アメリカ 対 中南米指導者
Nil NIKANDROV
2015年3月17日 | 00:00
Strategic Culture Foundation
中南米マスコミは、ワシントンのお気に入りでなくなったリオ・グランデの北に位置する国々の政治家を中傷する材料をあり過ぎるほど提供してくれる。望ましくない指導者に対する情報戦争に関する判断は、ホワイト・ハウスが行い、国務省か中央情報局(CIA)が実施するのが通例だ。
国務省とCIAとの間の情報戦争における相互作用の歴史は長い。アルゼンチン大統領フアン・ドミンゴ・ペロンの打倒で終わった中傷作戦の歴史を思い出すだけで十分だ。1946年-1955年の時期、ワシントンは、南米に第四帝国を作り出したやら、反ユダヤ主義推進やらの様々なことで彼を非難した。彼は特に、第二次世界大戦後、ドイツ系イタリア人のアルゼンチン移民で非難された。この政策は、アルゼンチン工業化という利益の為に実施された。アメリカも同じことをし、ドイツのロケット科学者や、原子力専門家やエンジニアを雇用した。ペロンは正義党(パルティード・フスティシアリスタ)の創設者だった。彼は、アルゼンチンを支配下に置こうとするアメリカ合州国の企みに断固として抵抗した愛国者だった。彼の評判をおとしめる為、様々な手法が駆使された。1951年、リベラル政治家シルバーノ・サンタンデルは、CIA工作員であることが暴露され、アルゼンチンを出て、ウルグアイにゆかざるを得なくなった。アメリカの雇い主と密接に協力して、ペロンはナチの擁護者で、ヒトラーの信奉者だと描き出す記事を書きはじめた。1955年、ペロンは打倒された。サンタンデル記事の要約は、『国家反逆のテクニック フアン・ペロンと、エバ・ドゥアルテ、アルゼンチンのナチス工作員』(テクニカ・デ・ウナ・トライシオン: フアン・D・ペロン・イ・エバ・ドゥアルテ、アヘンテス・デル・ナチスモ・エン・ラ・アルへンチン)に掲載されている。CIAはいまだに、中南米に派遣される工作員が学ぶべき効果的な中傷作戦の例として、このインチキ本を使用している。
サンタンデルは、アルゼンチンでも海外でも非常に人気のあった、アルゼンチン大統領夫人、エビータ・ペロンを見逃しはしなかった。この本には、エビータが、1941年以来、ドイツ諜報機関アプヴェーアの為に働いていた事実を証明すると称する文書の多くのコピーが載っている。エビータは諜報機関の工作員として働いたことは皆無で、ナチスの地下組織とは何の接触もなかったことは、今や揺るぎない事実となっている。貧しい少女は、女優になる夢を持っていたが、惨めな暮しをするしかなかった。エビータは、1945年10月に、ペロンと結婚し、政治に関与するようになった。今や、1940-1950年代の多くの文書が機密扱いでなくなった。国務省とCIAは、ペロン夫妻を中傷したことを後悔しただろうか? 全くそんなことはない。変わったのは力点だけだ。エビータは、社会正義の象徴と見なされている。彼女の個人的成功、情熱的な性格(彼女はチェ・ゲバラになぞられられることが多い)や、彼女が庶民のあつかい方や、庶民の感じ方を知っていたという事実 - こうしたこと全てが、より良い未来というアルゼンチン人の希望を刺激したのだ。エビータ・ペロンは、アルゼンチンの、かつての正義党の一派、ペロン主義者達の選挙協力である、勝利のための戦線(フレンテ・パラ・ラ・ビクトリア、FPV)を元気づけるシンボルなのだ。アルゼンチン大統領のクリスチーナ・エリザベート・フェルナンデス・デ・キルチネルは、エビータ・ペロンの伝説を持ち出すことが多い。これこそ、アメリカ・プロパガンダ戦士が、彼女の思い出を誹謗する理由だ。彼女が亡くなってから何十年も経つのに、彼女の非難を支持する証拠は現れていないが、CIAが支配するマスコミは、エビータの評判を中傷するでっち上げを、きまって持ち出し続ける。狙いは、アルゼンチンや中南米の他の国々で、彼女が享受している伝説のイメージを破壊することだ。
