役に立つ馬鹿? シリア戦争に関するメディアの公平性というリトマス試験に落ちたニューヨーカー誌
Robert BRIDGE
2018年4月21日
Strategic Culture Foundation
シリアでの最近の化学兵器攻撃とされるもので、‘アサド政権’の他に、原因である可能性があり得る、少なくとも一つの選択肢を、アメリカ最高の知性派雑誌が検討し損ねているなら、主流マスコミ複合体全体が、上から進軍命令を受けていると結論づけることができよう。
4月14日の記事で、かつては名声の高かったニューヨーカー誌が(当面、シリア駐留“ロシアの‘狂人’アメリカとの直接対決を避けた可能性”で)、筆者のジョシュア・ヤッファが、4月7日、ドゥーマでの化学兵器攻撃とされるものを遂行したかどで、バッシャール・アサド大統領有罪という政府お墨付き言説からまったくぶれないことを証明している。彼は、現在、欧米世界で真正な真実として受け入れられている精巧な陰謀論にも、ロシアを見事に引きずり込んでいる。
“モスクワは、アサドが反政府派を打ち破るのは大歓迎で、彼がそれをどのように実現するかほとんど気にかけていないが、化学兵器使用は困りもので、クレムリンにとって歓迎されざる結果の源だ”と、攻撃とされるものに、反政府派テロリストが関与していたという、ずっとありそうなシナリオを無視して、ヤッファは驚異的な傲慢さで書いている。“未解決の一つの疑問は、将来は、化学兵器を使用しないつもりだという確約をロシアが、シリアから得たかどうかだ”
批判的思考能力がかなり限られている人であろうとも、言葉のいかなる意味においても、これを客観的で偏りのないジャーナリズムとは思うまい。ところが、これは欧米の読者が日々無理やり詰め込まれているものの典型例だ。無辜の一般市民に対し、化学兵器攻撃を行ったかどで、アサドは有罪だ。立ち止まらないで。ここには見るものは何もないよ。[これまでの所、この規則に対する注目すべき例外が一つだけあるが、アメリカ・マスコミには取り上げられておらず、今後も決して取り上げられるまい。ベテランのイギリス人中東記者ロバート・フィスクが、ドゥーマに行き、攻撃とされるものについて、人々から直接聞き、The Independentに掲載したものだ。多数の目撃者や医療従事者とのインタビューを含む、長時間かけた事実調査旅行の後、フィスクは、極めて多くの人々が疑っていたことを明らかにした。化学兵器攻撃は無かった。出来事は丸ごと、悪名高いホワイト・ヘルメット '救援団体'が仕組んだものだった。]
ジョナサン・ショー少将、元イギリス軍幹部将校が、バッシャール・アサドが、この重大な時点に、ガス攻撃を実行する動機は一体何かを問おうとした際に、イギリスの放送局スカイ・ニューズが、遮った手口を検討しよう。
“ここで欠けているように見える論議は、この時点、この場所で、この化学兵器攻撃をシリアが行うようなったあり得る動機は、一体何かです。”ショー少将は敢然と問うた。"シリアは勝利しつつあります。私の見解ではなく、アメリカ軍の見解です。”
この時点で、インタビューは素早く終え、コマーシャルになった。言うまでもなく、スカイ・ニューズや他の欧米マスコミは、 近い将来、彼の専門家としての分析を聞くため、ショー少将を招くことはあるまい。
マスコミの機能は、政府の言い分をおうむがえしにすることではなく、あらゆる機会に、異議を申し立てることであり、そうし損ねた結果が、大規模紛争勃発、可能性として、第三次世界大戦という結果になりかねない場合は、ましてそうなのだと明言しておかなければならないようだ。どうやらこれは、欧米主要マスコミの役に立つ馬鹿は、進んで取ろうとはしたがらないリスクだ。
連中は実際、大いに役に立ってなどいないのだから、現実に、こうしたジャーナリスト連中を‘役に立つ’と呼ぶのは言い過ぎだろう。たとえ事のついでにでも、シリアにおける他の代案を検討するのを忠実に拒否し、真実の追究というジャーナリストとしての忠誠を裏切っているのだ。購読者・視聴者たちが、この上もなく無知で、シリアでの化学兵器攻撃に関し、自分たちで、他のシナリオを想像することができないと、たかをくくっても、主流マスコミという怪物から、購読者・視聴者を更に離反させることにしか役立たない。だから欧米ジャーナリストは、正確な意味において‘役に立つ馬鹿’ではない。連中は、単なる阿呆だ。
