NATOの危機を引き起こす潜水艦取り引き
2021年9月23日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook
フランスとの取り引き契約を破棄し、アメリカから原子力潜水艦を購入するオーストラリアの決定に関し、アメリカとオーストラリアから大使を召還するフランスの決定はNATOの危機を引き起こした。フランス外務大臣ジャン=イヴ・ル・ドリアンは、事態の展開を、背中を刺されたと表現した。「我々はオーストラリアと信頼し合える関係を確立していたが、この信頼は裏切られた」と述べた。この危機は、中国との新たな「冷戦2.0」で、NATOが益々無関係になりつつあるのを浮かび上がらせるだけでなく、ジョー・バイデンのホワイトハウス入りが、トランプ政権が同盟に与えたと思われた打撃を本当に解消してはいないことを示している。「我々がインド-太平洋地域の未曾有の課題に直面している時に、オーストラリアとの重要な協力からヨーロッパ同盟国でパートナーのフランスを排除するアメリカの決定は、我々の価値観や法による統治に基づく多国主義に対する尊重に基づくものであれ、フランスが感じ残念に思う一貫性の欠如を示している」とル・ドリアンは付け加えた。
オーストラリア、アメリカとイギリスの新同盟を確立するバイデンの決定は、最近の脅威に対する評価を考慮して、世界的な立場を再調整するため、アメリカが、これまで数年行ってきた一連の決定の継続に過ぎない。4月、バイデンが撤退の決断をした際、アメリカが兵士2,500人だったのと比較して、NATOはアフガニスタンに兵士約7,000人を派兵していた。7月、アフガニスタンのバグラム共同空軍基地撤退をバイデンが命じた際、彼はアフガニスタン政府に通知し損ねただけでなく、NATOとも調整し損ねていた。
アフガニスタンから撤退するジョー・バイデン決定は、NATOの20年戦争に打撃を与え、撤退と、同時、あるいは、その後の混乱は、衰退する西欧を示したが、新同盟で、アメリカにとって、ヨーロッパは一層無関係になり、「西洋」の終局的な、イデオロギー的、体制的凋落を加速する。欧米の一部評論家が指摘したように、ヨーロッパからアメリカの焦点が益々離れつつあるため、ノルド・ストリーム2完成を阻止するため課していた制約をバイデンが撤廃したのも、部分的には、それが理由だ。そのため、アメリカの決定は、一部東ヨーロッパ同盟諸国の権益を無視したが、それはヨーロッパ/EUとアメリカ対外政策間の増大する距離を物語っている。
アメリカから独立したヨーロッパ安全保障インフラ構築を主張していたフランスにとって、アメリカがヨーロッパとの距離を拡大するのは「ヨーロッパの戦略上の自治」という目標を追求する、もう一つの理由になる。
だがワシントンにとって、アメリカの政策はグローバル・シナリオに合わせて変える必要がある。中国との増大するライバル関係が、東アジアとインド-太平洋への移行を必要としており、西方への「ソ連拡大」の可能性が実存的脅威と見られていた冷戦中にそうしたように、ヨーロッパの懸念に、アメリカが対処する余地はほとんどない。
ジョー・バイデン政権は、それに応じて、その政策と関係を再編している。9月23日、ジョー・バイデンはクアッド指導者の初めての対面会談で、日本、オーストラリアとインドの指導者に会う予定だ。
この組織に、ヨーロッパは、明らかに全く役に立たない。だがこの取り引きと同盟の重要な点は、それが直接フランスのインド-太平洋での立場を損なうことだ。例えば、オーストラリア-フランス取り引きは大規模商業事業ではあったが、フランス自身のインド-太平洋での立場と権益の基礎と想定されていた点で、地政学的に極めて重要だった。それは2016年に承認され、今年早々見直されたフランス-オーストラリアのインド-太平洋安全保障パートナーシップの一環だった。
だがアメリカにとっては、この取り引き契約と提携からフランス/EU/NATOを締め出す理由は、中国への効果的な挑戦で、EUは、ほとんど頼れないのだから、アメリカの計算上は論理的だ。去年EUはアメリカの懸念を無視する形で、中国との投資協定に署名した。アメリカが、フランスを背中から刺して、反撃した今、EU/NATOは、その組織的立場や、アメリカとの関係を永久に変化させる危機に直面している。
