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2012年9月27日 (木)

アフガニスタン戦争のバランスシート

wsws.org

2012年9月24日

2009年末、アフガニスタンに派兵された“増派”軍最後の部隊を、戦争で荒廃した国から撤退させることを発表するにあたり、「はなばなしくはなく、消えいるように」というのが、オバマ政権の活動方針であるらしい。合計33,000人のアメリカ軍兵士がアフガニスタンから去ったが、主に南部と東部の地域に配備された68,000人が残っている。

アメリカ合州国、アフガニスタンのいずれからも、おそらく地球上最も離れた場所、ニュージーランドを訪問中のレオン・パネッタ米国防長官を通した簡潔な報道発表で、ペンタゴンはこの撤退を公表した。オバマ大統領からも、アフガニスタンのハミド・カルザイ大統領からも、この事実に関する公式確認はない。

パネッタはこう宣言した。“今この時期に熟考するに、増派が戦場におけるタリバンの勢いを覆すという目的を達成し、アフガニスタン国家安全保障軍の規模と能力を劇的に強化したことを認識する好機である。”

ところが、アフガニスタン軍が証明した最も目ざましい“能力”は、アメリカ-NATOという大領主に敵対する意欲だ。“グリーン-オン-ブルー”攻撃、(緑の)制服を着たアフガニスタン軍兵と警官が、アメリカと(青い制服の)NATO軍兵士に発砲し、少なくとも51人を殺害し、更に多数の兵士を負傷させた。

先週、アフガニスタン兵と警官による、アメリカとNATO軍の兵士への“インサイダー”攻撃の数が増大している為、アメリカ軍は、アフガニスタン国家安全保障軍との直接協力の停止を余儀なくされた。この事実だけでもパネッタの成功という主張はお笑い種だ。

しかも、オバマ政権は、タリバンや他の武装反抗勢力集団の軍事力を、大幅に“低下させた”と主張するが、9月14日の出来事は、そうではないことを示唆している。武装反抗勢力集団は、ヘルマンド州にある厳重に防備を固めたイギリス基地を大胆にも正面攻撃し、防御線を突破して、駐機していた多数の飛行機を破壊した。

自分の発言の滑稽なほど楽観的な調子を和らげようとして、オークランドの記者会見で、パネッタはこう語った。“この軍事行動で、先々困難な日々が続くだろうことは疑いようがない”しかし、こう付け加えた。“順調に進んでいると考えている。”

パネッタ発言に対して、アメリカの首都の主要日刊紙ワシントン・ポストは、“アフガニスタンでの不調”という見出しの辛辣な社説で答えた。イラク、アフガニスタンとリビアにおける戦争、そしてシリアやイランにおける新たな戦争の強烈な支持者であるポスト紙は、こう警告した。“アフガニスタンにおけるアメリカ戦略が … オバマ大統領在位中のどの時期より、危機にさられる可能性がある。”

アメリカ政府高官や議員達は、“グリーン-オン-ブルー”殺害の政治的影響力を“兵士の士気と既に脆弱な国民の戦争支持とに対する壊滅的影響ゆえに、ベトナム戦争のテト攻勢になぞらえている。”と同紙は書いている。

ベトナムとアフガニスタンの戦争はアメリカ帝国主義が行った中で最も長い戦争で、ワシントンで交互に権力につく二大資本主義政党は、いずれも、それぞれの大虐殺の責任を共有している。ベトナム戦争は民主党の下で始まり、歴史的な潰走で終わるまで、共和党の下でエスカレートした。アフガニスタン戦争は、共和党ジョージ・W・ブッシュの下で始められ、民主党後継大統領の下でエスカレートした。

戦争で荒廃した二国の間には、当然ながら、歴史的文脈、地勢や社会構造などの点で様々な違いがある。いずれも一つの大きな共通点がある。占領された国の国民に対する、アメリカ介入による大虐殺の影響だ。アメリカの武力侵略、主として空爆の結果、200万人以上のベトナム人が亡くなった。

