイドの裏を取った熊本のFWターレスがニアサイドにグラウンダーのクロスを入れると飛び込んできたFW高橋利が合わせて1対1の同点に追いついた。FW高橋利は嬉しいJ2初ゴールとなった。

後半15分に山口は得意のセットプレーからDF眞鍋に決定機が訪れたが惜しくも決まらず。後半18分に熊本のFW杉山直が得意のドリブルからシュートを放ったがポストに直撃する。後半45分には熊本の大卒ルーキーのMF藤田一にチャンスが訪れたが決めることはできなかった。試合はそのまま1対1で終了。ともに勝ち点「1」を獲得したが山口は15本、熊本は11本のシュートを放つなどアグレッシブなプレーを見せた。

■　J2デビューだった選手がたくさん

ともに前評判はあまり高くないが開幕戦から積極的なプレーを見せた。雪が降る中での試合となったが寒さを感じさせないほどテンションの高い試合になった。昇格1年目の熊本は久しぶりのJ2の試合だったがJ3時代に熊本に加入した選手がたくさんいる。J2経験が全くない選手がスタメン11人のうち8人もいる。J2経験があるのはGK佐藤優、DF黒木晃、MF上村周のみ。若手主体の構成だったがいい戦いを見せた。

目立ったのはアグレッシブな守備だった。最前線のFW高橋利が試合を通して相手にプレッシャーをかけ続けて周りの選手もうまく連動した。大木サッカーというと「パスサッカー」をイメージする人がほとんどになるがJ3で何度も苦い経験をした結果、戦術面はブラッシュアップされている。壁にぶち当たる時期は必ずやって来ると思うのでそれまでに勝ち点を積み上げておきたい。久々のJ2で旋風を巻き起こしたい。

この日がJ2デビューだった選手はたくさんいるが「J3では華々しい活躍を見せたがJ2に上がった途端に活躍できなくなる選手」はいる。何が要因なのか？は人それぞれだと思うが『J3時代と同じような活躍ができる選手』と『全く通用しない選手』が出てくる。各選手がどちらに転ぶのか？を判断するのは難しいがMF河原創、FW杉山直あたりは問題なくJ2でもやれそうだ。DF菅田、FWターレスも大丈夫な可能性大。

むしろ、MF河原創やFW杉山直の場合は、来オフどころか、今夏に獲得を画策するクラブが出てくる可能性の方が高い。シーズン途中の移籍も増えていることを考えると余計に序盤戦で勝ち点「3」を積み上げないといけない。殊勲の同点ゴールをアシストしたのはFWターレスだったが馬力を生かしてサイドの裏を取った。スピード勝負になったがスピード面で相手を圧倒しており、最後のクロスもいやらしいボールだった。

■　FW沼田駿、MF田中渉、DF橋本健の3人で組む左サイド

追いつかれて勝ち点「1」にとどまったものの山口も出来としてはまずまず良かった。こちらは攻撃の部分で重要な役割を担っていた選手が数名抜けたので攻撃面が不安視されているがセットプレーからゴールゲット。MF池上というJ2屈指のプレイスキッカーがいるのでセットプレーはもともと得意にしていたが182センチのDF眞鍋を右SBで起用しており、新加入のDF生駒も185センチの長身。高さは大きな武器になる。

GK関、DF渡部、MF佐藤謙などがセンターラインの軸になると思うが若手の台頭が期待される。大卒1年目ながら「3トップの左」で起用されたFW沼田駿に注目が集まったが特に前半は果敢な仕掛けでチャンスメイク。いいプレーを見せた。左SBのDF橋本健は2020年にも2021年にも特別指定選手に登録されて計18試合に出場しているがFW沼田駿、MF田中渉、DF橋本健の3人で組む左サイドは武器になるだろう。

「関西出身でスピードのある大卒のアタッカー」というとやはりFW古橋(セルティック)である。対戦相手の大木監督がFC岐阜で指揮を執っていた時期に大卒でFC岐阜に加入して活躍したが当時のFC岐阜のようにJ2の下位クラブに大卒で加入した選手であっても結果を出すことで道は開けてくる。「誰にでもチャンスがある時代になった。」と言える。のし上がるためには言うまでもなく分かりやすい結果が必要になる。