■ 熱狂のさいたまスタジアム浦和レッズは、素晴らしい。
6万人を収容するホームのさいたまスタジアムは、週末ごとに熱狂に包まれる。平均観客動員数は、リーグトップの約45000人。赤い軍団は、強烈にレッズイレブンをサポートする。
圧倒されるのは、人数だけでない。サッカーを知り尽くした赤いサポーターは、相手チームにこれ以上ないほどの威圧感を与える。この雰囲気を醸し出すことの出来るスタジアムは、日本では、さいたまスタジアムのレッズ戦以外では、なかなかお目にかかることは出来ない。
マンチェスターユナイテッドのホームスタジアムであるオールドトラフォードは、「夢の劇場」と呼ばれるが、さいたまスタジアムの雰囲気がまったく及ばないものかというと、そうではないと思う。「赤く染まったさいたまスタジアム」は、日本サッカー界が世界に誇れる文化遺産の1つである。
レッズサポーターの威力は、ホームゲームのさいたまスタジアムでの試合にとどまらない。アウェーゲームでも、多くの赤いサポーターが集まって試合を盛り上げる。
ホームジャックされた経験をもつJリーグのチームは数知れず。ホームでのレッズ戦は、大きな集客元であると同時に、一抹の不安を感じさせる一大イベントとなっている。
■ Jリーグを引っ張る存在もちろん、成績面でも、文句のつけようがない。
06年は、ついに、Jリーグを制覇し、天皇杯も2連覇中。07年のACLでも準決勝に進み、日本だけではなくアジア中に、赤の脅威を撒き散らしている。
DF闘莉王やMF鈴木、DF坪井、DF阿部、FW田中ら多くの日本代表選手を抱えており、MF小野やMF相馬、FW永井といった代表クラスの選手が、ベンチを暖めている状態である。タレント性も群を抜いている。
かつては、Jリーグのお荷物と呼ばれた(※ お荷物扱いされたのは、最初の2年のみで、それ以後の10数年は、ずっと勝ち組みである。)が、選手・フロント・サポーターが一体となって、Jリーグ№1のクラブとなった。浦和レッズがなければ、Jリーグは、ずっと味気ないものになるだろう。レッズのもつ強烈なパワーが、Jリーグを引っ張ってきたといっても過言ではない。総合的には、間違いなく日本最高のクラブである。
もはや、浦和レッズは、Jリーグというスケールから飛び出そうとしているが、それについては、まったく問題はないだろう。創設当時は、ずっと平等主義で運営してきたJリーグだが、いつの間にか、各チーム間に、大きな格差が広がった。それは、必然であり、努力したものが報われるのは、まったく自然なことである。
■ 気になる傾向①ここまでの存在となった、浦和レッズは素晴らしい。
たが、1つ気になるのは、ここ最近、浦和レッズが神聖化されてきていて、その批判がタブーに近くなっていることである。そして、すべてがレッズ有利なシチュエーションになるように、話がまとまっているのではないかと、邪推できる部分がいくつか見える点である。
例えば、先日の柏戦でMF山根巌選手に対してひじ打ちをしたDF闘莉王に対して、下された処分は、厳重注意のみ。一方で、草津戦で相手DFに同様に報復プレーをしたモンテディオ山形のFW豊田陽平に対しては、6試合の出場停止処分が下された。どちらも、試合中にはレフェリーに気づかれなかった報復プレーであり、後日処分となったケースだが、下された裁定は大きく異なる。
ようやく怪我から帰ってきたエース豊田を失った山形としては、あまりにも痛い出場停止であるが、「闘莉王のケースとの差はいったい何なのか」、と疑問を感じるモンテディオサポーターがいてもおかしくない。
■ 気になる傾向②それ以外でも、浦和レッズ優位に事が働いているのではないか、と感じる部分がある。
例えば、昨年の天皇杯(86回大会)の浦和レッズの対戦カードと試合会場は、次の通りである。
4回戦 静岡FC(駒場)
5回戦 アビスパ福岡(さいたま)
準々決勝 磐田戦(さいたま)
準決勝 鹿島戦(国立)
決勝 G大阪戦(国立)
一昨年の天皇杯(85回大会)のスケジュールは、
4回戦 山形(駒場)
5回戦 FC東京(愛媛)
準々決勝 川崎戦(さいたま)
準決勝 大宮戦(国立)
決勝 清水戦(国立)
二年前の天皇杯(84回大会)のスケジュールは、
4回戦 福岡戦(博多の森)
5回戦 湘南戦(岡山)
準々決勝 FC東京戦(さいたま)
準決勝 磐田戦(国立)
である。
