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【東京五輪】「普通にやったらニュージーランドには勝てる。」という試合前の空気について | | |　

■　準々決勝が終了

男子サッカーは準々決勝が終了した。ベスト4が出揃ったが大会前に「死のグループ」と呼ばれたA組から日本とメキシコがベスト4進出を果たした一方で「激甘のグループ」と言われたB組は韓国とニュージーランドがいずれも準々決勝で敗れた。C組は首位通過を果たしたスペインが延長戦の末にD組のコートジボワールに勝利。D組も首位通過を果たしたブラジルがC組を2位で勝ち上がったエジプトに1対0で勝利した．

8月3日(火)に行われる準決勝はブラジル vs メキシコ、日本 vs スペインとなった。日本は悲願のメダル獲得まであと1勝となった。準決勝のスペイン戦は埼玉スタジアムで開催されるが決勝に進んだ場合は日産スタジアムで金メダルを目指すことになる。その一方でスペインに敗れて3位決定戦に回った場合は同じ埼玉スタジアムで銅メダルマッチに挑むことになる。いずれにしても男子サッカーは残り4試合となった。

アルゼンチン・ドイツ・フランスといった強豪がGL敗退となったがブラジル・メキシコ・スペインはもちろん、日本も前評判は高かった。ベスト4の顔ぶれとしては順当と言える。日本にとって幸運だったのは準々決勝の相手がニュージーランドだった点。抽選会後は「ルーマニア・ニュージーランド・ホンジュラスと同組になった韓国は組み合わせに恵まれた。」と盛んに報じられたが日本は準々決勝の相手に恵まれた。

■　鬼門だった世界大会の決勝Tの1回戦

もちろん、準々決勝のニュージーランド戦は楽な試合にはならなかった。むしろ、非常にタフな試合になったがアルゼンチンやドイツはもちろん、コートジボワールあたりも「準々決勝では対戦したくない相手」だった。なかなか先制ゴールを奪えない難しい展開になったがニュージーランドの攻撃はそこまで鋭くなかったので失点する確率は決して高くなかった。相手の高さに対しても日本の選手がしっかりと対応した。

ここ最近の日本代表は年代別代表を含めて「世界大会の決勝Tの1回戦」が鬼門になっていた。記憶に新しいところでは2018年のロシアW杯のラウンド16のベルギー戦である。GLを2位で突破したがベルギーに大逆転負けを喫した。2019年に行われたU-17W杯はメキシコ、同じ2019年に行われたU-20W杯は韓国にいずれもラウンド16で敗れているが「決勝Tで勝てていない。」というのは気になる要素だった。

五輪代表が嫌な流れを断ち切ってくれたが「世界大会でもGLを突破できる確率が高まっている。」という点はポジティブに考えられる。世界大会で全く歯が立たずに3連敗や2敗1分けで終わるケースは少なくなっており、世界との差は急速に縮まってきた。今回は3連勝で首位通過を果たしたが、やはり、GLを1位で突破できるのか？2位での突破になるのか？は大違いである。今回も2位通過であれば韓国が相手だった。

■　「普通にやれば勝てるという雰囲気

日本戦になると目の色を変えてくる韓国の方が準々決勝の相手としてははるか嫌だった。準々決勝で韓国がメキシコに敗れたのもメダル獲得を目指す日本にとっては悪くない話である。いい流れになっているが「ニュージーランド戦は良いレッスンになった。」と言える。GLの3戦目のフランス戦は4対0の大勝だったので「ニュージーランド戦もゴールラッシュになること」を期待した人が多かったがそこまで甘くなかった。

試合後のインタビューでキャプテンのDF吉田は「普通にやれば勝てるという雰囲気を危惧していた。」とコメントとしている。決勝Tの相手が強豪国ではない場合、選手も気が抜けてしまってサポーターも気が抜けてしまって、その結果、痛い目にあうケースは多々ある。準々決勝の相手がニュージーランドに決まった後、「チーム内が緩い空気にならないようにDF吉田が奮闘したこと」は容易に想像できる。

舐めてかかることもなくこれまでと同じテンションで準備を重ねたことがPKでの勝利につながったと思うが逆の視点で「過剰に相手をリスペクトしすぎるのもそれはそれで宜しくないのかも」という気もする。日本サッカー界はここ30年ほどで急速に進歩したが「日本リーグ時代からサッカーを観てきた50代や60代ファン」と「子供の頃にJリーグが誕生した30代や40代のファン」では考え方は大きく異なるだろう。

■　そういうメンタリティが宜しくないのか？

さらに「日本代表がW杯や五輪に出場するのは当たり前という感覚の10代や20代のファン」は30代以上のファンとは考え方が全く異なると思われる。当然、東京五輪代表でプレーしている日本代表の選手のほとんどは10代後半 or 20代前半である。「ニュージーランドでしょ。」、「普通にやったら楽勝！」と思っても不思議はない。そういうメンタリティが宜しくないのか？というと必ずしもそういうわけではないと思う。

サッカーに限らずスポーツは精神的に優位に立った選手やチームの方が圧倒的に有利である。当然、舐めてかかって痛い目に合うケースもあるがその確率はかなり低い。「余裕で勝てる。」、「楽勝だ！」、「自分たちの方が実力的にははるかに上」などなど余裕やゆとりをもってプレーした時の方が高いパフォーマンスが発揮されやすい。「慎重になりすぎて結果を出せないパターン」もスポーツの世界ではよく見られる。

先制ゴールを奪えずに余裕のない攻撃に終始したニュージーランド戦の後半以降の戦い方を見ると「もっと見下しても良かったのでは？」という気もする。幸いにしてここ最近の日本代表はW杯などでまずまず以上の成績を残しているので「日本代表の方が格上」と日本のことをリスペクトするチームが世界大会でも増えてきた。30代以上のサッカーファンはもっと日本代表に自信をもっていいのかもしれない。

　→　2013/09/10 　2020年の東京五輪の開催決定に思うこと

　・【パリ五輪】3年後の本大会のメンバーに選ばれると思う選手は？(GK/DF)
　・【パリ五輪】3年後の本大会のメンバーに選ばれると思う選手は？(MF/FW)