■ リーグ戦再開大量得点で勝利すれば首位浮上の可能性もあるFC東京が、18位と最下位に沈むジェフ千葉と対戦。
FC東京は<4-4-1-1>。GK塩田。DF徳永・佐原・藤山・金沢。MF今野・梶山・エメルソン・羽生。FW平山とカボレ。日本代表のDF長友は怪我のため欠場。ナビスコカップでも機能したFWカボレとFW平山の2トップで、FWカボレが最前線に位置し、FW平山がその下の1.5列目に入る新布陣。FW近藤、FW赤嶺、MF大竹がベンチに控える。
対するアウェーの千葉は<4-4-2>。GK立石。DF坂本・ボスナー・池田・青木良。MF戸田・斎藤・下村・工藤・新居。FWレイナウド。MF戸田とMF斎藤のダブルボランチで、トップ下にMF下村。右サイドにMF工藤、左サイドにMF新居。1トップでFWレイナウド。日本代表のFW巻はベンチスタート。
■ 大荒れの展開試合は、前半から大荒れの展開。まず、前半7分に、千葉がロングフィードで一気にFC東京のゴール前に迫ると、抜け出したFWレイナウドを倒したとしてMF今野が一発退場。早々に10人での戦いを強いられる。しかし、千葉は、そのPKをFWレイナウドが失敗してしまう。
前半23分には、今度は、FC東京がFW平山がかかんなチェイスからDF池田のファールを誘ってPKを獲得。しかし、同じくFWカボレが失敗。両キーパーの好守でスコアは動かない。
そんな中、前半39分に、FC東京がCKからDF佐原がヘディングで決めて先制する。意外にも、DF佐原はJ1では初ゴールとなった。前半はそのまま10人のFC東京が1対0でリードして終了。
後半になると、ビハインドを背負った数的優位の千葉が攻勢を仕掛ける。MF戸田に代えてFW巻、MF斎藤に代えてMF谷澤と攻撃的な選手を次々に投入すると、後半23分にMF新居の右からのクロスをFWレイナウドがダイビングヘッドで決めて同点に追い付く。
追いつかれたFC東京も、MF大竹、FW近藤、FW赤嶺というタレントを投入するが、両チームともに勝ち越しゴールは奪えずに、1対1のドローに終わった。
■ アンラッキーだったFC東京FC東京は前半7分という早い時間帯にMF今野がレッドカードで一発退場。その後は、FWカボレとFW平山を中心に攻め立てたが、後半23分に同点ゴールを奪われた。この時間帯は、DF佐原が負傷のため治療中で、11人対9人の状況であった。DF佐原の治療が思いの外、長引いたことも痛かった。
FC東京としては、最下位の千葉が相手のホームゲームということで勝利が欲しい試合ではあったが、前半の早い時間帯から10人での戦い方を強いられた。そう考えると、ドローはそれなりに満足できる結果と言える。
■ 奮闘するエメルソンFC東京は早々にMF今野を欠いたが、MFエメルソンが大活躍。MF今野の退場後には、やや下がり目になったが確実な守備とつなぎで多大な貢献をした。MF羽生とのコンビネーションもよく、この2人がFWカボレとFW平山の2トップの下の位置で、効果的かつ気の利いたプレーを見せた。
派手なプレーは少なく、助っ人にしては地味な存在であるが、チームにフィットしていて、チームにプラスアルファをもたらす存在である。
■ 1.5列目の平山相太①FW平山は、今シーズンのリーグ戦では3試合目のスタメン出場。この試合は、これまでのファーストトップではなく、セカンドトップでプレー。PKをゲットするなど、なかなかのプレーぶりを見せた。
悪い時のFW平山は下がりすぎてきてボールを失うシーンが多いが、この試合は1.5列目ということで、マークもそれほど厳しくない状態で、比較的、自由にプレーした。ディフェンスも積極的で、後半の押され気味の時間帯は、FW平山の好守にわたる活躍がチームの助けとなった。
FWカボレという1トップを高レベルでこなすことの出来るパートナーがいてこその1.5列目でのプレーではあるが、FW平山がトップ下の位置にいることは相手にとってはマークしにくく非常に厄介である。FWカボレを封じようとすると、その隙にFW平山にやられる危険性があり、186cmのFWカボレと190cmのFW平山がトップに並ぶと、攻撃に迫力が生まれる。
■ 1.5列目の平山相太②もちろん、彼に期待されることはゴールに絡むプレーであり、ノーゴールに終わったことは残念ではあったが、シュートへの積極性もまずまずで、特に、前半30分過ぎの胸トラップからの右足からのシュートは彼らしいダイナミックなプレーだった。
ゴール前で大きな体を生かして自らシュートチャンスを作ることが出来るのが彼の最大の長所であるが、解説の原氏の語っていたように、無駄に器用すぎる点が彼のストライカーとしての大成を阻害している面もある。判断力という意味では、まだまだ改善の予知はあるが、今後、試合を重ねていけば、向上する可能性は十分にある。
世界的に見ても、190cmオーバーで大型ストライカーに分類される選手は、大器晩成であることが多い。大型選手には不器用な選手が多いが、年を重ねるごとに体の使い方を覚えていって、相手DFとの駆け引きにも負けないようになっていく。
当然、早い段階で才能が開花すれば言うことはないが、まだまだ先は長く、FW平山も、周囲の声に惑わされることなく、着実に成長を見せていけば未来は開けてくるだろう。幸いにも、FC東京の城福監督は辛抱強くFW平山を起用しており、また彼がプレーしやすいシチュエーションも作ってくれており、FW平山自身もその監督の期待にこたえて見せている。
■ 最低限のドロー一方の千葉は、前半7分以降はずっと数的優位の状態であったが、セットプレーからDF佐原にゴールを奪われる苦しい展開で、相手GK塩田の数々のビッグセーブもあって嫌な展開になったが、後半にFW巻を投入したことでリズムを取り戻した。
そして後半23分に、それまで何度もシュートチャンスに決め切れていなかったFWレイナウドが値千金の同点ゴール。なんとか引き分けに持ち込んだ。
決定的なチャンスも多かったので悔やまれる結果ともいえるが、アウェーということを考えると悪くない成果であり、ミラー監督の不敗神話が途切れなかったのは大きかった。
■ ミラー監督の腕の見せ所ただ、スタメンは相当に守備的な布陣であり、相手が10人になってからも守備的な戦い方は変更しなかった。これが、前半の停滞感を生んだことは間違いなく、やり方次第では、早い時間帯から、もっとチャンスを作れた可能性も高い。
今後、ミラー監督がどういう戦い方をするのかは、まだ不明な部分もあるが、いくつかの試合ではリスクを背負って勝ち点「3」を取りに行く必要がある。その中でいかにしてバランス良く攻められるか、そして攻めに行った時に確実にネットを揺らすことができるか、攻撃的に出て行ってうまくいかなかったときに次善の策があるかどうか、ミラー監督の腕の見せ所である。
- 関連記事
-