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2023年5月23日 (火)

プロパガンダを管理するため存在している欧米ニュース・メディア

2023年5月20日
ケイトリン・ジョンストン

 この記事の英語朗読を聞く(ティム・フォーリーによる朗読)。

 我々の社会で最も見過ごされ過小評価されている唯一最大の側面は、大多数の欧米人が世界を認識し考える方法を形成するため国内プロパガンダが使用されている方法だ。

 我々が日常生活でプロパガンダに出会う圧倒的多数は国内で行われるものであるにもかかわらず、通常主流言説が言及する「プロパガンダ」という言葉は、外国が自国民に対してしていることや外国が実行している影響力作戦の言及だ。

 最近欧米マスコミは、アメリカに中央集権化している帝国のプロパガンダ屋としての連中の役割を、いつもより余計に暴露している。最近の例をいくつか紹介しよう。

 帝国プロパガンダ組織のベリングキャットを積極的に擁護するマスメディア

 帝国が資金供給する情報歪曲組織ベリングキャットがサイ・オプを指揮していると非難するイーロン・マスクの再三の発言を非難するため、欧米マスコミはあちこちで躍起になっている。アーロン・マテがグレイゾーンで説明している通り、この非難は完全に公正で正確だ。ベリングキャットは欧米帝国の利益に役立つ形に情報生態系を操作するため欧米政府から金を貰っており、それはまさに心理戦だ。「サイ・オプ」はサイコロジカル・オペレーション(心理戦)の略で、心理戦争の構成要素で、直接対決できない核大国間冷戦紛争で一層重要になっている

 この明白な事実も、ベリングキャットを大量に引用するマスメディアが必死にこの組織を弁護するのを止めることはない。ベリングキャットのアリック・トーラーは、MSNBCの「オール・イン・ウィズ・クリス・ヘイズ」に招かれて出演し、一切異議も言われず、このメディアを擁護し、有名評論家CNNのジェイク・タッパーは、このプロパガンダ・メディアをジャーナリズムの誠実さの手本だとツイッターで発言した。

 「ベリングキャットは素晴らしいジャーナリズム組織だ」とタッパーはツイートした。「逆に、かつてマスクは2016年にヒラリー・クリントンが亡くなり替え玉に置き換えたと主張した狂ったウェブサイト、サンタモニカ・オブザーバーの錯乱したポール・ペロシ記事にリンクしていた。」

 逆に、露骨な帝国心理作戦で利用され、ベリングキャットとCNN両者に増幅され 支持されていた7歳の少女バナ・アルアベドを、シリアでの戦争に関心がある人は誰であれフォローすべきだと、かつてタッパーはツイートしていた

 数年前アラン・マクラウドがミントプレス・ニュースで書いたように、ベリングキャットは、CIAの隠れ蓑、全米民主主義基金などの欧米政府筋から資金提供を受けているだけでなく、多数の欧米軍隊や諜報機関の「退役者」が送り込まれている。マスコミが、この明らかに腐敗した機関を絶えず称賛し、擁護する一方、その活動を日常的に引用する様相は、この政府プロパガンダ機関が信頼できる情報源だと多数の聴衆に伝え、政府の敵に関する報道でその情報を引用しており一種の情報洗浄だ。

 ベリングキャット自体は破壊的で害悪なはずはない。それを破壊的で害悪なものにしているのは欧米メディアが、このメディアの大規模な利益相反を視聴者に開示することなく、ニュース記事を装う主張を公開しながら、それを絶えず増幅している手口だ。戦争プロパガンダが自己の正当性を証明する自慰行為に過ぎない。

 ロシアがウクライナ武器庫を攻撃した場合「報道するのは許されない」とCNN記者は述べている。

 木曜ロシアが発射した29発のミサイル中30発を撃墜したというウクライナ政府の主張に続いてCNNニュースセントラル司会者ブリアンナ・ケイラーはミサイルの一発がウクライナ武器庫に命中したというロシアの主張は真実かと外国特派員サム・カイリーに尋ねた

 「サム、ロシアはウクライナ武器庫を攻撃したと主張していますが真実でしょうか?」とケイラーは尋ねた。

 「そうかも。もしそうなら我々はそれを報道することは許されないでしょう」とカイリーは答えた。彼は「我々は知らない」と付け加え「行方不明のミサイルが1発あり、それがどこに行ったかわからない」と認めた。

