アフガニスタンの虐殺事件は犯罪的戦争の産物
wsws.org
2012年3月20日
先週金曜、16人のアフガニスタン民間人を虐殺した罪で告発されている兵士が特定されて以来、マスコミは、戦争そのものの犯罪的本質を意図的に無視し、この恐るべき犯罪を、ロバート・ベイルズ二等軍曹の経歴をほじくり返し、個人的問題として解釈させようと務めてきた、。
カンザス州フォート・レブンワースのアメリカ軍刑務所地に容されているベイルズは、3月11日の夜明け前に、南部カンダハル州パンジャウィ地区の前哨基地から逃走し、二つの近隣の村の家に押し入り、うち9人は子供のアフガニスタン人を射撃し、突き刺し、殺害したかどで、軍により告訴されている。ある家では、犠牲者の遺体を積み上げて、火を放ったといわれている。
彼は現在、例外なく“ならず者”兵士と表現されている。バラク・オバマ大統領、ヒラリー・クリントン国務長官や、ジョン・アレン大将やアフガニスタン駐留アメリカ人司令官達等全員が、ベイルズの行為はアメリカ軍の価値観や態度を反映しているわけではないと世界に請け合う公式声明を出した。この公式説明によれば、答えを出すべき唯一の疑問は、彼はなぜ“キレた”のか?だ。
この説明の事実的根拠を、アフガニスタンの村人達、アフガニスタンのアメリカ傀儡大統領ハミド・カルザイと、アフガニスタン国会下院が設置した調査委員会が疑問視しており、全員が、この虐殺は、単独の殺し屋の仕業ではなく、15人から20人ものアメリカ軍兵士によるものだと非難している。週末に、国会議員委員会が調査結果を発表したが、それには、この虐殺で殺された女性の二人が凌辱されていたことも含まれている。
たとえ、こうした残虐な出来事に関するアメリカ軍の公式説明と、ベイルズが実際単独で行ったことが真実であることが判明したにせよ、アフガニスタン人の中での圧倒的な世論は、多数のアメリカ軍兵士が虐殺に関与していたというものだとい事実が多くを物語っている。明らかに、彼等はこれを狂人あるいは“ならず者”の行為としてではなく、何万人ものアフガニスタン民間人の命を奪った、十年もの長きにわたる戦争と占領の中の余りにありふれた出来事の一つと見なしているのだ。
これまでに明らかになったベイルズに関する情報は、一連のストレスと危機を示唆している。彼は、2001年、9月11日の攻撃から数週間のうちに軍に入隊したが、株式市場の低迷で、短期間の投資家という職を辞めた後でもあった。
既に三度の戦地勤務を経て、交戦地帯に再び派兵されることはないだろうと思うようになっていたところを、昨年アフガニスタンに派遣されたのだ。昇進を見送られ、莫大な借金を抱えて、自宅を売ることを強いられていたことを含め、深刻な借金問題に直面していた。彼はイラクで外傷性脳損傷を患っており、弁護士は、彼が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患っていたのかどうかが、裁判になった際に重要問題になるだろうと示唆した。
こうした要素のすべてが、アメリカ“全員志願兵”軍の何十万人もの人々が、中東と南アジアで、十年間も、二つの同時並行する戦争を戦った後に直面している状態を示している。既成政治勢力と二大政党は、外国におけるアメリカの帝国主義戦争への支持を確保する手段として、“わが軍を支援するよう”当然のごとく国民に指示するが、支配エリート層からは、軍のこうした兵士達は使い捨て商品と見なされているというのが本当のところだ。
ベイルズが犯人とされている事件が決して珍しいものでないのと同様、彼が犯したかどで告訴されている恐るべき行為は、決して単なる神経衰弱の産物ではない。
アフガニスタン国会の調査員達によれば、村人達は虐殺の明らかな動機を知っている。報復だ。村人達に、アメリカ軍が、数人の兵士を負傷させた爆弾爆破の報復に直面するぞと警告していたと村人達は証言している。ベイルズの弁護士によれば、虐殺の前日、二等軍曹は、道路脇に仕掛けられた爆弾で、友人の両足が吹き飛ばされるのを目撃した。
そのような報復行為は、アメリカ軍司令部が決して予想できなかったものではない。つい先月、コーラン焼却でひき起こされた大規模な騒動のさなか、前日、二人のアメリカ兵が殺害された、東部のナンガルハル州にある前進作戦基地での米軍兵士の集会で演説するアレン大将がアメリカのテレビ・ニュースに映った。“今は報復すべき時ではない。今は復讐すべき時ではない。”と大将は兵士達に語った。
兵士達が“怒りと反撃の願望”にとらわれている事実は認めつつ、アレンは兵士達に“規律を忘れぬよう、自分のミッションを忘れぬよう、自分が誰かを忘れぬよう”要請した。
こうした言葉は不注意に選ばれたものではない。アレンも他のアメリカの最高司令部は、あれこれの個人の精神障害というより、戦争の性格そのものに由来する、残忍な報復行動を、アメリカ軍兵士が実行する危険性を承知していた。植民地占領により、アメリカ軍は、打ち負かすことか出来ないことが証明された、益々増大する大衆のレジスタンスに立ち向かわされている。
このような報復行動は、更に破壊的なことが多い、爆撃、夜襲虐殺や、他の殺人行為等の他の無数のものとともに、ブッシュ政権が開始し、バラク・オバマ大統領の下で継続している帝国主義侵略戦争の必然的な特徴なのだ。