このプロパガンダの対象には、財界大物連中、小さな保守党、特権的な家族出身の学生、“第五列”や、不安定化を大物になれる好機と見なす、自由奔放な没落分子等も含まれる。エバ・ペロン中傷作戦は、クリスチーナ・フェルナンデス・デ・キルチネルと「勝利のための戦線」に対し、CIAの特殊部隊(とイスラエル)がたちあげた大規模な挑発作戦の一環だ。ニスマン検察官の最近の死亡で、新たな詳細が明るみに出て、アメリカ人や有力なアルゼンチン・ユダヤ人コミュニティーが、与党連合の信頼を損なう為に利用してきた疑惑は優勢でなくなった。連中は、アルゼンチン大統領が悲劇的な出来事に直接関与していたという確証のないでっちあげを流布してきた。
アルベルト・ニスマンは亡くなる前、クリスチーナ大統領と、ヘクトール・ティメルマン外務大臣が、1994年のアルゼンチン・イスラエル相互協会(アソシアシオン・ムトゥアル・イスラエリタ・アルヘンチン)ビル爆破で、イランを見逃す陰謀をしくんだと公然と非難した。アルゼンチン人の著名弁護士の多くが、非難は根拠がないと言っていた。証拠がないことから、面目を保つ行為として、検察官は自殺することになったと考えている専門家もいる。ニスマンは、CIAに殺害されたのだと言う人々もいる。“イランのテロ”という主張は、うさんくさく、検察官が勝てる可能性は皆無だった。彼が物理的に抹殺されたので、特殊部隊は、クリスチーナと「勝利のための戦線」に対する連中の多面的キャンペーンを継続することが可能になった。2月末までに、クリスチーナ告訴は取り下げられたが、新検察官のヘラルド・ポリシタが控訴した。今や、多くのことが、彼のアメリカ合州国大使館とイスラエル大使館訪問頻度次第となっている。
クリスチーナ・エリザベート・フェルナンデス・デ・キルチネルは、ワシントンの情報戦争で標的にされている唯一の著名中南米政治家というわけではない。そもそも、この作戦は、米州ボリバル同盟加盟国を標的にしている。アメリカは、彼らとの戦いには努力を惜しまない。アメリカ合州国が支配するマスコミは“冷戦”時代同様活発だ。この破壊工作プロパガンダ攻勢に影響されなかったのは、キューバとニカラグアだけだ。テレスール地域放送は、故ベネズエラ大統領ウゴ・チャベスが絶大な努力を払ったおかげで実現した。その高度な放送は、ワシントンの懸念を引き起こした。ベネズエラ・テレビは、例えば、チャベス主義や、カストロ風共産主義プロパガンダや、中国、ロシアや、テロ等を支援しているとされる国々の代表に登壇の機会を提供している等、様々なことで非難されている。
主要中南米マスコミがアメリカ合州国支配下にある為、こういう話題が捏造されるのだ。中南米マスコミが流布する情報のほとんどの情報源は、四つの通信社 - ロイター、AP、AFPとEFEだ。中央情報局(CIA)が、中南米のほとんど全ての主要記者、特派員や編集者を採用してしまったかのように見える。EFE(スペイン語の国際通信社)は、アメリカ合州国が好まない中南米の政治家達を決まったように攻撃する。報道は多くの報道機関、TVやラジオの番組、電子的メディア、発行部数の多い雑誌や新聞、映画配給網等々によって取り上げられ、報道される。ベネズエラ、エクアドル、ニカラグア、ボリビア、アルゼンチン、ブラジルは、アメリカの工作員によって、権力構造を破壊し、公的・政治的生活に混乱をもたらし、自国を大切にする指導者達の評判を中傷することを狙う情報戦争作戦の跳躍台として利用されてきた。
賄賂に関与させるのは、情報戦争お得意の手段だ。フィデル・カストロは、CIAの腐敗リストに載って長い。彼はスイスと、カリブ諸国の銀行に口座を持っていると言われてきた。そもそものはじめから、奇妙に思われた。2010年、アメリカの雑誌、フォーブズは、カストロの“秘密口座”を、400億ドルから、9億ドルに大幅減額した。エリザベス2世、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国を含むイギリス連邦王国君主は、キューバ革命の歴史的指導者より貧しいことが強調された。2012年、同誌は、カストロの財産を、5億5000万ドルに引き下げた。現在、スペイン王が、たまたまキューバ指導者に後れを取った形になっている。