アメリカ-EU関係が、冷戦中のものと同じわけがないのは否定しようがない。変化する国際秩序との関係を維持するには、いくつかの困難な戦略上の再調整を行う必要がある。様々な意味で、この危機は、EU、アメリカ双方が、かなり長期間行ってきた変更の、ありのままの反映だ。中国と戦うのをいとわない同盟国をアメリカが探し求めているのに対し、EUはアメリカからは独立た権益関係を組み立て、推進する方法を探していた。だから、EUは中国に懸念を持ってはいるものの、EUの最近のインド-太平洋戦略文書が多少詳しく述べている露骨な軍事競争に基づいて連合を構築することを求めていない。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は中国を「大きな難題」と記述せず、NATOは「中国を単純に否定して」はならないと強く主張し続けた。
従って、中国との競争において、アメリカとEU加盟国が、なぜ不適当な組み合わせか想像するのは困難ではない。世界覇権争いが、東アジアとインド-太平洋で展開している事実のもとで、NATOは、いくつかの重要な問題に直面している。これはNATOが解体し、崩壊することを示唆しているわけではないが、この組織が中国に対し、いかなる役割も演じることがありそうもない事実は、アメリカが、資源や関与継続の保証を進んで約束しないことを意味する。ロシアは、ヨーロッパとNATOにとって、重要なままだが、アメリカが21世紀に競合しようとしているのは、ロシアではなく、中国だ。アメリカ-ロシアのライバル意識は確かに生き続けてはいるが、冷戦競争と大きく違い、ヨーロッパに対するアメリカの無制限な誓約や駐留を必要としない。
それに加えて、かつて大西洋両岸の絆を定義したイデオロギーの一致は、EU-ロシアの恒久的正常化を含め、新たな可能性を作るべく急速に侵食されているように思われる。これは大いに可能性があり、ノルド・ストリーム2からも明白だ。EU-ロシア正常化が、さらにアメリカとEUの関係を薄めるだろう。現在の路線が続けば、アメリカ、EU双方が、ロシアと中国との関係で、戦線ではなく、独自の対応策を開発することになるだろう。これら対応策は「多国間関係」を強化するだけでなく、世界的対立や競争の性格を大きく変えるだろう。
Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/09/23/submarine-deal-triggers-a-crisis-in-nato/
----------
葬祭選テレビ・ジャック、ようやく終わった。いつもの大本営広報洗脳番組にもどった。
デモクラシータイムス
昨日は、下記IWJ再配信を拝聴。女医お二人によるコロナ政策批判もさることながら、自民党総裁選を巡る対中国戦線暴言問題が中心。大本営広報部は知りながら報じない内容。心配なのは、中身が濃く短時間では語れない内容とは言え、現役で働いておられる方々に、二時間を越える番組を最後まで拝聴する時間的、精神的余裕がおありだろうかという点。大本営広報部洗脳バラエティー、その点、明るく楽しく短く物事を誤報する能力はたけている。そもそも大本営広報部、極右女性政治家の電磁波先制攻撃に触れない。(最近バラエティーを全く見ていないので想像。代わりに音楽を聴いている。)
フルオープン【9/29 20時~再配信】岩上安身による日本女医会理事・青木正美医師、日本女医会前会長・前田佳子医師インタビュー(電磁パルス編)
今日の日刊IWJガイドから、一部をコピーさせていただこう。
青木医師は東京五輪とPCR検査抑制の関係や「公衆衛生概念」は検査から生まれるという重要な指摘を行っています。
青木医師「日本はPCRをやらないできてしまった。どうしてそこまでPCR検査を抑制したのか、その意図はわからないけど、私は、オリンピックのためにできるだけ過小評価しようとしたのではないかと思う。行政側にも忖度があったのかもしれない。
他の国はこの1年半で効率よく検査をする方法などを確立したけれど、日本はそこができなかった。PCR検査は自分にとっても安心なんですが、公衆衛生のために検査をすることが大事なんだという意識が育たなかったんです。検査をすることによって、パンデミックなんだという認識が人々の間に植わるんですよ。
日本ではPCR検査をやったことがない人が多いです。無症状だと陽性かどうかもわからないまま。検査をやれば自分も当事者になるでしょう。海外では検査をやるのが当たり前だという社会ができている。
最近のコメント