アフガニスタンでは、アメリカの役割は、より複雑・間接的であるにせよ、同様に壊滅的なものだ。ソ連による侵略と“ロシア版ベトナム”を引き起こすために、ジミー・カーター民主党政権が画策した、親ソ連政権転覆を狙う一番最初の取り組みから、CIAによる後援の下、後にアルカイダとなるものの組織化、やがて、パキスタン、アメリカ合州国両国の支援を得てタリバンが政権を握り、更には、現在の対反乱戦争に至るまで、30年以上の戦争と帝国主義の陰謀で、何百万人もが、殺害され、負傷させられ、あるいは強制退去させられた。

“増派”軍兵士の撤退は、終わりではなく、アフガニスタン国民にとって進行中の苦悶の新段階を示すものだ。かなりのNATO軍とともに、依然として68,000人の米軍兵士が駐留しており、カーブルの腐敗したカルザイ傀儡政権や、他地域の中心地には欲得ずくの多様な軍閥司令官達もいる。

アメリカのアフガニスタン侵略の政治的理由付けは、後に起きた出来事で吹き飛ばされてしまった。ブッシュ政権は、超党派支持を受け、タリバン政権打倒は、2001年9月11日のニューヨークとワシントンへの攻撃に対する反撃として遂行される、グローバル“対テロ戦争”における必要な第一歩だと主張した。11年後、依然としてアフガニスタン戦争の標的と想定されているアルカイダは、シリアのアサド政権を打倒するというアメリカ取り組みと、対イラン・アメリカ直接攻撃のお膳立てをする、アメリカ帝国主義の主要同盟者だ。そしてアフガニスタン戦争はだらだらと続く。

この虐殺を終わらせるための政治的構想は、アメリカの支配層エリートのいかなる部分から出されることはなく、まして、共和党が遂行する帝国主義戦争には反対だと主張しながら、民主党が遂行する戦争を歓迎する、中産階級の似非左翼集団から出ることなど有り得ない。万国の労働者階級と提携し、帝国主義戦争に反対する大衆運動を立ち上げ、アメリカとNATOの全軍隊のアフガニスタンからの撤退、崩壊した国を再建する為の何百億ドルもの支援提供、この大虐殺の命令を下した連中、そして継続命令を下している連中の戦争犯罪の告訴を要求することは、アメリカの労働者階級の肩にかかっている。

Patrick Martin

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2012/sep2012/pers-s24.shtml

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“グリーン-オン-ブルー”攻撃を知って、内田樹説を益々奉じる様になった。

少なくとも、警察が

証明した最も目ざましい“能力”、アメリカ-NATOという大領主に敵対する意欲

の一部は、日本の貢献によるものに違いない。我々の税金、無駄に使われてはいないのかも知れない。(NATO管轄の)ISAF派兵を主張した政治家もおられるが、実は慧眼?

The Asahi Shimbun Globe記事アフガニスタン・パキスタンを語る
第9回 その2 ルポ アフガン警察訓練の現場を見る
の一部を引用させて頂こう。

 日本が国連開発計画(UNDP)のアフガニスタン法秩序信託基金(LOTFA)を通じて、警察官の半年分の給与にあたる100億円を超える資金を拠出していることについて、ビトラップは「日本の給与支援はとても役立っている」と述べ、政府に支払い能力がまだないことから、支援の継続を求めた。日本は、警察官を日本に呼ぶ研修も実施している。

アメリカの労働者や、ヨーロッパや、中南米の労働者の皆様は、大衆運動を立ち上げ、アメリカとNATOの全軍隊のアフガニスタンからの撤退、崩壊した国を再建する為、何百億ドルもの支援提供、この大虐殺の命令を下した連中、そして継続命令を下している連中の戦争犯罪の告訴を要求する可能性がある、のかも知れない。

日本人、内田樹説では、より賢明な面従腹背戦略を推進している。

従者の復讐にはこうある。

日本は「アメリカが世界中の人々から敬愛され、その繁栄を世界中の人々が望むようになるため」には指一本動かさなかった。

これはほんとうである。

その代わりに、朝鮮戦争のときも、ベトナム戦争のときも、アフガン侵攻のときも、イラク戦争のときも、「それをするとアメリカの敵が増える政策」については日本政府はきわめて熱心な支持者であった。

