センターバック → CBは現役の日本代表のレギュラーのDF今野(G大阪)がいる。本人のパフォーマンスの問題というよりは、「CBの層は厚くて、ボランチの層はやや薄い。」というチーム事情からボランチでプレーすることも少なくなかった。「代表選手」になると周囲の要求レベルが高くなるが、DF今野にしても、MF遠藤にしても、「さすが日本代表のレギュラー」と相手方のサポーターを唸らせるプレーをJ2でも披露した。
ただ、普通に考えると、このポジションのベストプレーヤーはDF山口(長崎)になるだろう。3バックの中央で起用されて、リーグ最少失点に大きく貢献した。湘南では「貴重なバックアッパー」止まりで、脚光を浴びる機会はほとんど無かったが、レンタル先の長崎で躍進の立役者の1人となった。リーグ戦は出場停止だった1試合を除く全試合でスタメンフル出場を果たした。
ボランチで出場する機会も多くて、しかも、日本代表の活動に参加するためチームを離れることが多かったDF今野をどう評価するか?というのが、このポジションの難しいところである。仕方がないとは言っても、リーグ戦は32試合の出場にとどまっており、10試合を欠場している。出場した32試合は全てスタメンフル出場で4ゴールを挙げているが、2880分のプレイングタイムというのはちょっと少なめである。
悩んだ末に2位には、DF山口智(千葉)を選出する。「高校生Jリーガー」の先がけだったDF山口智も35歳になったが、まだまだ、J2ではトップレベルのCBである。若い頃からミドルキックに定評があったが、左右に展開するミドルパスの精度の高さは見事と言うしかない。今シーズンはセットプレーを中心に6ゴールを挙げているが、これはDF登録となっている選手の中ではDF舩津(富山)と並んでリーグ最多となる。
CBの選手はイエローカードをもらう機会が多くなるので、全試合に出場するのは難しくなるが、今シーズン、CBの選手で全試合に出場した唯一の選手がDF多々良(松本山雅)である。第11節の福岡戦(A)は途中出場で1分の出場にとどまったが、それ以外の41試合はスタメンフル出場だった。今シーズンは3バックの中央で起用されることが多かったが、クリーンで、かつ、安定感のある守備でチームを支えた。
チームメイトのDF飯田(松本山雅)は惜しいことに41節の長崎戦(A)で4枚目のイエローカードを受けたため、最終節の愛媛FC戦(H)が出場停止となったが、41節までフルタイム出場を続けた。昨年は1ゴールにとどまったが、今シーズンは5ゴールを記録。高さと強さを生かしたパワフルな守備はもちろんのこと、得点力でもチームに貢献した。41節の長崎戦(A)で決めた後半43分の決勝ゴールは劇的だった。
当然、最終ラインの顔ぶれがコロコロ変わることは、チームにとってマイナスの要素が大きい。DF山口(長崎)、DF山口智(千葉)、DF多々良(松本山雅)、DF飯田(松本山雅)のように怪我をすることもなく、ずっと試合に出続けてくれる選手がいると監督は大助かりであるが、DF前田(北九州)とDF浦田(愛媛FC)の2人も出場停止だった1試合を除くと、全ての試合でフルタイム出場を果たした。
ベストプレーヤーの候補に入ってくるのは、DF前田(北九州)の方である。オフにたくさんの主力選手が流出して、難しいシーズンになることが予想された北九州の最終ラインの要となって、キーパーのGK武田とともに絶対に欠かせない選手となった。フィードについてはあまり得意ではなかったので、C大阪でプレーしていたときはパスミスが多かったが、年数を重ねるごとにパス出しも正確に出来るようになってきた。
他に候補になるのは、DF竹田(岡山)、DFチャ・ヨンファン(栃木SC)、DF岩波(神戸)、DFペ・スンジン(横浜FC)、DF野上(横浜FC)あたりか。今回は、どのポジションも、(FW宇佐美のような突出した選手は別として、)約8割のプレイングタイムとなる「3000分以上」を基準の1つとしているので、そこに満たない選手のハードルはちょっと高くなるが、この5人はいずれも「3000分以上」をクリアしている。
DF竹田(岡山)は3バックの中央で「リベロ」というよりは「スイーパー」的な仕事をしており、カバーリング能力の高さはJ2屈指である。もともとはボランチの選手なので、つなぎのパスも正確である。DFチャ・ヨンファン(栃木SC)も本職はボランチだと思うが、チーム事情もあってCBで起用される機会が多くなっている。危ういところも多いが、183センチの高さと精度の高いキックでチームに貢献している。
ユース出身で1年目のDF岩波(神戸)はまだまだ発展途上で、FW高原(東京V)のような経験のある選手とマッチアップすると子供扱いされることもあるが、今の段階では仕方がない。今シーズンの神戸はDF北本が病気のため長期離脱して、DF河本も怪我等で欠けることが多かったので、CB陣が極端に手薄になった。DF岩波が使えなかったら大変なことになっていたので、チームの危機を救ったと言える。
その他では、10年ぶりに水戸に戻ってきたDF冨田(水戸)もよく頑張った。こちらは2試合を欠場しただけで、3600分プレーしているが、これはGKも含めたJ2の全選手の中で20位となる。2004年から2009年まで大宮でプレーして、2010年は神戸、2011年と2012年は甲府に所属した。神戸と甲府ではあまり出場機会を得られなかったが、36歳となるシーズンで復活を印象付けるパフォーマンスを見せた。
多くの名前が挙がったが、先のとおり、1位はDF山口(長崎)で、2位はDF山口智(千葉)となる。3位以下は混戦なので、誰が選んでも、選出する人の好みが色濃く反映されるランキングになると思うが、ここでは、3位にDF飯田(松本山雅)、4位にDF今野(G大阪)、5位にDF岩波(神戸)をチョイスする。DF多々良(松本山雅)、DF竹田(岡山)、DF前田(北九州)などはランクインしてもおかしくないプレーを見せた。
ということで、当サイトの管理人が選ぶ2013年のJ2のポジション別ベストプレーヤーのCB部門は以下のとおりとする。次回はボランチ編。
1位: 山口貴弘 (V・ファーレン長崎)
2位: 山口智 (ジェフ千葉)
3位: 飯田真輝 (松本山雅)
4位: 今野泰幸 (ガンバ大阪)
5位: 岩波拓也 (ヴィッセル神戸)
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