ちなみに、これは、主流マスコミ宇宙のご主人が、一体なぜ、インターネット上の代替メディアの意見を沈黙させようと躍起になっているかを端的に説明している。反対意見、権力の台本通りでない意見の存在が、欧米マスコミが、いかに偏り、先入観をもっており、非民主的なのか、くっきりと対照してしまうのだ。公式言説に異議を唱える意見を欧米諸国民に聞かせてしまう危険をおかすよりは、インターネットの検索アルゴリズムを不正操作するほうがましなのだ。
またしても、欧米の主流マスコミがそうするのを拒むので、滑稽なほど明白な疑問を問わざるを得ない。あらゆる戦線で、最新軍事技術によって、反政府派を打ち破っているアサドに、一体なぜ、想像できる限り、最も原始的で、とんでもない軍事手段、化学兵器に頼る必要があるだろう? 確実にNATO加盟諸国を巻き込むことになり、8年間の苦闘の結果を破壊するはずの仕業を、一体なぜ彼が行うはずがあるだろう? 簡単に言って、彼が使うはずがないのだ。百万年待ってもあり得ない。だが、たとえ欧米マスコミが、そうした論理を検討するのを頑固に拒否しようとも、連中は化学兵器禁止機関(OPCW)の専門家たちが、科学捜査を行うため、ドゥーマにまだ到着していないのに、一体なぜ、連中が異口同音に、化学兵器攻撃はアサドのせいだと非難しているのかを説明し損ねている。それどころか、連中は愚かな戦争応援団として機能することを優先して、ジャーナリストとしての義務を放り出しているのだ。
ところが、こういう警告をして、シリアで“狂人”のように振る舞っているのはロシアだと示唆して、ヤッファは、ヒステリーの度合いを更に高めている。
““狂人”の型にはまった行動の成功か、はたまた、アメリカ国防長官ジェームズ・マティスによる自制の主張が成功したおかげかのいずれにせよ、プーチンと将軍連中喜んでいるに違いない”と、シリアにおける本格的軍事行動を止める上で、何かが功を奏したことに落胆して様子でヤッファは書いている。
“先制的に欧米を脅し、シリアにおける欧米の軍事作戦を限定させるロシアの取り組みは、先月ロシアのワレリー・ゲラシーモフ参謀総長が、モスクワは、シリア領土めがけて発射されたミサイルを撃墜するつもりで、更にもしロシア軍が脅威にさらされた場合、発射施設や発射台を標的にして反撃すると警告して始まった”とヤッファは書いている。
ロシアが実際、あからさまな攻撃には、自衛するつもりだと主張する可能性さえもが、“狂人”の妄想的な怒号扱いされるのは奇妙なことだ。それが、更なる政権転覆作戦のため、平和を損ねようとつとめ、怪物ロシアの神話を永続させようとし続ける欧米マスコミの立場だ。
酷く損なわれた主流マスコミ・ジャングル中で、連中に代わる声が、今、一層必要とされていることは明らかだ。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/04/21/useful-idiots-new-yorker-magazine-fails-litmus-test-for-media-impartiality-syrian-war.html
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昨日、電車の中で、「トンデモナイ」タブロイド新聞を熱心に読んでいる方を見つけて驚いた。ユニークな髪形の女性とモルモン教徒氏の講演のページだった。
桜はとうに散り、今はつつじの盛りと思うが、サクラをたっぷり見せてもらった。
小生がご著書を拝読している皆様が、あの中におられないことだけは確実だ。
『国体論 菊と星条旗』を読み終え、大本営広報部電気洗脳箱、を見ると、馬鹿馬鹿しさが一層強く感じられる。
属国大本営広報部の愚劣さ、ニュヨーカー誌の落第どころでないと思う。
属国の朝貢外交を、お友達外交という真っ赤なウソで隠すのは、犯罪だろう。理不尽な収奪しかないのに。
友達のふりをし、カタカナ名前を呼んだところで、真実は隠せない。
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