もちろん、4回戦は、J1のチームのホームゲームで試合を行うことが多いので問題はないが、中立地で行う方が望ましい準々決勝の対戦で、すべてホームのさいたまスタジアムで試合が行われているというのは、偶然ではないだろう。集客力を考えると、さいたまスタジアムで行うのが一番だろうが、公平性という点では、あまり望ましいとはいえない。
■ 気になる傾向③また、今回、ACLに参戦した川崎Fに対して、「柏戦の出場メンバーがベストメンバーではないのでは?」として、Jリーグの犬飼基昭専務理事や日本協会の川淵キャプテンが苦言を呈した。
ACLを制したチームにはクラブW杯への出場権が与えられるが、仮に、日本勢がACLを制覇できなかった場合でも、Jリーグチャンピオンに開催国として出場権が与えられる。うがった見方をする人は、「日本サッカー協会は、動員力の期待できるレッズに出場してもらるために、フロンターレの足を引っ張ろうとした。」と主張した。
これが、真実であるはずはない。しかしながら、これまでの日本サッカー協会やJリーグの言動が、そういう声を生み出す要因になっていることは、否定することはできない。
無意味な仮定ではあるが、まったく逆の立場で、浦和がターンオーバーをしていたとしてら、それでも、犬飼基昭専務理事や日本協会の川淵キャプテンは、浦和レッズの社長を罵倒しただろうか?これまでのように、顔色を伺いながら、波が立たないように対処したのではないだろうか?
■ レッズは巨人化するのか?いずれにしても、浦和レッズ側には、全く非はない。レッズがスーパーチームになったのは、不断の努力の賜物であり、敬意を表したい。そして、これからも、そのパワーをもって、Jリーグを引っ張っていって欲しい。
だが、レッズの人気を利用しようとするもの、あるいは、レッズに有利に事が運ぶように仕組んで利益を得ようとするものが、少なからず出現しはじめているのは、事実である。
プロ野球界で、FA制度やドラフト制度で、自分たちに有利に働くような「自分ルール」を設定して、他の球団にも散らばるべき人材を一極集中させていった読売ジャイアンツが、どういう末路をたどっていったかについては、改めて触れるまでもないだろう。
レッズが巨人化するとは全く思わないが、レッズをかつての巨人軍のように祭り上げようとする勢力が、Jリーグを不健全なものにしてしまうのではないかという危惧がないとはいえない。
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さいたまスタジアムの騒動に関して
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闘莉王の件、本来であれば、
・闘莉王のプレーの悪質さについて厳しく批判する
・Jリーグの取扱の不適切さに厳しく批判する
と言うのが当然なのではないでしょうか。
(Jリーグの処罰規定などについては目を通していませんが、闘莉王のひじ打ちはTVとYouTubeで見ました)
しかし、上記2点について所謂マスコミでは非常に小さい扱いしかしていないと感じました。
浦和レッズに対してマイナスの報道(浦和レッズおよびそれに関する批判)をマスコミが自主的に、もしくはJリーグなどに配慮して、制限しているのでしょう。
これがつまり、’浦和レッズ批判のタブー化’なのでしょうね。
(”自分達が報道しやすい”、”ニュース・バリューがある”(と思い込んでいる)「いわゆるスター選手」の起用を半ば強制して、それを’日本代表批判’として報道しているのと同様の構図ですかね)
個人的には色々なチームが、それぞれのやり方で戦い、それに共感して応援、サポートをする、と言う多様性、一体感(チームとサポーターとの)こそがJリーグの魅力だと思っています。
そのような多様性の排除にも通じる特定のチームだけを特別視する流れはとめて欲しいと思います。
ここで事例を出しているのはすべて協会やJリーグの対応の問題点ですよね?
ご自分で最後に「レッズに非はない」とまとめているのにもかかわらず、タイトルに「浦和レッズ批判はタブーなのか?」としていることに矛盾と違和感を感じます。
批判されるべきはレッズではなく協会とJリーグだと思うのですが・・・
文章に書いてある闘莉王の件は納得行かなかったです。何で処罰しないのと思いました。
確かに書かれているように浦和サポには失礼ですが浦和贔屓かなと思う時は正直あります。
でもサポの方々は贔屓されるのを望まないしたぶん要らないでしょう
だから協会は処罰を公平にして欲しいですね。
浦和にはACL勝ってほしいです
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