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2019年3月24日 (日)

ゴランをめぐるアメリカの二枚舌が、対クリミア姿勢をぶちこわす

Finian CUNNINGHAM
2019年3月19日
Strategic Culture Foundation

 国際法に対する物議をかもす無視で、アメリカ合州国は、先週、ゴラン高原をイスラエル領の一部として公式に承認する方向で動いているという信号を出した。もしアメリカがそうすれば、「クリミア併合」という主張で、ロシアを制裁する、あらゆる道義的権威を失うことになる。

 アメリカ国務省年次報告のゴラン高原に関する部分で、この紛争中の地域に関し、「イスラエルに占領されている」のではなく「イスラエルに支配されている」と表現している。言葉遣いの変化は、1967年の六日戦争後に、シリアからイスラエルが併合した土地を示すのに「イスラエルに占領された」という用語を使う国連決議と国際基準からの逸脱だ。

 戦利品として、イスラエルは1967年からゴランの西部を占領している。1981年、テルアビブは公式にシリア領土を併合した。しかしながら、1981年の国連安全保障理事会は、アメリカを含め、併合を非合法だと満場一致で非難した。決議は、土地をゴラン全体に対して歴史的権利を有するシリアに返すよう、イスラエルに命じている。1,800平方キロメートルの地域は、北のヨルダン渓谷を見晴らす戦略的な高地だ。

 ゴランはイスラエルの公式な領土と認めるという最近のきざしを、もしワシントンが確認すれば、その展開は国際法の言語道断な無視だ。

 だが、おまけに、そのような動きは、2014年、自発的にロシアの一部になった黒海半島クリミア問題に関し、ワシントンがおこがましい振る舞いするのを禁ずることになる。

 つい先月、マイク・ポンペオ国務長官は、クリミアを「併合した」ロシアに対する非難を繰り返した。ロシアが「クリミアをウクライナに返還する」まで、モスクワに対するアメリカ制裁は維持されることを、ポンペオは強く主張した。

 「侵略を正当化し、ウクライナ領土の併合を覆い隠すためにロシアが使った身勝手な嘘を世界は忘れていない」と彼は言った。「ロシア政府がクリミア支配権をウクライナに返還するまで、アメリカはロシアに対する制裁を維持するつもりだ。」

 去年、ポンペオの国務省は「クリミア宣言」を発表し、その中で「ロシアは、いかなる国も他国の国境を武力で変えることはできないという民主的諸国が共有する国際原則の基礎を傷つけている」と述べた。

 ロシアによるクリミアの「非合法併合」というワシントンと欧州連合による主張は、モスクワに押し付けられた5年にわたる経済封鎖の中核基盤だ。それら制裁はロシア国境沿いで悪化するロシアとの緊張と、NATO軍隊増強に寄与した。

 それらの主張は、しかしながら大いに議論の余地がある。クリミア住民はウクライナから分離し、ロシア連邦に加わるため、2014年3月、合法的国民投票で投票した。この国民投票は、合法的に選出されたヴィクトル・ヤヌコーヴィッチ大統領に対し、アメリカとヨーロッパが支援した2014年2月のキエフでの非合法クーデターに続くものだ。歴史的に、クリミアはロシアと何世紀も共有された文化遺産がある。ウクライナ国家内での、そのかつての位置は、冷戦と、それに続いたソ連崩壊に由来する異常といってほぼ間違いない。

 いずれにせよ、ワシントンによる最近の偽善以外、ゴラン高原とクリミアとの間の比較は不十分だ。クリミアとその住民が、歴史的にロシアの一部であるのに対し、ゴラン高原は議論の余地なくイスラエル軍占領により強制併合されたシリアの主権地域だ。

