柔軟なトルコを望むバイデン:彼の戦略は、うまくいくだろうか?
2021年5月6日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook
現職アメリカ大統領は、「大量虐殺爆弾」を落とすことで、彼の考えでは、エルドアンの政治的運は明らかに衰える中、アメリカの政策に従うようトルコに強要する過程を開始したように思われる。選挙運動中、ジョー・バイデンは、アルメニア大量虐殺を認めると公約していたのを忘れないようにしよう。従って、トランプ政権は、この問題を避け続けていたが、ジョー・バイデンが、アルメニア人大量虐殺を公式に認めるのに、ホワイトハウス入りから、三カ月しかいらなかった。それ故、こういう疑問が生じる。バイデン政権は、この異例の動きを通して、一体どんな目的を実現しようとしているのか?
過去数年、トルコは、益々欧米と東の間の「独立した当事者」の立場をとり、自身の「新オスマントルコ」の野望を実現するため、この立場を利用しようとしている。オスマントルコ帝国が、19世紀、そして第20世紀早々、主要な世界プレーヤーの一人だった、トルコの失われた地位を取り戻そうとする狙い。
ここ数年、トルコとアメリカは、優勢なグローバル冷戦のような何らかのシナリオによって形成されない異なる世界観を持つようになっている。そこで、アメリカがロシアと中国に対する立場を強化する中、極右の民族主義者行動党を含め、トルコ与党連合の多くが、トルコは中国やロシアと、より強い結びつきを発展させ、アメリカ/EUやNATOとの結びつきをなくすべきだと考えている。これは、トルコの連立政権に、世界は、もはや欧米中心ではなく、戦略上の駆け引きに、かなりの余地があると益々思うように仕向けた。
だが、「独立したプレーヤー」としてのトルコ自身の位置づけが、アメリカとの衝突進路に自らを置くことになり、アメリカ人の多くが、エルドアンをNATO同盟国としてではなく、広範な中東で、アメリカに不利な混乱を作りかねない独裁者と見ている。より重要なことに、トルコの様々な行動、特にロシアとの防衛協力強化が、特定の時に、NATOを挫折させ、NATO内で危機を引き起こしたように思われる。
従って、NATOを復活させ、トランプ時代に生じた、大西洋対岸との間で広がった溝を埋めるため、アメリカをヨーロッパに再度統合しようとバイデンが努める中、大西洋両岸の分裂逆転は急務で、そのためには、バイデン政権が、アメリカの失われた支配の再確立し、世界の政治に一方的に影響を与え、形成する能力を復活させさせるため最も重要と考える目標で、全てのNAT加盟諸国をアメリカの指揮に従わせることが必要だ。
だが重要な疑問は、こういうことだ。トルコはバイデン政権を喜ばせ、アメリカ支配を実現するのを支援して、自身の地政学的野心を断念するのだろうか?
バイデンがアルメニア人大量虐殺を認めた後、エルドアンは素早く融和的声明を表明したが、トルコは、概して、これを「政権交代」を実現するため、トルコ内で政治的分裂を刺激して、エルドアン政権を弱めるアメリカの試みと見ている。バイデンの大量虐殺承認後、既にトルコ・リラは、米ドルに対して、記録的最低に落ち、エルドアンの既に弱い政治的立場を複雑にした。
実際、バイデンの「オスマントルコ時代のアルメニア人大量虐殺」としての大量虐殺を紹介は、グローバルパワーとしての地位を含め、オスマントルコ時代の遺産に大きく頼っているエルドアンの国内政治言説に標的を定めているように思われる。大量虐殺を認めることで、バイデン政権は、21世紀に「新オスマン主義」が一体何を提供しようとしているか、世界中の人々を気が付くよう強いた。
だから、この認識に対するトルコの反対は、賠償金要求に対する恐れと、その標的となる「新オスマン」領域である、アジアやアフリカや欧米(アメリカとヨーロッパ)からも嫌われる、のけもの国と見られる恐れの不安から生じている。
だが、トルコに対する厳しい調子の採用で、エルドアンを従順できると、ジョー・バイデン政権は計算したかもしれないが、バイデンによるアルメニア大量虐殺の認識は、NATO同盟諸国間で、意見相違の長大なリストへの更なる追加になりかねないことに変わりはない。従って、政治的に弱いエルドアンを、ロシアに対し、アメリカに従わせるよう強制するのではなく、この認識は、長期間、トルコ-アメリカの結びつきを危機状態のままにして、トルコを更にロシアと中国に向かって、少しずつ動かしかねない。
連続的に下がるリラと同時に、世界最多のCOVID症例数の一つと戦う中、エルドアンには限定された選択肢しかないので、即座の反応はないかもしれないが、イブラヒム・カリン大統領報道官は、トルコは慎重に対応を検討するが、対策として、「NATOとの軍事協力を終わらせることさえあり得、今後、異なる形態や種類や程度の対応がある」と付け加えた。
だが、このような対応は、もしトルコが内部からNATOを攻撃することが必要となれば、アンカラが政策のいくつか敏感な分野の、一部の重要な政策変更をせずには受けることができない支持であるロシアや中国からさえ支持が必要だろう。トルコが、シリアからウクライナまで、不必要に紛争地域を複雑にする政策を変えることに同意しなければ、ロシアとの結びつきを深めるのは不可能かもしれない。中国に関しては、トルコは、新彊地域でのウイグル・イスラム教徒の「大量虐殺」というアメリカが推進している主張への同意を再考する必要があるだろう。トルコは、アルメニア大量虐殺をアメリカが認めたのを、こうした言辞は、往々にして、政治的動機で、特定の国体を不安定化することを狙っているのだという教訓にするべきだ。
それゆえ、トルコがバイデンが解き放った問題を相殺できるかどうかは、アメリカの最強力な戦略競争相手の二国、ロシアと中国との結びつきを慎重に促進して、トルコか、どのように、それに拮抗させるか次第だ。
Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/06/biden-wants-a-pliable-turkey-will-his-strategy-work/
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