中国・ロシア関係を再調整するアメリカ計画は失敗する運命にある
2021年5月6日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook
今週、アメリカのアンソニー・ブリンケン国務長官はウクライナ指導部との会談のためウクライナを訪問する。彼はウクライナ人が聞きたくないメッセージを携えている可能性がありそうだ。ドネツクとルハンスクという二つの独立共和国に対する宣戦布告なしの戦争を終わらせなければならないことだ。それは、ウクライナ人が聞きたいメッセージではないが、変化する地域の地政学から、彼らには、ほとんど選択の余地がない。
ブリンケンのウクライナ訪問は、この地域でのアメリカの狙いと優先事項の、より広範な再評価の一環だ。優先事項の中でも最も重要なものは、近年アメリカがロシアに対してとり、二国間関係の事実上の凍結で頂点に達した対決的姿勢の軟化だ。この徴候の一つは、駐ワシントン大使のロシア召還と、ワシントンの上役と「相談する」ため、駐ロシア・アメリカ大使は帰国すべきだという、あからさまな示唆だ。
これには、大使館で働く現地人の雇用禁止や、アメリカ外交官がモスクワ外に移動できる範囲の制限などを含め、アメリカ大使館に対するロシアの他の動きが伴った。
テレビ・インタビューで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「殺人者」だと言ったバイデンの、思慮に欠ける、率直に言って、驚くべき主張を含め、不安定なスタートをしたアメリカにとって、これらの動きは明らかに不快だ。この発言は、第二次世界大戦以後の期間丸ごと、世界の他のどの政治指導者より実に大差で、多くの非業の死に責任がある国の国家元首の言葉として、いくつか重要な外交慣習を破っていた。
ブリンケンのウクライナ訪問には、いくつか動機がある。一つは、ドンバスとルハンスク地域に対するウクライナによる、いかなる軽率な攻撃も思いとどまらせることだ。このような攻撃を、ウクライナが真剣に考えているのは疑いの余地がない。二つの共和国国境でのウクライナ軍増強が証拠の一つだ。この増強がロシアの対応を引き起こし、それをウクライナが、むしろヒステリックに、ウクライナ領に対するロシア攻勢の証拠だと非難した。そのような攻撃が起きていれば、二つの事実が即座に明白になっていたはずだ。
最初の事実は、それは圧倒的多数がロシア語を話す二つの独立共和国の防衛ということだ。二番目の事実は、ロシアの報復は、装備が不十分で、訓練も不十分なウクライナにとって破壊的なはずだったろうことだ。ほぼ確実に、彼らの軍隊は数日で破壊され、それとともに、おそらくは、ウクライナ政権の生存も続くだろうことだ。
それはアメリカが、同盟者の悲運のためだけではなく、ロシアとの良い関係に、より広範な権益があるので、アメリカが起きるのを見たいと望んでいる結果ではない。
何か、アメリカ-ロシア関係の正常化に近づけるものが、アメリカ政権のより広範な目的だ。それは彼らが、ロシアを友人、まして、いかなる同盟者として見ているからではなく、むしろ、彼らが、より大きな地政学ゲームをしているためだ。そのゲームで、残されたアメリカ覇権に対する最大の脅威となっていると見なす国、中国との対決に努力を集中させるため、アメリカが、ヨーロッパの問題を減らそうとしているのだ。
近年の主要な地政学的変化の一つは、ロシアと中国間の戦略的関係の増大だ。親密さの増大は、様々な要素を引き起こしているが、その一つが、両国の大望に対する、アメリカの、しつこい敵意だ。その大望は、主に平和的なもので、両国とも、世界中で起きている、より広範な地政学再編成の最前線にいる。
その再編成で、例えば、過去200年以上優勢だった欧米の支配パターンから独立した貿易構造が増加した。それは代替経済パターンの増大をもたらしたが、上海協力機構は、傑出してはいるが、独特からはほど遠い一例だ。
アメリカは明らかに中国を、アメリカが世界中で享受している優勢的立場に対する大きな脅威と見ており、アメリカは、中国の力の継続的拡大を制限したり、挫折させたりするため、出来る限りのことをすると固く決めている。