 国連安全保障理事会決議497に明記されている通り、イスラエルによるゴラン占領の違法性は、国際法の下で記録事項なのだ。

 クリミアに関しては、いかなる国際的な負託も皆無だ。ロシアによる「併合」という主張は、ワシントンとヨーロッパの同盟国がでっちあげた疑わしい政治主張だ。

 国際法を無視して、ゴランをイスラエルの一部として認知するワシントンによる最近の動きは、いくつかの他の最近の進展に続いている。

 リンゼー・グラム共和党上院議員は、先週、あてつけに、イスラエル国防軍ヘリコプターに乗って、ベンヤミン・ネタニヤフ首相と共に、イスラエルが占領しているゴランを訪問した。グラムは訪問後、区域をイスラエル主権下だと公式に認めるよう、トランプ政権に、勧めるつもりだと述べた。

 現在、ゴラン全域をイスラエル領土だと宣言することを目指す法律が、アメリカ上院と下院両方で審議中だ。

 トランプ政権下での、イスラエル擁護偏向へのワシントンのあからさまな移行は、2017年末、ホワイトハウスが、エルサレムがイスラエルの首都だと宣言したことと一貫している。トランプ大統領によるその動きは、エルサレムは、イスラエルと将来のパレスチナ国家間で共有される首都であり、(機能停止している)和平交渉によって解決されるべきであることを明記した国際合意と国連決議をくつがえしたのだった。

 がなぜこの時点で、イスラエル向けのご褒美として、ワシントンがゴラン問題を取り上げたのかは正確に明きらかはない。トランプ政権が、来月の選挙のため、ネタニヤフに政治的後押しをしてやっていると見なすことも可能だ。

 彼の義理の息子ジャレッド・クシュナー一家の投資を通して彼の政権につながっているアメリカに本社を置くジニー石油会社のために、トランプがそうしているという憶測が以前もあった。ニュージャージーのこの企業はイスラエルに子会社があり、ネタニヤフ政権につながっていて、長い間豊富な石油資源のためにゴランでの採掘を目指していた。

 ゴランに対する動きは、アメリカが支援する政権転覆を目指す秘密戦争がシリアにより歴史的敗北したことに対する、バッシャール・アル・アサド大統領への報復でもあり得よう。ほぼ8年の戦争は、シリア軍に対し、ゴランから出撃する聖戦兵士を密かに支援するイスラエルによっても支援されている。ロシア、イランとヒズボラによる重要な軍事支援のおかげで、アメリカによる政権転覆策謀を克服したことに対して、はゴランを併合というイスラエルの主張に対するワシントン支持の強化というしっぺ返しの可能性はある。

 だが背景説明が何であれ、イスラエルによるゴラン併合を合法化するワシントン提案は恥知らずな国際法違反だ。そうすることで、アメリカは戦争犯罪とシリア領土の窃盗を公然と支援しているのだ。アメリカ国務省「クリミア宣言」にもある。ワシントンが絶えずロシアに訓戒を垂れている「根本原則」のはずの「他国の国境を武力で変える」ことだ。

 すでにお気付きのように、クリミアもゴランも領土問題だ。それにもかかわらず、ゴランに対するワシントンの二枚舌は、クリミアに対するワシントンの姿勢を無効にする。もしヨーロッパが、ゴランに対するアメリカの動きに意気地なく従うのなら、彼らはクリミアに関しても、口も、説教のような制裁も閉じるべきだ。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2019/03/19/us-duplicity-over-golan-demolishes-posturing-on-crimea.html

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 日刊IWJガイド・日曜版「4月7日が投開票日! 統一地方選とも同日!『大阪スワップ選挙』本日大阪市長選の告示日~ 固まる『維新包囲網』、共産、立憲、国民が自公候補を自主支援・支持を決定! 投票にいこう!」 2019.3.24日号~No.2383号~(2019.3.24 8時00分)

スワップ選挙も問題だが、スラップ訴訟も大いに気になる。どちらも同根。

植草一秀の『知られざる真実』最新記事2019政治決戦で日本政治の流れを変える の冒頭を引用させていただこう

政治決戦の年だが政治論議が盛り上がらない。
メディアが政治問題を取り上げていないことも影響している。
麻薬事案を含む芸能ネタに人心を引きつける。
地震や富士山爆発、あるいはPM2.5のようなネタに人心を誘導する。
最重要話題はスポーツだ。
GHQの3S政策がそのまま踏襲されている。


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