イギリス支配体制による更なる掩蔽
Paul Craig Roberts
2016年7月7日
イギリス支配体制の一員で、アメリカ/イギリスによる、サダム・フセインのイラク侵略の口実として使われた、いわゆる“諜報情報”が、侵略正当化“ために仕組まれた”のかどうかをする責任を負っていたバトラー委員会の一員でもあるサー・ジョン・チルコットが、7年も遅れたあげく、ようやく報告書をだした。
イラク侵略を正当化する諜報情報は、アメリカ合州国が確立したニュルンベルク基準の下では戦争犯罪である侵略を正当化するために“仕組まれた”あるいは、仕立てあげられたものだという、イギリス諜報機関トップの漏洩メモがあったことを想起願いたい。チルコットの仕事は、この事実を消し去り、あるいは、重要性を軽減して、イギリス諜報機関のトップの言葉にもかかわらず、諜報情報は仕組まれたものではなかったという、バトラー委員会による練り上げられた答申を守ることだった。
言い換えれば、“公平な調査”を装って、サー・ジョンがまかされた課題は、元イギリス首相で戦犯のトニー・ブレアを、全ての責任からではなく、訴追に値する全ての責任から赦免することだった。
サー・ジョン報告は、コミーFBI長官のヒラリー報告と良く似ている。彼らは、調査はしたが、訴追するほど十分には調査しなかったのだ。
もし民主的政治というものがイギリスに存在していれば、トニー・ブレアには、イギリス与党、保守党による攻撃の照準が定められていたはずだ。ところが、いずれの党も同じ既得権益団体を代表しているので、今年10月辞任すると表明した保守党首相のデービッド・キャメロンは、野党擁護に駆けつけ、元イギリス大使クレイグ・マレーが、“誠意のない、チルコット報告と何の関係もない、侵略の擁護”と呼んだ演説を議会で行った。
イギリス・マスコミの大半も、マレー元大使によれば“ブレアや彼の擁護者アリスター・キャンベルには、無限の放送時間”を与え、“戦争に反対して活動した人々には、ほとんど全く放送時間を与えず”戦犯でウソつきのトニー・ブレア擁護に回った。
元イギリス大使クレイグ・マレーの判断はこうだ。“ブレアは、依然、完全な利己的ヘドロの塊だ。”
ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュや、オバマ政権のほとんど全員に、全く同じ判断ができるだろう。しかも、ヒラリー政権は、もっと酷いだろう。地球上の生命は、ヒラリーの一期目を生き抜くことができまい、というのが私の予想だ。
ヒラリーを選んで、死ぬのだ。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。
ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/
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始めから予想できるいいかげんな調査ではあるが、ともあれ形だけでも調査した国がある。
この属国では、郵政を破壊し、イラク侵略戦争に派兵した人物が、オトモダチ作戦で活動した宗主国兵士の救済運動を始めた。
調査を求める気配は全くない。侵略戦争を開始した宗主国のお仲間と、ただ引きずりまわされるだけの属国の違い?
大本営広報呆導を見聞きするのは、百害あって一利なし。
岩波書店の月刊誌、『世界』8月号、興味深い記事満載。大本営広報呆導では読めないものばかり。あの国連特別報告者、ディヴィッド・ケイ氏の「日本の報道機関は独立しているか」という記事もある。まず、アーサー・ビナード氏の「オバマは何しに日本へ?」を読み終えた。
洗脳離脱のため、植草一秀の『知られざる真実』各記事をこれから拝読予定。
- 投票率引き上げてメディア誤報を転覆させる 2016年7月8日
- 騙されるな!あなたの一票が日本を救う!2016年7月7日
- 「汚れた油」と「清冽な地下水」の分離 2016年7月6日
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