ウイグル人虐待とされるもののかどで、現在、中国に対して行われているキャンペーンは、その一例に過ぎない。この集団に関する、より極端な主張は、大量虐殺で、率直に言って、ばかばかしい意見だ。香港の中国再編入に対する、たゆまないプロパガンダ攻勢は、この攻撃のもう一つの現れだ。住民を中毒にさせる上で、アフガニスタンで栽培されたヘロインで少なからぬ支援を得て、イギリス植民地政策が中国に破壊をもたらす前、香港は何千年も中国の一部だったことを、明らかに、欧米は人々に忘れて欲しいのだ。
イギリスによる虐待は、自身の問題を管理するため、香港住民に投票権を与えるのを拒否していたのだ。
中国はその歴史や、自身の問題の処理に関し、イギリス発言権のどんな継続も拒絶している。それで、中国が今拒絶している異常に長い移行期間ではあるが、香港が中国支配に戻る1999年協定の条件を中国政府が尊重し損ねているとイギリスは悲嘆し続けている。
ロシアと失地を回復しようというアメリカの計画は、中国に火力を集中できるようにする策略の明確な例だ。台湾の状況を巡り、戦争の口実をでっちあげるのは、明らかに、その計画の一環だ。だがロシアは愚かからはほど遠い。彼らは、アメリカの計画が何のためか良く分かってい。彼らが憎しみを中国に集中できるように、中国とロシアを分離する試みだ。
この計画はうまくゆくまい。中国とロシアは、それが一体何か分かっているだけでなく、世界自体、もはやアメリカ覇権の無制限な行使を我慢するつもりがないのだ。
是非、バイデンとプーチンを会談させよう。二国間の緊張のどんな緩和も歓迎されるはずだ。だがアメリカは、中国・ロシア分裂計画が実現しないことを知る必要がある。彼らが、より早くそれを理解すれば、それだけ、この国々の正真正銘の平和共存の可能性が早くなるだろう。
ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする元法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
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ほとんど購入したことのない出版社の奇怪な広告。
「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される」
しっかり、一番初めにくるべき「PCR検査もない」を意図的に削除している。それだけで評価に値しない。コロナ封じ込めに成功した国は例外なしに、PCR検査の徹底、隔離、ロックダウンで封じ込めたあとに、ワクチンをうったのだ。ワクチンは神風ではない。PCR検査の必要性を隠蔽する感染症ムラ、政府の代理広告。これと、下記の話題、しっかりつながっている。
日刊ゲンダイDIGITALの下記記事。5月8日のものだが、PCR検査拡大を阻止している感染症ムラ利権集団、医系技官の大罪同様、大本営広報部は全く報じない。大本営広報部は重要な共犯者。支配体制犯罪のお仲間。
新聞やテレビではなく、雑誌が彼の説を実証!文春オンライン
厚生省の医系技官を、お役所の実態の赤裸々な暴露のかどで懲戒免職された宮本政於氏の1995年4月24日、アメリカ国会図書館での講演から興味深い部分を一部転記させていただこう。「審議会」を「分科会」に「官僚」を「感染症ムラ連中」置き換えると、かなり通じる。
「審議会」は官僚の保身と自尊心のためにある
日本の官僚組織における意志決定方法を考えるとき、「審議会」の役割は無視できません。審議会の仕事とは、政府に適切な指針をアドバイスすることです。メンバーにはふつう各界の著名人が大臣により選ばれます。
建て前としては審議会は官僚制度から独立した組織です。しかし、審議会で自由に発言できるのは、お役人からお墨付きをもらった「御用学者」たちだけです。
すなわち官僚が語ってほしい「建て前」を言ってくれる人たちだけが、自由に発言できるのです。これは本来の自由とはまったくかけ離れています。
発言は自由に行ってかまわないはずです。異論を唱えても当然です。ところが、そんな考えを持っている人は、審議会の委員に、絶対と言ってよいほど選ばれません。
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