ベネズエラ大統領ニコラス・マドゥロは、大統領政権のニーズを満たすべく、日々の膨大な支出とされるもので(総額約20億ドルだと主張している)欧米プロパガンダ戦士から激しく批判されている。多くの刊行物が、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル、ニカラグア大統領ダニエル・オルテガや、ベルギーで2億6000万ドルという価格で不動産を購入したと報じられたエクアドル大統領ラファエル・コレアらの出費の話題を広めるのに専念している。コレアはエセ暴露記事をきっぱりと否定した。記者会見で、エクアドル大統領は、自分とベルギー生まれの妻の為にベルギーで質素なアパートを購入したと語った。ジャーナリストは購入した質素な不動産の写真が載った文書の写しを渡された。
支配しているマスコミを利用して、ワシントンは、大陸で新たなペロンやチャベスが出現するのを防止すべく企んでいる。アメリカ国務省と中央情報局(CIA)は、メキシコ大統領を目指した元候補アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールの活動を大いに懸念している。2012年の大統領選挙で、彼が勝利できなくさせる為、電子投票結果の不正工作を含む、様々な仕掛けや陰謀が動員された。エンリケ・ペーニャ・ニエトは、メキシコ財界の大物達と、アメリカ合州国の支援で、汚い手口で選挙に勝ったのだ。非常に高い支持率を誇るオブラドールは、2018年には恨みを晴らす可能性がある。新たな中傷作戦の策謀が、秘密実験室でひねり出されつつある。例えば、もっぱらオブラドールを話題にする最近のツィートに“彼は自らを貧者の保護者と呼んでいる”というのがある。ビデオ・クリップには、握手する謙虚さなどないかのように露天商に背を向ける彼が映っている。実際は、映像は、言葉を交わした後、親しみを込めて支持者を抱き締めるオブラドールを映している。アメリカ支持派の放送局が、映像が実際に映しているものを変える為“創造力たくましく”ビデオを改ざんしたのだ。TVやラジオのニュースキャスター連中が終始アメリカ権益に仕えているメキシコでは、それを一体誰が知ろう?
記事原文のurl:http://www.strategic-culture.org/news/2015/03/17/us-vs-latin-american-leaders.html
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チュニジアで観光客に銃撃。19人死亡。日本人も三人亡くなられたという。カルタゴ文明遺跡を訪ねられたのだろうか?
観光立国のチュニジアで、こういう事件がおきるとは。
テロ集団、いつ、どこで、何をするか、宗主国諜報機関以外には皆目見当がつかないだろう。
集団的自衛権をふりまわしたり、宗主国侵略戦争の兵站活動を熱心に支援したり、辺野古巨大基地を作ったりしても、こうしたテロには一切効果はないだろう。
集団的自衛権をふりまわしたり、宗主国侵略戦争の兵站活動を熱心に支援したり、辺野古巨大基地を作ったりすれば、少なくとも、兵器産業や、大手建設業には濡れてに粟。そして、キックバックいや、正当な政治資金寄付が、たっぷり与党政治家諸氏に向かうだろう。
全く不要な原発の本当の狙いは、キックバックいや、正当な政治資金寄付だったのではあるまいか。
「核武装が狙いだった」という言説、キックバックいや、正当な政治資金寄付が狙いである実態を隠す美辞麗句なのだろうと最近思うようになった。
「中南米」を「日本」に置き換えるだけで、そのまま通じる記事。例えば、具体的には、まともなことを言っている鳩山元首相を、理不尽に袋叩きする属国政治家、大本営広報部、御用評論家。
TVやラジオのニュースキャスター連中が終始アメリカ権益に仕えている属国では、それを一体誰が知ろう?
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