空騒ぎ:トランプ大統領のウクライナ大詰め計画
2024年12月16日
New Eastern Outlook
ドナルド・トランプがアメリカ大統領就任の準備を進める中、ウクライナでの軍事紛争を終わらせるための彼の手法は厳しい監視を受けている。
空騒ぎ:トランプ大統領のウクライナ大詰め計画
ウクライナの軍事紛争を終わらせるために、ドナルド・トランプ次期米大統領が取れる選択肢は何だろう。バイデン政権(および欧州の同盟諸国)が定めた道を進むことはいつでもできる。だが、この紛争が始まってから三年経ったが、問題は、計画が、これまでどう機能してきたかだ。ロシアは軍事的にも経済的にも強い。金融制裁や欧州によるロシア・エネルギー供給ボイコットやアメリカとNATOによるウクライナへの軍事支援は、モスクワを屈服させたり、ウクライナのNATO加盟を確保したりするのに役立っていない。
この問題全体、外交的手段で解決できたはずだ
実業家から政治家に転身したトランプは、NATOの対ロシア戦争は、取り消すべき、まずい取り引きだと考えている。そのため、彼の政治的同盟者は既に最終計画を公に共有している。問題は、それがうまく機能し、ロシアに受け入れられるかどうかだ。最も重要なのは、NATO拡大のため紛争が必要だと本質的に考えているアメリカ「ディープステート」にトランプ政権が対抗しなければならないことだ。最後に、大詰め計画という事実自体が、紛争全体を巡る欧米側の偽善やウクライナが三年間それを認めていたことを暴露している。
大詰め計画
報道によれば、トランプ大統領のロシア・ウクライナ特使キース・ケロッグが紛争を終わらせる計画の詳細を明らかにした。この計画は、何よりまず、ウクライナのNATO加盟申請を棚上げにするものだ。現在、ウクライナ当局者はトランプ大統領の宣誓前に紛争解決の道筋をつけるため「大幅な溝を狭める」べく、次期トランプ政権関係者と協議中だ。彼らの動きはそれほど素早いのだ!
今やNATO加盟申請を取り下げる「意思」をウクライナが示している事実から、もしこれをするのが今と同じくらい簡単だったら、なぜ2022年初頭にウクライナはそうしなかったのかという疑問が残る。結局、この紛争全体無意味だったのだろうか。悲しいことに、結局そうだったようだ。2016年から2020年の間に、トランプ政権がNATOから距離を置いたことで生じた「損害」を元に戻したいアメリカ「ディープステート」の手先になることをウクライナは選んだ。「ディープステート」は、アメリカとNATOの関係を復活させるだけでなく、その地政学的重要性を維持するため関係拡大計画を実行に移した。その道はウクライナを経由した。NATOが新加盟諸国(スウェーデンとフィンランド)を加えて拡大した点はうまくいったが、最終的には見た目より遙かに経費がかかることになるだろう。ロシアが現在支配している地域の一部でも:支配権を維持し、ウクライナがNATO加盟申請を永久に取り下げることに同意すれば、欧米諸国の覇権にとって大打撃になるだろう。
暴露された偽善
現在、ケロッグは大詰めを監督している。なぜ彼はそうしているのか。それは、この危機全体の根底にある偽善を彼が理解しているからだ。公式には、ウクライナの主権を脅かしたのはロシアだった。個人的に、ケロッグが2024年4月の政策文書に書いた通り、この問題全体、バイデン政権によるウクライナを介したロシアとの「代理戦争」に過ぎなかった。この問題全体は外交手段で解決できたはずで、トランプ政権は今それをしようとしている。突然、ウクライナ指導部もその気になった。実際、変わったのは、アメリカの「ディープステート」にとって、彼らの外交政策に無批判に従う大統領がホワイトハウスにいなくなっただけだ。それでも「ディープステート」は非常に不満で既に反応している。
「ディープステート」の反応:戦争は続けるべきだ
アメリカ製ミサイルをウクライナがロシア領内に発射するのをバイデン政権が許可して、数週間前、一つの反応が起きた。事態を複雑にすることが狙いだった。ロシアが核兵器という選択肢に頼るのをバイデン政権は心の底で望んでいた。だがロシアが他の戦術的選択肢、つまり新しい迎撃不可能なミサイルを武器として持っていることに彼らは全く気付いていなかった。
こうしてロシア挑発計画は失敗した。だが「ディープステート」は今別の場所で姿を現しつつある。手口は代替案や既存案の重要な変更点を広めるためのメディア利用だ。
拷問を擁護し、CIAの戦争を支持し、ブッシュ政権の一員だった(ブッシュのスピーチライターだった)非常に有名なアメリカ「保守派」マーク・A・ティーセンが、ワシントンポスト紙に最近寄稿し、たとえトランプが紛争を終わらせられたとしても、アメリカはウクライナへの武器供給を続けなければならないと述べた。
「ウクライナはロシアを抑止できるほど軍事的に強力でなければならない。核抑止力を放棄し、他国に守ってもらうことに頼ったのは間違いだった。ウクライナはロシアが決して対抗できないほど強力な通常抑止力を構築する必要がある。これはトランプが平和構築に成功したとしても、ウクライナに武器を供給しなければならないという要請が続くことを意味する。アメリカ国民に費用負担させない方法で、キーウに向かうアメリカ兵器の流入を増やす仕組みを見つけなければならない」。ティーセンによると、ロシア大統領は平和を望んでいない。彼がウクライナを望んでいるのだ。これは、2021年後半に、NATOのウクライナへの拡大により直接脅かされるロシアの安全保障上の権益の正当性を認めようとしなかった「ディープステート」とバイデン政権が激しく主張したのと全く同じ主張だ。
トランプの紛争終結の試みに「ディープステート」が重大な打撃を与える可能性はなさそうだが、連中がロシアと戦い続けたいのは否定できない。ウクライナでないにせよ、今やシリアで再び出現した。シリア奪還して、連中はロシアが得た物をチャラにしたいのだ。ロシアがウクライナで「得た分」を、シリアでロシアが「損失した分」で相殺できると連中は心の底で考えているのだ。それはうまくいくのだろうか? トランプの「戦争なし」政策は、シリアの「反政府勢力」をも破滅させかねない。
Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交・内政評論家。
記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/12/16/much-ado-about-nothing-trumps-plans-for-ukraine-end-game/
----------
先日「天保十二年のシェークスピア」を観劇。シェークスピアの芝居をほぼ全てとりこんだ傑作。ブルーレイを購入しようかと思っている。
「空騒ぎ」という記事名、シェークスピアの芝居「Much Ado About Nothing」。
Dualogue Works 今回は長いが、納得。
Ray McGovern | Russia's Retaliation: Is Ukraine Facing Total Destruction? 1:11:33今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国世論調査、問「コロナワクチンは最も致死性の高いワクチンか」答え米国全体yes 27%、民主党支持者yes 17%、共和党支持者yes 40%日刊IWJガイド
「ロシア軍の放射線・化学・生物防衛部隊の指揮官イーゴリ・キリロフ将軍が爆殺される!『NATOとCIAが深く関与していた』との情報も!」2024.12.19号
■はじめに~ロシア軍の放射線・化学・生物防衛部隊(RChBZ)の指揮官イーゴリ・キリロフ将軍が爆殺される! 爆殺班はウクライナの治安機関に10万ドルで雇われたウズベキスタン人の男! ウクライナ東部戦線で圧倒的な劣勢にあるウクライナは、要人暗殺テロを強化!? 元米軍のマクレガー大佐は、「NATOとCIAが深く関与していた」との情報があると指摘!
最近のコメント