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2010年8月16日 (月)

オンラインでしている全操作が!

Kevin Drum

2010年8月13日

"Mother Jones"

先週、ウオール・ストリート・ジャーナルが、"彼等が知っていること"と題する一連のぞっとする記事を掲載した。テーマは、デジタル世界での、個人的プライバシーというか、プライバシーの欠如だ。シリーズ最初の記事は、ウェブサイトが、どのように、ウェブ上で、人の行動を常時追跡(トラック)し、その過程で、ユーザーに関する実に驚くべき量の個人情報を収集しているかについて説明している。ジャーナル紙は、テスト用コンピューターを使って、50のサイトを調査し、これらのサイトは全体では、合計3,180のトラッキング・ファイルを、一サイト平均では、63のトラッキング・ファイルをインストールしたことを発見した。

この技術レベルが、益々立ち入ったものになりつつあることを、ジャーナル紙は発見した。個人がオンラインでタイプ入力した内容を記録し、そのテキストを、テキストの内容や、調子や、個人の社会的なつながりに関する手掛かりを分析する、データー収集企業に送れるトラッキング・ファイルもある。トラックされている個人が削除してしまったようなものまで、トラッキングする側で、再生できるトラッキング・ファイルさえある。

....ジャーナル紙が発見した、いくつかのトラッキング・ファイルは、余りに詳細であり、名前だけが匿名という状態にほぼ等しいものだ。これにより、データ収集企業は、最近購入したもの、好きなTV番組や映画に加え、年齢、性別、人種、郵便番号、収入、配偶者の有無や健康状態を含む個人プロフィールを構築することが可能になっている。

彼等が検証したサイトの全リストはここにある。最も押し付けがましいのは、dictionary.comと、msn.comで、それぞれ200以上のトラッキング・ファイルをインストールした。一番押し付けがましくないのは、craigslist.orgと、wikipedia.orgだった。

一体どうすべきなのだろう? 個人データの収集と利用に関しては、アメリカよりも、かなりましな規制があるヨーロッパには、オンライン・データをどれだけの期間保存すべきかに関しては、より厳しい規制がある。何といっても、現地の警察が、いつかそれを使いたくなる可能性もあるのだ。クリスチャン・サイエンス・モニター紙は、とうとう、これが反発をひき起こしていると報じている。

ヨーロッパ中で、プライベートなデータの蓄積に対する反感が高まっている。ヨーロッパ・ジャーナリスト連盟等の市民社会団体は、こうした行為を批判しており、ドイツでは、ザビーネ・ロイトホイザー=シュナレンベルガー法務大臣を含む約35,000人が、この件を巡って、自分たちの政府を訴えている。

  "現在、ヨーロッパでは、実際、問題なのです。これは、誰もが私生活に対する権利を持つとしているヨーロッパ人権条約違反です。この基本的権利は、デジタル生活にまで、拡張されるべきです" と、デジタル権利という政治要綱を掲げて選出された、何かと物議を醸している、スウェーデン海賊党の欧州議会議員クリスチャン・エングストロムは語っている。

この対立状態は、政府というものは、オンラインでの個人データ収集を制限することに、必ずしも熱心ではないことを意味している。それに加え、そうした行為を禁止したいという人々に対しては、技術的なむずかしさもあるのだ。議会が、2003年に、セールス電話禁止法を可決した際には、仕事はより容易だった。人は皆電話番号を持っているので、こうした電話番号をデータベースに入力し、勧誘業者に、こうした番号に電話をかけるなと言えばすんだのだ。だがデジタル世界には、電話番号に相当するものが存在しない。コンピューターのIDはIPアドレスだが、大半のIPアドレスは定期的に変化する。"トラックしてはいけないものの"データベースを作り、オンライン勧誘業者に対して、登録者全員には、トラッキング・ファイルを使わないように、と指示するための方法はない。

もう一つの方法として、ハーラン・ユーが最近書いているように、全く逆の方法を使うこともできる。ユーザーに登録するよう要求するのではなく、勧誘業者に登録することを要求し、業者のドメインがトラッキング・ファイルをインストールするのを防止するようブラウザ設定に任せる方法だ。残念ながら、これにも技術的な難点もあるので、ユーは、代わりに、ユーザーが見に行くあらゆるサイトに対して、トラックされたくないのだと、使っているブラウザから、通知させることを可能にするような新標準を提案している。

    ブラウザは、すべてのHTTP接続に対して、あるいはサード・パーティー・サイトへの接続に対して、あるいは、ユーザーが指定した一連のサイトへの接続に対して、x-notrackを有効にすることができる。トラックするなという信号を受信すると、そのサイトが、FTCの規制により、ユーザーの装置上に、何かずっと残るような識別子を設定したり、あるいは、ブラウザを特定し、やりとりをトラックする、他のあらゆるサイドチャネルの仕組みを利用したりできないようにするのだ。

これには、もちろん、オンライン・サイトに、x-notrackリクエストを有効と認めることを要求する法律が必要だろう。これは悪いニュースだ。良いニュースは、何が最終的な解決策になるにせよ、問題そのものが、連邦議会で、ようやく多少の注目を浴びる様になっていることだ。マーク・プライア上院議員(アーカンサス選出・民主党)が自分のオンライン・データを、消費者が更に管理できるようにすること....を目指す。まだ初期草稿段階なのだが、この法律の焦点は、消費者に対し、ウェブ上でトラックされるのを止めることが出来る能力を与えることにある" 法案を起草していると、先週Politicoが報じた。"この問題には引き続き注目いただきたい。

とりあえず、ジャーナル紙のプライバシーに関連する一連の記事はここにあり、記事はザッと目を通す価値が十分にある。そこには、ウェブ・トラッキング、携帯電話のモニターや、こうしたトラッキング・サービスが、どれだけ、あなた方のことを知っているのかや、グーグルやマイクロソフトのような大企業の役割に関する記事もあり、どのようにしてトラッキングを避けるかについての助言もある。トラッキングを完全に避けることはできないが、トラッキングを最小化するため、とれる対策はあるのだ。

記事原文のurl:motherjones.com/kevin-drum/2010/08/tracking-your-every-move

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ところで人気のiPhone、他の携帯電話以上に様々なデータが自動的に蓄積されるので、警察にも人気が高いというシカゴ・サン・タイムズ記事もある。

Cops love iPhone data trail

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