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2010年6月24日 (木)

アフガニスタンは無意味?

アフガニスタンは無意味?

Patrick J. Buchanan

2010年6月18日

"語り口が … 余りに否定的に過ぎる。"

アフガニスタン戦争にまつわる政治・報道コメントに関し、ロバート・ゲーツ国防長官がそう言ったのだ。語り口は、2007年6月、イラク増派が成功し始める前の悲観主義を思い起こさせるとゲーツ長官は語っている。

だが今や戦争を批判する人々からだけでなく、熱烈な支持者もそうした語り口で発言している。ジョン・ マケインが、戦争遂行の努力は"危機"へと向かっており、オバマ大統領には来年夏に開始するという撤退予定を発表した責任があると述べたのだ。

だが、先月、9年にわたるアメリカ最長の戦争の中で、アメリカの野戦指揮官スタンリー・マクリスタル大将が、タリバンとの戦いは引き分けだと語っているのに、アメリカ人は一体どうして楽観的になれよう。

8年前、タリバンは終わったように見えた。

それ以来、アメリカは何千人もの兵士を送り込み、3000億ドルを費やし、1,000人の兵士を失い、何千人もが負傷している。それなのに、タリバンは益々強くなり、より広範に活動している。

残念ながら、ペンタゴンが非難している語り口は、現実に根ざしているのだ。

6月に予定された決定的に重要なカンダハルの戦いの最終的リハーサルだと言われているマルジャーの戦いは喧伝されたような勝利ではなさそうだ。アフガニスタン政府と警察は、アメリカの後を受け、マルジャー地区の支配権を握ることに失敗したのだ。タリバンはアメリカに協力する人々を殺害し続けている。

カンダハルには住民が800,000人おり、マルジャーの10倍の人口で、タリバンの精神的首都だ。

そして、カンダハルの戦いは、6月には行われないことがわかった。

実際、それは全く戦闘ではなく、国民に、タリバンに抗して立ち上がり、アメリカに協力し、カーブルとハミド・カルザイ大統領に忠誠にするよう説得する、人心獲得の戦いだ。

カンダハル住民は、都市での戦闘も、アメリカの保護ももはや望んでいないように見える。麻薬密売組織ボスである弟のワリ・カルザイが、カンダハルのアル・カポネなのに、大統領が一体どうして忠誠心を勝ち取れよう?

カルザイ大統領自身について言えば、今月、国民大会議、ロヤ・ジルガに対するタリバンによるロケット弾攻撃の後、彼は内務大臣と、諜報機関のトップ、アムルッラー・サレフを首にしたが、これは彼が大統領となって以来、最大の刷新だ。二人ともアメリカとは太いつながりを持っており、二人は何よりアメリカに忠誠だろうと疑っているとカルザイは語っていたという。

ロヤ・ジルガ攻撃におけるタリバンの役割の証拠を見せられて、アメリカが背後にいると考えているとカルザイは語った、とサレフはいう。

サレフによれば、アメリカ合州国とNATOには、戦争を最後までやり抜く忍耐力があるという確信を、カルザイは完全に無くし、彼は秘密に裏ルートでタリバンと協定を結ぼうと動いているのだ。

ロンドン大学経済学部のハーバードの研究者マット・ウォルドマンが、ロンドン・テレグラフに書いた記事には、パキスタン諜報機関は、現在タリバンと全面的に協力しているという劇的な嫌疑が書かれている。

6月16日、ムンバイ虐殺の背後にいた集団、ラシカル-エ-タリバがアフガニスタンで活動しており、インド人の援助活動家を攻撃しているとニューヨーク・タイムズは報じた。タリバン同様、ラシカル-エ-タリバも、パキスタン諜報機関による支援を初期から受けている。

アフガニスタンでは一体何が起きているのだろう?

パキスタンは、タリバンとラシカル-エ-タリバとの関係を維持することによって、オバマ大統領が来年7月に撤退を開始するつもりだと語っている通り、万一アメリカが撤退した際、アフガニスタンが、ニュー・デリーではなく、イスラマバードの軌道に確実に乗るようにしたいと考えているように思われる。

とはいえ、アメリカ合州国とNATOにとって、死傷者は、この戦争でも最高レベルに増えている。6月はこれまでで最も血まみれの月となりつつある。

バラク・オバマ大統領は、12月にアメリカの戦略と政策を見直すと約束しているが、現在の率では、更に数百人のアメリカ人の若者が、それまでに命を失うこととなろう。

何の為に?

