Telegramのパベル・デュロフを人質に取ったフランス
2024年8月30日
Strategic Culture Foundation
論説
アメリカ主導のウクライナでのNATO代理戦争がロシアに対し悲惨な敗北段階に入った今、欧米エリート連中は批判的メディアを全て閉鎖しなければならない。
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犯罪への共謀という不条理な容疑は、欧米諸国政権を批判する言論や、情報の自由を封じ込めるための口実だ。それはそれほど単純かつ暴君的だ。
Telegram所有者パベル・デュロフは、捜査が進む間、フランスで何年も拘留される可能性がある。有罪となれば、懲役10年が科せられる。この事件には、ジュリアン・アサンジに対する迫害の不吉な響きがある。
Telegram創設者兼オーナーであるパベル・デュロフ(39)は、8月24日、パリ北部のル・ブルジェ空港に着陸した自家用ジェットから降りたところをフランス警察に逮捕された。彼はアゼルバイジャンから飛行してきた。
4日間の拘留後、水曜日デュロフ容疑者は、500万ユーロの保釈金を支払い、サイバー犯罪捜査の期間中フランスを出国しない条件で釈放された。デュロフ容疑者はドバイに住んでおり、ロシアとフランスの国籍に加え、アラブ首長国連邦の市民権も持っている。
犯罪組織による麻薬密売や、児童ポルノ配布を認めるソーシャルメディア運営など様々な犯罪への共謀の罪でフランス当局は彼を告発している。犯罪ネットワーク取り締まりに協力しなかった罪でも告発されている。弁護側は容疑を否認し、デジタルメディアを規制する欧州規制を全て遵守しているとTelegramは主張している。
この事件全体に、論の自由と独立メディアを脅迫するためにフランス当局が言行った劇的で過酷な取り締まりの臭いがする。容疑がかけられている犯罪は、デュロフと彼の正当な手続きを受ける権利を、世論に否定させるのを狙ったのだ。
怪しいことに、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は過去一週間に二度、公の場で発言し、パベル逮捕を事前に知らなかったし、自分は逮捕に無関係だと主張した。更にフランスは言論の自由と司法の独立を擁護する国だとマクロン大統領は宣言した。
マクロンが急いで距離を置いたのはアリバイ工作のように聞こえる。フランス・メディアの報道によると、逮捕した警官に、マクロンと夕食を共にするため旅行中だったとデュロフは話している。フランス捜査当局が彼に圧力をかける口実として、彼のソーシャルネットワークを調査していると知りながら、Telegramオーナーがパリに飛ぶ危険を冒したのは奇妙に思える。
ロシア生まれの起業家に、自由に旅行できると個人的に保証して、マクロン大統領が罠にかけたのだろうか? 逮捕状は、自家用ジェットがフランス領空に入った後に急遽作成されたようだ。 やはり、これは罠の匂いがする。
マクロンとデュロフは以前にも会ったことがあると報じられている。マクロンはデュロフにTelegramの拠点をドバイからフランスに移すよう働きかけてきた。2021年にフランスのパスポートを授与したのは誘致策の一環だと考えられている。マクロンがフランスをハイテクのグローバル拠点として再編しようとしていることは良く知られている。
デュロフに対する告発は、過酷なだけでなく不条理でもある。ソーシャル・ネットワーク所有者はネットワークの内容に責任があるとか共犯者だとみなす考えは全く不合理だ。
同じ論理で、電話会社経営者を逮捕したらどうだろう。それはばかげているし、何か裏の狙いがあることを示している。
Telegramは、2013年から2014年にかけて、デュロフ (と彼の兄) に設立された。彼は、ユーザーのプライバシーへのアクセスを許可するというロシア当局の要求に応じなかったため、2014年にロシアを離れた。長年にわたり、Telegramは世界中で成長し、月間ユーザー数が10億人近くに達する大手メッセージング・アプリの一つになった。安全な通信と政府からの厳しい独立性で定評がある。