 この問題に関するCNNの不透明さの説明で、カイリーは「これはロシアが我々から得るかもしれない情報に基づいて連中の砲撃や標的を調整できないようにするウクライナの努力の一環だ」と述べた。

 これはウクライナ政府やウクライナ国営メディアに期待する普通の発言だが、CNN記者たちが、この局は現地の客観的事実を報道するのではなく、ウクライナ軍の情報利益を保護すると公然と言い、CNNが外国政府の戦争プロパガンダ放送局として活動しているのを認めているのだ。これは公平な報道ではない。これが外国について報道するアメリカ報道機関で、その国の戦争に直接参加するかのように、ロシアとの戦時体制下にあるかのように行動しているのだ。

 そしてもちろん、これはこの戦争が始まるずっと前から長い間 明白だったこと、欧米マスコミがアメリカに中央集権化する帝国の権益を前進させ、ロシア権益を弱体化させることが連中の仕事だと信じていると露骨に認めているに過ぎない。つまり彼らはプロパガンダ屋なのだ。

ロッキード・マーティンCEOがCFR取締役会メンバーに就任。

 

 Responsible Statecraftのイーライ・クリフトンは、非常に影響力あるシンクタンク外交問題評議会CFR理事会メンバー10人の招聘候補者には「確実に世界最大の武器商人」であるロッキード・マーティン会長兼CEOジェームズ・タイクレットが含まれていると報じている。CFRメンバーは招聘候補者全員に賛成または反対票を投じる必要があり、特定候補者に賛成または反対票を投じることはできない。

 CFRは現在既に軍産複合体の複数幹部を取締役会に擁しているとクリフトンは述べている。


 「アメリカ外交政策と国際関係に焦点を当てるニューヨークを拠点とするシンクタンクCFR取締役会は兵器産業受け入れに縁が無いわけではない。CFR会長は未公開株式企業で、防衛産業に焦点を当てているカーライル・グループ共同創設者兼共同会長デビッド・ルーベンスタインで、取締役会には現在レイセオン取締役会メンバー、メーガン・L・オサリバンやバージニア州に本拠を置く兵器企業レオナルド・システムズ取締役のフランシス・タウンゼントがいる。(CFRのタウンゼント履歴には武器企業での彼女の役職に関する言及は省略されている、レオナルド・システムズはウェブサイトの彼女の経歴にCFR取締役会メンバーと記載している。

 はっきりさせておくが、CFRが非常に影響力があると私が言う際、それは途方もなく影響力があると言っているのだ。顔ぶれは欧米世界の主要メディア機関全体に及び、かつてタイム誌の編集者でもあった元国務省幹部がアメリカ人の考え方に影響を与えるためプロパガンダを利用する慣行を公然と支持するパネルを主催したこともあった

 

 外交政策「シンクタンク」は軍産複合体の影響力作戦に他ならないことが多く、より多くの人々がこれに気づけば先進諸国の情報環境は大幅に改善されるはずだ。だから、これら機関が戦争産業に資金提供されているだけでなく、軍需産業に直接運営されているのを見るのは爽快なほど率直だ。

 クリフトンからもう少し。


 昨年、Responsible Statecraftは、国務省と国際開発庁の予算の1.5倍に当たる750億ドルを国防総省との契約で2020年度に受け取るのは妥当な収支バランスか、アメリカの国家的優先事項を反映しているのかどうかタイクレットに尋ねた。彼が率いる企業に利益をもたらした予算配分を擁護して、それは「アメリカ政府次第」だと答え「我々が要求された措置をとるのは我々次第で、我々は、それをより効果的な方法で行おうとしているだけで、それが我々の役割だ」とタイクレットは主張した。

 OpenSecretsによると、彼の主張はロッキードが昨年連邦政府に対するロビー活動に13万ドル以上費やし、ロビー活動を国防予算に集中させている理由を説明していない。

 戦争で儲ける連中が存在していただけでなく、戦争挑発を強化し、シンクタンクを利用して戦争への国民の同意をでっち上げるのを助けるよう政府にロビー活動することが法的に許可されていた事実を、我々はいつか恐怖で振り返るだろう。

