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【スポンサー撤退？】クラブ崩壊の危機を迎えた・サガン鳥栖 | | |　

■　「J2のオリジナル10のクラブの1つ」

J2が誕生したのは1999年の話になる。最初は10チームからのスタートだったがJ2初年度のメンバーは川崎F・FC東京・大分・新潟・札幌・大宮・山形・鳥栖・仙台・甲府という顔ぶれになる。札幌はその前年の1998年はJリーグ(1部)で戦ったので降格組だったが、今、振り返ると「相当に濃いメンバーだった。」と言える。この10チームは「J2のオリジナル10」と呼ばれるが全てのチームがJ1の舞台を経験している。

今さら言うまでもないが川崎F・FC東京の2チームはJリーグを代表するクラブになった。新潟・大宮・大分も長きに渡ってJ1定着を果たしており、仙台・鳥栖はすっかりJ1に定着している。山形と甲府も何度か「J1残留」を経験しており、近年の躍進が著しい札幌はJ1に定着しそうな勢いがある。J2元年の1999年の年間の平均観客動員数は何と4,596人。今では考えられないほど各クラブの人気や集客力は低かった。

鳥栖も1999年からJ2に参加している「オリジナル10のクラブの1つ」になるが初年度は8位、2年目の2000年も6位。まずまずの出だしだったが2001年は10位、2002年は9位、2003年は12位、2004年は11位と低迷した。クラブ数は1999年が10チーム、2000年が11チーム、2001年～2004年は12チームだったが参戦5年目の2003年はついに最下位。3勝30敗11分けで勝ち点「20」のみ。断トツの最下位だった。

転機になったのは松本育夫氏の監督就任になる。1964年の東京五輪、1968年のメキシコ五輪に出場している日本サッカー界のレジェンドの監督就任によってクラブは大きく変わった。2005年はストライカーのFW新居が39試合で17ゴールと爆発。8位まで順位を上げた。翌2006年もFW新居が36試合で23ゴールを量産。「クラブ史上初」とも言える昇格争いに参加してクラブ史上最高の4位。大躍進のシーズンになった。

■　2018年の営業収益はJ1で9番目

2007年～2009年までは岸野監督が指揮をして、2010年は形式的には松本育夫監督が復帰しているが、Jリーグの監督に必要とされるライセンスを持っていなかったヘッドコーチの尹晶煥氏が実質的な監督だった。翌2011年にJ2で2位になって「悲願のJ1初昇格」を果たすと2012年以降はずっとJ1で戦い続けている。残留争いに巻き込まれることは多かったが全て乗り切っており、J1に昇格して今年が9年目になる。

完全にJ1に定着しているがJ1に初昇格してからの鳥栖のクラブとしての成長ぶりは目を見張るものがある。表1は「年度別の営業収益」になる。情報が開示されているのは2005年以降になるが初年度の2005年は4.28億円だった。J1昇格を果たした2011年でも6.89億円なので「このクラブ規模でJ1昇格を達成できたのは素晴らしい。」と各方面から称賛されたがJ1初年度となる2012年は14.54億円までアップした。

J2からJ1に昇格したクラブが収益を大幅に伸ばすのは当たり前の話になるが鳥栖は以後もずっと成長を続けており、2015年に初めて20億円を突破した。24.89億円というのはJ1の中では13番目。J1の底辺クラブではなくなった。翌2016年は27.66億円で、2017年はついに30億円を突破。33.50億円になった。最新の2018年は何と42.57億円。J1で9番目になった。J1平均が47.55億円なので「J1平均」に大きく近づいた。

JリーグのDAZN効果は絶大である。DAZN元年と言われる2017年以降の各クラブの収益は激増しており、鳥栖だけがクラブ規模を拡大させているわけではないがそれにしても異常なほどの成長ぶりである。2011年と2018年を比較すると営業収益は6.18倍に増えており、2005年と2018年を比較すると9.95倍になる。「ここ15年の間にこれほどクラブ規模を拡大させたJリーグのクラブは他には存在しない。」と言える。