今年初め、Telegramの暗号鍵を引き渡すようアメリカ当局から頻繁に嫌がらせを受けているが、拒否しているとアメリカ人ジャーナリスト、タッカー・カールソンのインタビューで、パベル・デュロフは語ていた。
対照的に、WhatsAppなどの欧米諸国を拠点とする競合アプリや欧米諸国が支配するインターネット企業は、個人や集団間のプライベートとされる通信への「裏口アクセス」を許すことに関し、アメリカや欧州当局の圧力に屈したことが知られている。
しかし、そうは言っても、これら欧米アプリの内容は犯罪組織や、酷く下品な内容で汚染されている。パベル・デュロフにかけられたのと同様容疑で、次はマーク・ザッカーバーグやイーロン・マスクが逮捕されない理由はないだろう。
違いは、以前Telegramがロシア諜報機関にしていたのと同様に、欧米諸国の諜報機関の指示に従うのを拒否している点だ。Telegram所有者は「言論の自由絶対主義者」だと言えるだろう。
Telegramの犯罪的使用 (全てのアプリに共通する傾向) より遙かに重要なのは独立したニュースや分析を広めるために、このプラットフォームが主に使用されていることだ。
Telegramは、ウクライナ戦争に関する正確な情報で、うらやましいほどの評判を得ている。Telegramで紛争に関する信頼できる重要な情報を提供する独立系ニュース・チャンネルが数多く誕生している。欧米諸国政府やNATOプロパガンダに屈する欧米諸国メディアやソーシャルネットワークと異なり、Telegramは、欧米西諸国の言説が偽物であることを暴露する、より情報に基づく戦争観を可能にしている。ウクライナ民主主義の擁護? むしろ、ネオナチ政権擁護と欧米諸国の戦争経済擁護を。
事実、Telegramは欧米諸国政権に支配されない世界的に重要な独立メディア・ネットワークになっている。Telegramが弾圧の標的となっているのは、所有者の犯罪行為容疑疑のためではなく、このためだ。後者の理由は哀れな口実だ。
ウクライナにおけるアメリカ主導のNATO代理戦争がロシアに対する悲惨な敗北の段階に入った今、欧米エリート連中は批判的なメディアを全て閉鎖しなければならないのだ。
WikiLeaks発行者ジュリアン・アサンジがアメリカとNATOの戦争犯罪を暴露したため、とんでもない迫害(イギリスの地下牢で5年間独房監禁)を受けた後、自由なメディアに対する取り締まりの事例が急増しているのは偶然ではない。ウクライナでのアメリカの代理戦争に対する評価が高い批判者、アメリカ人評論家のスコット・リッターは、最近FBIによる家宅捜索を受けた。ウクライナ戦争や、欧米が支援するパレスチナでのイスラエルの大量虐殺に対する批判的見解を理由に、他の独立系ジャーナリストも、イギリスやフランスやドイツやヨーロッパ全土で逮捕されたり嫌がらせを受けたりしている。欧米のいわゆる民主主義国は、独立したジャーナリズムと思想の自由に対して、益々ファシスト軍靴攻撃を行っている。
欧米エリートとそのファシズム的権力は、権威の見せかけに致命的な影響を与えるいかなる批判や反対意見も容認できないのだ。威厳と脆いエゴイズムを誇示するエマニュエル・マクロンは、欧米エリートを体現している。
曖昧で漠然としたサイバー犯罪捜査の結果をパベル・デュロフは待っているが、捜査が完了するまで何年もかかるかもしれない。捜査が終われば、彼は更に10年投獄され、巨額の罰金を払うことになるかもしれない。言論の自由という最高の原則を掲げるフランスは、言論の自由と思想の独立性を殺す卑劣な目的のため罪のない人を人質に取る堕落に陥ったのだ。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/08/30/france-stoops-hostage-taking-telegram-pavel-durov/
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確かに犯罪人はTelegramを利用するが、自動車も利用する。フランス政府はプジョーやルノーの社長も逮捕すべきだとペスコフ報道官は語った。
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