イラク戦争開始時、ヨーロッパの多くの国がその政治的大義についても軍事的見通しにも、つよい疑念を投げかけていたときに、小泉純一郎はこれを世界に先駆けて断固支持し、ジョージ・ブッシュの背中を押して、アメリカを「出口のない戦争」に導き入れた。

私の判断では、小泉純一郎は「アメリカ帝国の没落」に最も大きな貢献を果たした外国人政治家の一人である。

集団的自衛権と忠義なわんちゃんの下心についてにはこうある。

日本人は無意識のうちではアメリカの没落を願っている。

そして、それを「アメリカのやることを(どれほどの愚行でも、愚行であればあるほど)すべて支持する」というかたちで実現しようとしている。

日本がこれからアメリカの中東や東アジアにおける軍事行動にこまめにコミットして、反米運動を暴力的に叩き潰す活動に鋭意邁進すれば、その分だけアメリカとその同盟国である日本は世界の人々の怨嗟の的となり、日米の同時的没落の時は早まるだろう。

アメリカと心中したいというのが「集団的自衛権の行使」を言い立てている人々の抑圧された欲望であるという可能性は決して低くない。

小泉純一郎はそうだった。安倍晋三も石原慎太郎もたぶんそうだと思う。

きっと橋下徹もそうなのだろう。

マスコミが絶対触れたり推奨したりしない絶滅危惧種政党ではなく、憲法9条破壊と集団自衛権を叫ぶ、自民、公明、民主、異神の怪等に断固として投票される皆様は、

    1. 彼らに憲法9条を破壊させて、
    2. 集団自衛権という名の宗主国による遥かかなたの地での理不尽な先制攻撃・侵略に、税金・貯金・預金のみならず、自らの夫、子、孫、子孫までも砲弾の餌食として差し出すことにより、
    3. 宗主国没落を促進する

という、実に英雄的な行為をしておられるのかも知れない。

自らの一家郎党を滅亡させることによって、宗主国の滅亡を実現するというなんとも大胆で遠大な発想、小生のような臆病者には想像もできない理不尽な破れかぶれ戦術に思えてしまうけれども。きっと皆様はそうなのだろう。

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コメント

従者の復讐は、何も宗主国に対して行うものだけではありません。
自国の内部でも有り得ることです。
ろくでもない方向性しか持たない主人に従えば従うほどに主人と
自分と同胞(とすら思ってないかも)の首を絞めることとなります。
裏切り者は、我々の内にこそ存在するという、恐ろしい現実に目を
向けたくないのか知れません。
そんな高度なレベルですらなく、ただ、大した考えもなく、日々の
糧や富を得るための活動をした結果なのかも知れません。

「従者の復讐」の論理に共鳴します。管理人様の紹介記事を読み、すぐさま『宦官』という訳書、尾崎秀実の対支那全面戦争論、そしてチェルノブイリを思い浮かべました。宦官は主人である皇帝を破滅に誘い、尾崎は失敗に終わったものの、対支戦争の敗北による大日本帝国の崩壊を構想しました。もしも対中全面戦争が起こっていたならば、恐らく今も戦っていることでしょう。中国人の時間感覚には実に雄大なものがあります。チェルノブイリはロシアによるウクライナ大飢饉政策―同じスラブの同族五百万人を飢え死にさせた―に対する復讐でありましょう。ソ連は冷戦に敗北したのではなく、チェルノブイリの処理費に耐えなくて、経済的に崩壊したのです。チェルノブイリの事故処理ビズネスが欧米の経済を押し上げているのをご存知でしょう。疲弊し、困憊した日本人が、フクシマ4号機燃料プールの崩壊が待ち遠しいなと思うようになるのも、そう遠い未来ではないような気がします。北太平洋に高濃度の放射能汚染水を流し込み、あの生白い米国人―アメコウと呼んでいましたね―に広島と長崎の被曝者の苦悩を体験していただこうではありませんか。

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