■　「DHC」が撤退する方向

トップチームはJ1に定着しており、クラブ規模はずっと右肩上がりで成長を続けており、FW金崎やGK権田やMF小野裕やFWトーレスなどネームバリューのある選手を獲得するケースも多かった。付け加えると下部組織の鳥栖U-15と鳥栖U-18はともに近年の全国大会で目覚ましい成績を残している。FW田川、MF松岡大、DF中野伸など鳥栖の下部組織の選手が年代別代表に選出されるのは当たり前になっている。

「地方クラブの理想的な成功例」という声も少なくなかったがここ1・2年はきな臭い話がたくさん流れており、ちょうど1年前の2019年1月にCygamesとのスポンサー契約が終了した。今年も胸スポンサーである「DHC」が撤退する方向であることが明らかになった。ルヴァン杯のGLの初戦は2月16日(日)に行われるが「今年のユニホームが発表できていないという異常事態になっている。」とメディアで報道されている。

DHCは2008年からずっと鳥栖の胸スポンサーを務めてきた。「年間の広告料がどのくらいだったのか？」については明らかにされていないが2018年の鳥栖のスポンサー収入は22.96億円だったので「数億円レベルだった。」と考えられる。Cygamesに続く大口スポンサーの撤退になるが相場から推測すると「2社を合わせて8億円～12億円」くらいだろうか。鳥栖のクラブ経営に深刻なダメージを与える可能性は高い。

■　2011年の5月に鳥栖の社長に就任

たくさんの人に誤解されているが「2018年秋にサイバーエージェントが町田の経営権を取得したことと2019年1月にCygamesと鳥栖とのスポンサー契約が満了になったことは全く関係ない。」と藤田社長は2018年10月1日の時点ではっきりとコメントしている。別の理由があるのだと推測できるが代わりになりそうな大口スポンサーが出てこない中、2年連続で大口スポンサーが撤退するというのは異常な話である。

2011年の5月に鳥栖の社長に就任した竹原稔社長は相当なやり手だと思われる。流れに乗ったところはあると思うが竹原社長になってから鳥栖のクラブ規模は急成長している。人と金を引き寄せるだけの魅力を持った人なのだろう。竹原社長の功績をすべて否定するのは愚かなことだと思うが地方でのし上がってきた社長などの経営者にありがちな強引な手法がいろいろなところで軋轢を生んできたことは容易に想像できる。

今オフの鳥栖はMFクエンカ、MF福田晃、DF高橋祐、DF三丸、MF小野裕などが主力がたくさんチームを離れた。「Cygamesとのスポンサー契約が終了した影響は大きいのだろう。」と思われていたが裏で「DHCの撤退の話」が進んでいたのであれば話はつながる。年俸が高いと思われるFW金崎やMF高橋秀やFWチアゴ・アウベス、市場価値の高いMF松岡大などを売らざる得ない状況になることも十分に考えられる。

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表1. 年度別の各クラブの営業収益 (2005年-2018年)

