ロシア幹部三人がアメリカ合州国訪問
Alex GORKA
2018年2月7日
Strategic Culture Foundation
最高に良い時期でさえ、このようなことは、これまで起きたことはなかった。ロシア諜報機関の長三人全員、アメリカを同時に訪問した。特に関係がこれほど酷く悪化している時期に、これは類まれな、未曾有の出来事だ。1月末、ロシア連邦対外情報庁長官セルゲイ・ナルイシキン、ロシア連邦保安庁長官のアレクサンドル・ボルトニコフと、ロシア連邦軍参謀本部情報総局局長イーゴリー・コロボフ中将が、ワシントンを訪問した。マスコミには多くは漏れていないが、彼らはマイク・ポンペオCIA長官と会ったと報じられている。訪問は決して秘密にされてはおらず、隠蔽する取り組みも皆無だ。アナトリー・アントノフ駐米ロシア大使は、テレビで、この出来事に触れた。訪問は成功で、両国間の極端な緊張にもかかわらず、両国の諜報機関は協力を継続していると彼は述べた。彼が言うとおり、"政治は政治、仕事は仕事だ。政治宣言もあれば、実務もある。"
ロシア人訪問者の少なくとも一人は経済制裁の制約対象だ。一時的に、そうした制限を適用しないことを許可できる唯一の人物として、ドナルド・トランプ大統領が訪問を許可したのは明らかだ。ロシア連邦保安庁と、テロの脅威に関する話し合いが行われたのは確実だが、このチームはナルイシキンに率いられていた。国際テロに対処する共同の取り組みを巡る交渉であれば、どこでも行える。諜報機関同士のそのような接触には、代表団を率いる幹部は不要だ。だから、交渉は遥かに広範な話題が対象で、一つや二つの問題に限定されない議題で、話し会うべきかなり重要な何かがあったに違いないと結論せざるを得ない。
この出来事には注目すべき文脈があった。アメリカのウクライナ特使カート・ヴォルカーと、ロシア大統領補佐官ウラジスラフ・スルコフが、1月末、ドバイで会ったことに留意するのは重要だ。このアメリカ幹部は、CIAでの仕事ぶりでしられている。多くの観測筋は、トランプ大統領が、1月26日のダボス世界経済フォーラムでの発言で、ロシアに関して何ら批判的なことを言わなかったのはむしろ驚くべきことだと見ている。スイス滞在中、アメリカ大統領は多忙過ぎて、ウクライナのポロシェンコ大統領と会う時間はなかったが、“お友達”のポール・カガメ・ルワンダ大統領と話す時間は何とか見つけられた! 待望の“クレムリン・リスト”は意味のない行政上の措置以上の何物でもなかったのだ。
ワシントンが関係改善の方法を模索しているという報道がある。昨年9月 シリアについて話しあうため、両国軍幹部は会っていた。更に多くのそのような出来事が将来計画されている。両国外務省のトップは定期的に秘密会談を行っている。2月5日は重要な日付で、両者は新たな戦略兵器削減条約STARTの義務を果たしたと報告した。
トランプ大統領は、ロシアゲート捜査に対する国民の信頼を弱める取り組みに多少成功しつつあり、今は流れが変わろうとしている瞬間だ。大統領は攻勢に出ようとしている。ドナルド・トランプは、アメリカ大統領選挙へのロシア介入とされるものの捜査で、FBIと司法省による権限の乱用があったと主張するメモ公表を許可した。文書はアメリカにおける“陰の政府”の役割と、そのマスコミに対する影響力に光を当てるだろう。これは“ロシアゲート”を巡る騒動を、一体誰が、何のために起こしたのか、連中がアメリカとモスクワの関係を駄目にし、ドナルド・トランプの邪魔をするためなら、どんなことでもする態勢にあることを示す手掛かりになる。
経済が成長し、アメリカ大統領は、訪問を承認するのに十分立場が強くなっていると感じたのだ。これは、他のどのような例よりも、ロシアが無視するには、余りに重要であることを良く物語っている。二大国は対話をする必要があり、無視したり、うやむやにしたりするには重要すぎる諸問題が存在する。トランプ大統領は、関係を修復したいという主張を決して取り下げようとはしていない。彼自身“プーチンは極めて重要だ。”と言っている。和解プロセスに弾みをつける上で、指導者同士の相性が果たす役割が極めて大きいというのは公然の秘密だ。メモが公表され、“ロシアゲート”の話題は行き詰まり、2018年の中間選挙後、議会の大統領支持が増す可能性がある。アメリカのロシア政策も、変化するものの一つかも知れない。
ロシアとアメリカ合州国が緊密なパートナーになる確率はわずかだ。それゆえ、関わり合うこと、“衝突回避”や、特定分野での交流が一層重要になる。諜報機関のトップ同士の接触は、両国が、好ましい変化をもたらすことに本気であることを示している。幹部たちが一体何について話し合ったのか我々は決して知ることができないだろうが、会合があった事実が多くを物語っている。実際、この重要性を過小評価するのは不可能だ。どうやら前途に光明が見えつつあるように思える。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2018/02/07/three-top-russian-officials-visit-united-states.html
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部品落下。日米地位協定改訂が憲法破壊より遥かに重要なのに、とんでもない弱腰。始めから、改訂交渉をする意思のない属国傀儡だからこそ、宗主国のお許しを得て、権勢を振るわせていただけるのだから、期待するほうが無理。
今日の孫崎享氏メルマガ、こうした事態に対する提案に驚いた。正論。
沖縄の方々への助言、安倍政権に沖縄の人々の意見を反映し政治を行う意思は全くない。どうするか。要望でなく条例を作る。「学校、病院、住宅区域の低空飛行を禁止する、夜間飛行を禁止する」。米国は州権限の強い国。県の決定は意味ないと言えない国。
『英語教育の危機』を読み終えた。意図的な日本人白痴化作戦としか思えない英語教育政策の劣化状態が浮き彫り。高校・大学の英語教育、民間試験のための受験勉強と化してしまうだろう。コミュニケーション能力は、会話の面接試験では測れないという指摘に納得。
大昔、外部の英会話学校による評価テストを受けさせられたことがある。面接相手を怒らせる話題を持ち出してみた。試験結果を貰った上司から「お前一体何をしたんだ。この評価は普通ではない。再評価を要求する。」と言われた。評価は変わらなかった。その時以外、客とのやりとりで問題を起こしたことはない。と思う。
岩波書店月刊誌『世界』3月号 特集 辺野古新基地は作れない
まずは「メディア時評」を読み終えた。明治150年のビーンボール。
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