これらの戦争を正当化するために利用される嘘を広める上で大きな役割を果たしてきた商業マスコミは、今や戦争そのものについて、この最新の虐殺が語っていることを分析することには全く関心はない。政府同様、マスコミの主要な関心事は、そのような犯罪をもみ消すこと、そして、それが不可能な場合は、こうした行為の客観的重要性から注意を逸らせることにある。
ベイルズ二等軍曹や、カンダハルでのこの虐殺に関与した他のアメリカ軍兵士達は犯罪の責任を問われるべきだ。それはそれとして、遥かに悪質な犯罪人連中は、嘘を基にした戦争で殺人し、死ぬべく、彼等を派兵したブッシュ・オバマの政権の高官達だ。
こうした犯罪人達に裁きを受けさせることは、資本主義者による戦争と、その根源たる資本主義利潤制度に対する戦いの一環としての労働者階級の任務だ。
Bill Van Auken
記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2012/mar2012/pers-m20.shtml
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理由もなく、爆弾を雨あられのように不当に投下し、占領した無謀な軍隊の兵士、いくら武力で勝っても、反抗するゲリラに苦しめられるだろう。当然、精神的に病む兵士が続々出てくるだろう。前線にはセラピストがいて、なんとか回復させ、前線復帰させようとしている事実を描く映画『マインド・ゾーン』を作った人物とのインタビューがデモクラシー・ナウにある。(英語)本質的に悪いことをしているがゆえに心を病む兵士を、何といって励まして、復帰させるのだろう?悪事を止めるという、正常な心理的ブレーキを壊すことにならないのだろうか?
外装工事の足場を固定しなかったために、幼い子供の命が奪われた。
担当工事会社に対して、早速、警察の捜査が行われている。当然だろう。
ストーカーをなんとかして欲しいと頼んでも、署員旅行が優先され、安全を無視した設計・運転基準で、金で流布した安全神話詐欺と、金で得た賛成派を駆使して、未曾有の放射能放出事故の原因解明を怠り、広大な地域を汚染し続け、非常に多数の人々を強制疎開させ、失業させたまま、平然と原発稼働を推進する政治家、電気会社、原発メーカー、監督官庁、労働組合、マスコミ、御用学者、司法組織等の、責任を問われるべき連中、一人として、捜査されたり、逮捕されたりしていない、決して当然でないクニ・ケン。
そういうとんでもないクニを押しつける連中、そういう組織を讃える旗をおがめ、歌を歌えと強制する。クニが丸ごとオウムになったようなもので逃げようがない。
理不尽な押しつけに反抗する、理性のある人間がいては困るのだ。
証拠隠滅を狙った瓦礫の全国拡散を、マスコミは幇助するばかり。絆!
「反対する連中は、思いやりのない非国民」という、プロパガンダ。
『冷温停止』したという真っ赤な嘘は、テレビ放送し、新聞記事にする。
一方、嘘をつき続けるとんでもない連中を鋭く批判するビナード氏の「セシウム咲いた」講演会は中止させられる。あまりにアンバランス。北朝鮮並の情報統制。
『チャイナ・シンドローム』のジャック・レモンの熱演をみながら、ビナード氏を連想した。
その北朝鮮の『人工衛星』発射の話題で、「いざ迎撃」とわくわくしているのは、宗主国・属国の与党政治家、官僚、そして何より、人類の幸福に全く無縁の、殺人装置製造を業とする殺人鬼業。
ジャーナリスト同盟通信 本澤二郎の「日本の風景」(1016)<軍人は玩具大好き>
ところで『自滅するアメリカ帝国 日本よ孤立せよ』伊藤貫著、文春新書は興味深い。
素人の妄想と思いながら書いている「宗主国・属国関係」、妄想ではないようだ。
78ページの一部を引用させていただこう。
アメリカの対日政策の本音は、「敗戦国日本が真の独立国となることを阻止する。日本人から自主防衛能力を剥奪しておき、日本の外交政策・国防政策・経済政策をアメリカの国益にとって都合の良い方向へ操作していく」というものであるが、これを公式の場で表現する時は、「価値観を共有する日米両国の戦略的な互恵関係をより一層深化させて、国際公共財としての日米同盟を、地域の安定と世界平和のために活用していく」となる。
あの名著、関岡英之著『拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる』も文春新書。巻末にも、宣伝が載っている。
宣伝ページで、隣に並んでいる二冊がすごい!全く反対の視点で書かれているであろう本。(もちろん、読んでおらず、読む予定もないので、単なる想像。)
『日米同盟vs中国・北朝鮮』アーミテージ、ナイご両人と春原剛著
『決断できない日本』ケビン・メア著
矛盾という言葉の語源を連想させられた。
どんな盾でも突き抜ける矛(ほこ)と、どんな矛(ほこ)でも、突き抜けない盾を売る中国の商人に、その矛(ほこ)で、その盾をついたらどうなるかと客が聞いたら、商人は答えられなかったというお話だ。売れさえすれば内容は問わない方針の悪徳商人の。
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