アフガニスタンに、タリバンが権力から永久に追放され、アルカイダが戻る可能性がない国家を生み出すのに成功するには、アメリカ軍の勝利を受け、支配権を握り、国民を保護し、社会改革を実現するカーブル政府やアフガニスタン軍と警察が必要なのだ。

今あるのはそういう政府ではない。そうではなく、今あるのは、アメリカは最後までやり抜くとはまるで信じておらず、従って、アメリカの背後で、アメリカ兵を殺害している敵と交渉している政権だ。

アメリカ合州国とそのオランダのように撤退した国もあるNATO同盟諸国が、この戦争で12ヶ月の間に、優勢になり、オバマが進んでアフガニスタンを見限らない限り、オバマが約束した通りにアメリカが撤退可能になるとは、到底信じがたい。

もしも、見限るのであれば、今そう発言して、アメリカ兵の命を救うべきだ。

もし彼がアフガニスタンが陥落するのを見たくないのであれば、この戦争で敗北を避け勝利するのに、一体何が必要か、一体どれだけ時間がかかるのか、彼は国民に語るべきだ。

過去8年間、膨れ上がる人的犠牲と経費をもってしても実現しそこねたことを、アメリカが今後12ヶ月間で成功できると語っても、信じることはできない。

記事原文のurl:original.antiwar.com/buchanan/2010/06/17/what-price-afghanistan-2/

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マクリスタル大将、舌禍事件を理由に、あっけなく解任された。

毎回の選挙、庶民の冥土の旅の一里塚、めでたく思えたことはなし。

普天間・安保廃棄を論ぜず、議員削減と消費税増税の大合唱。

枝野幹事長、憲法調査会を、参院選挙後に復活すると発言している。

庶民派宰相という、いい加減な言葉を、新聞という名の有料官報でみかけた。

庶民破壊宰相だろう。政治家、大切なのは出身でなく、言動・行動だ。

軍事クーデターで追放されたホンジュラス元大統領セラヤ、与党の資産家だった。

貧乏人ではないが、ソトカノ米軍基地を廃止し、植民地憲法を変えようとしていた。

国政選挙の際、憲法制定会議を開設することの賛否も国民投票で問おうとした選挙直前、ホンジュラス軍に拉致され、ソトカノ米軍基地経由で追放された。

宗主国と仲良しの国軍や首都圏の外国軍基地が、何に役立つか示した事件だった。国家独立抑止。確かに「抑止力」であるにちがいない。

本当の独立を目指したホンジュラス庶民やセラヤの夢は挫折したが、この政治家と余りに対照的なのが、こちらの民主党・自民党・たけのこ政党政治家諸氏。日本を壊した首相のセガレを重用する自民党、日本を壊した反省の色皆無。民主党と共に破壊・隷属に邁進。

彼等が大きな顔をしていられるのは、セラヤとはしっかり逆の隷属推進派だからだ。

憲法を宗主国に都合良く変えるため、小選挙区・政党交付金制度を導入、議員削減をし、砲弾の餌食になる貧乏人の声を消し去り、憲法を破壊する。宗主国の侵略戦争で、傭兵として戦い、武器を輸出できるようにするために。希望は戦争。日本の政界・財界、広報部、基地・安保廃止とは言わない。庶民は野球賭博の話ばかり読まされる。

相撲世界と暴力団の癒着よりはるかに恐ろしいのは、政治家と宗主国の癒着だろう。ところが、ブログは国民を救ってくれる辣腕政治家の都市伝説だらけ。救国どころか今の閉塞状況を生み出したご本人だろう。「黄門様」は庶民のガス抜
きテレビ・ドラマ。ありえない英雄を求めるところに、ファシズムは確実にやってくる。

平凡社新書新刊『夏目漱石と戦争』を読んで、森鴎外は好きになれず、漱石を読み続けた理由がわかったような気がした。

『三四郎』にある、上京する列車の中で出会った男との対話部分を忘れられないが、何と日露戦争当時の記述だった。

「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、「滅びるね」と言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。三四郎は頭の中のどこのすみにもこういう思想を入れる余裕はないような空気のうちで生長した。

貧乏人である小生、選挙のたびに「滅びるね」の言葉を思い出している。

ヴォネガットの傑作『ホーカス・ポーカス』翻訳文庫本131ページに下記がある。

メンテナンスがお留守なので、橋がつぎつぎに落ち、水道本管が破損していることも語った。原油流出と、放射性廃棄物と、帯水層の汚染と、銀行の横領行為と、会社の倒産のことも語った。「そして、だれもまったく罰を受けないのです」と彼はいった。「アメリカ人であることは、すみませんという必要がないことを意味するのです」

『スローター・ハウス5』で、自軍の絨毯爆撃を受ける体験を味わったドレスデン爆撃について書いたヴォネガット、『ホーカス・ポーカス』終末では広島原爆に触れてている。

小説ほとんど読まないのに、ヴォネガットなら読める理由がわかったような気がした。彼の影響も受けている?とされる、壁に卵作家の本が読めない理由も?

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