 ピート・ブティジェッジについて驚異的な愛を熱く語るワイアード

 これは他の例より気軽で、さほど重要ではないが、欧米ニュース・メディアで働く人々はどういう連中かの例証だ。

 「ピート・ブティジェッジは神とビールと電動マスタングを愛している」という題の記事「確かにアメリカ運輸長官は橋建設を考えている。しかしインフラは彼の膨大な心のほんの一部でしかない」という副題で、Wiredのバージニア・ヘファーナンは下記段落を書いている。


 春先ある午後ブティジェッジ長官と家具もまばらな事務所で話していた時に、閣僚の仕事は彼の能力のわずかな部分しか必要でないのに徐々に気がついた。冗談ではなく他の知的能力は、イリアスやピューリタン歴史学、原作のノルウェー語版ではないが(責任回避)クナウスゴールの著書「Spring」に割り当てられている。幸いなことに、彼は大聖堂のような心の中から、もう一つ後陣を捧げて、新自由主義や男らしさやキリスト教という3つの強力な話題に関する彼の考えを私に理解できるようにしてくれた。

 神よ! 傑作だ。2016年のヘファーナンによるヒラリー・クリントンちょうちん記事より間違いなく勝っている。「彼女は大統領以上のものかも知れない。彼女は世界史のヒロイン、彼女自身が光だ。大統領職は彼女には小さすぎる。」本物の狂人ルイーズ・メンシュを「我々の時代のサイ・ハーシュ」とヘファーナンが表現したよりも勝っている。

 淑女、紳士のみなさま、これが欧米ジャーナリズムなのだ。

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 画像はケンランドから (CC BY-SA 2.0)

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2023/05/20/western-news-media-exist-to-administer-propaganda/

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 Alex Christoforou サミットにバフムート陥落ニュースの間の悪さ アメリカ、ウクライナのクリミア攻撃を許可。

Biden, spring offensive start date. Lula stood up by Elensky. F16s will win. Greece elections. 36:20

 植草一秀の『知られざる真実』

歴史上最低最悪のサミット

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

ウクライナ戦争で米ホワイトハウスを含め、米国政権の様々な部局で、ロシア、ウクライナがいずれも軍事的に勝利し得ない事を前提に、今後どう展開させていくかを検討している。一つのパターンは朝鮮戦争の如く「凍結」。戦争の長期化。BATO拡大でなく支援の形。

 日刊IWJガイド

「米国の軍事安全保障専門家14人が『ロシア・ウクライナ戦争による暴力の解決策は、兵器の増強ではなく外交努力だ』とする公開書簡を発表!」

はじめに~G7広島サミット直前、米国の軍事安全保障専門家14人が『ニューヨーク・タイムズ』紙面5ページにわたり「ロシア・ウクライナ戦争による暴力の解決策は、兵器の増強ではなく外交努力だ」とする公開書簡を掲載、ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏も「米国の悲惨な対ウクライナ政策に対する彼らの批判は、注目に値する」とツイート! ウクライナ紛争の原因をネオコンと兵器メーカーのロビーイングによる「NATO東方拡大」、「ロシアへの挑発」と指摘!「ロシアかウクライナのどちらかを選択しなければならない、という考えを、私たちは拒否する。外交を支持する私たちは、正気、人間性、平和の側を選択する」と訴え!!

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コメント

 El-Abd、アラビア語綴りالعبدという姓はありふれたものと思われます。英語の綴りで同姓の人々が多数みつかります。
 解釈はご自由ですが「奴隷のバナ」という解釈は強引に過ぎるでしょう。
アラビア文字を学ぶようお勧めします。個人的体験で一ヶ月で綴りは覚えられます。必要にせまられて、岩波のアラビア語教科書を使いました。
 現地主張時に下記辞書を購入しました。所詮無理なので専攻の方に差し上げました。
THE HANS WEHR DICTIONARY OF MODERN WRITTEN ARABI
Edited by J M.Cowan

Bana El-AbdをWikipediaで検索して、そのアラビア語かペルシア語の説明を、英語でグーグル翻訳すると、"Bana the slave"となります。日本語に翻訳しても、「奴隷のバナ」になります。この言葉に意味があるように思えてなりません。

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