クラブ名	661.3	691.5	739.2	765.7	755.0	721.3	728.5	772.9	793.4	870.0	939.7	994.0	1105.6	1257.1
クラブ名	2005年	2006年	2007年	2008年	2009年	2010年	2011年	2012年	2013年	2014年	2015年	2016年	2017年	2018年
神戸	1,876	1,362	1,865	2,026	2,446	2,035	2,059	2,250	1,960	2,471	3,663	3,865	5,237	9,666
浦和	5,805	7,078	7,964	7,091	6,432	5,625	5,382	5,353	5,786	5,854	6,088	6,606	7,971	7,549
鹿島	3,156	3,381	3,983	4,180	4,408	4,466	4,165	4,160	4,122	4,003	4,311	5,582	5,228	7,330
川崎Ｆ	1,913	2,780	3,105	3,320	3,604	3,540	3,275	3,073	3,214	3,359	4,077	4,254	5,123	6,074
名古屋	3,720	3,801	3,635	4,071	4,506	4,103	4,196	3,993	4,226	4,042	4,446	4,713	4,594	5,491
G大阪	3,418	3,361	3,212	4,399	4,078	3,346	3,817	3,285	2,786	3,863	4,282	5,146	4,966	5,159
横浜M	4,822	4,559	4,909	4,092	3,505	3,565	3,463	3,717	4,315	4,590	4,567	4,696	4,765	5,138
FC東京	3,168	3,299	3,347	3,433	3,763	3,671	3,334	3,865	3,545	3,859	4,678	4,541	4,588	4,844
鳥栖	428	705	572	702	676	816	689	1,454	1,704	1,885	2,489	2,766	3,350	4,257
柏	3,874	3,244	3,143	2,997	2,859	2,743	3,543	3,551	3,412	3,165	3,019	2,874	3,454	4,150
清水	3,077	2,986	3,180	3,457	3,514	3,486	3,118	3,449	3,084	3,248	3,142	3,341	4,010	3,983
大宮	2,242	2,376	2,842	3,059	3,553	3,308	2,775	3,344	3,228	3,422	3,005	3,203	3,685	3,972
C大阪	2,311	2,108	2,066	1,940	2,241	2,554	2,527	2,618	3,213	3,771	2,712	3,008	3,976	3,871
磐田	3,890	3,717	3,594	3,387	3,422	3,151	3,151	3,391	3,298	3,027	2,996	3,303	3,828	3,745
広島	2,304	2,267	2,626	2,287	2,728	2,605	2,676	3,176	3,198	3,149	3,610	3,794	3,424	3,367
札幌	1,254	1,177	1,255	1,618	1,548	1,132	1,297	1,347	1,071	1,328	1,420	1,902	2,676	2,988
湘南	733	709	970	930	1,066	1,288	670	869	1,191	1,121	1,561	1,627	1,566	2,978
千葉	2,722	2,887	3,112	3,564	2,683	2,306	2,422	2,408	2,330	2,300	2,504	2,556	2,593	2,893
仙台	1,607	1,609	1,543	1,421	1,529	2,041	2,097	2,303	2,429	2,249	2,239	2,285	2,709	2,684
新潟	2,639	2,793	2,661	2,590	2,418	2,216	2,227	2,405	2,548	2,748	2,510	2,908	2,762	2,493
長崎	-	-	-	-	-	-	-	-	718	894	897	749	1,120	2,323
松本	-	-	-	-	-	-	-	893	939	1,185	2,149	1,935	1,991	2,239
東京Ｖ	3,077	2,143	2,672	4,144	888	718	1,075	1,470	1,236	1,220	1,311	1,391	1,622	1,852
京都	2,058	2,230	2,125	2,502	2,416	2,311	2,140	2,039	1,930	1,761	1,897	1,743	1,857	1,848
福岡	1,220	1,575	1,421	1,157	1,006	938	1,246	854	871	947	1,654	1,836	1,979	1,831
山形	582	665	539	626	1,163	1,229	1,239	1,047	1,041	1,399	1,813	1,497	1,576	1,698
徳島	596	636	634	638	759	854	967	1,050	1,211	2,104	1,741	1,443	1,639	1,688
横浜F	642	1,195	1,706	1,164	966	948	1,046	1,054	1,152	1,042	1,002	1,064	1,244	1,522
甲府	670	1,343	1,655	1,263	1,094	1,067	1,465	1,179	1,481	1,518	1,525	1,523	1,727	1,511
岡山	-	-	-		639	695	797	878	1,034	1,103	1,174	1,271	1,433	1,502
大分	1,502	1,800	2,261	2,184	1,915	1,108	960	986	1,406	1,006	958	797	1,023	1,128
山口	-	-	-	-	-	-	-	-	-	156	384	880	1,019	1,126
FC岐阜	-	-	-	401	420	519	448	528	576	831	999	932	951	1,090
栃木SC	-	-	-	-	580	661	748	791	876	941	936	639	658	962
熊本	-	-	-	537	616	668	631	678	680	750	756	720	840	933
愛媛FC	-	435	466	492	503	472	499	504	522	576	569	630	769	789
町田	-	-	-	-	-	-	-	493	-	363	443	626	709	755
金沢	-	-	-	-	-	-	-	-	-	302	584	612	656	736
讃岐	-	-	-	-	-	-	-	-	-	584	575	613	696	704
水戸	310	341	301	349	413	366	436	483	508	518	561	589	578	621