→
【G大阪×名古屋】 吹田スタジアムのこけら落としに行ってきた。 (生観戦記・上) →
【G大阪×名古屋】 吹田スタジアムのこけら落としに行ってきた。 (生観戦記・中)
■ こけら落としはG大阪が3対1で勝利Panasonicカップのガンバ大阪 vs 名古屋グランパスの序盤はどちらかと言うとアウェイの名古屋がペースを握る。G大阪はミスパスが多くてリズムをつかめない。しかし前半10分あたりを過ぎるとカウンターから形を作り始める。すると前半26分に名古屋のCKからカウンター。左サイドを突破したMFアデミウソンのグラウンダーのクロスを名古屋のDF竹内彬がクリアしきれずにオウンゴール。G大阪が先制する。
その後はG大阪ペースが続いていく。いくつかカウンターからチャンスを作ると前半36分に右サイドでFKを獲得。MF藤本淳が左足で蹴ったボールをMF今野が頭で合わせて2点目を奪う。MF藤本淳は前半26分の先制ゴールのシーンでも起点になっているので2つのゴールに絡んだ。名古屋はMF永井謙が脅威のスピードを生かして何度かゴール前に迫ったが攻めきれず。前半は2対0とG大阪がリードして折り返す。
2対0で迎えた後半は一転してアウェイの名古屋ペースで進んでいく。人数をかけた厚みのある攻撃を見せると後半2分にゴール前の混戦から199センチのFWシモビッチが頭で落としたボールをMF小川佳がつないで最後はゴール前でドフリーになっていたMF矢田が左足で流し込んで名古屋が1点差に迫る。直後にもMF小川佳のクロスからFWシモビッチがヘディングでゴールを狙うが枠をとらえることはできない。
後半15分あたりまでは名古屋が押し込んだがG大阪は後半17分にMF藤本淳に代えてMF阿部浩を投入すると守備が安定。名古屋の勢いを食い止めることに成功する。すると後半21分に左サイドのCKを獲得するとMF宇佐美が右足で蹴ったボールをフリーでゴール前に飛びこんできたDF丹羽大が豪快に頭で決めて貴重な3点目のゴールを挙げる。MF宇佐美にゴールは生まれなかったがアシストでチームに貢献した。
終盤になるとG大阪はFW呉屋、名古屋はMF和泉というユニバーシアード代表の期待の即戦力ルーキーを投入。名古屋のMF和泉には2度ほど決定機が訪れたがゴールにはつながらず。結局、試合は3対1でホームのG大阪が勝利。新スタジアムのこけら落としを白星で飾った。一方の名古屋は1対3の敗戦。0対2で迎えた後半は互角に近い攻防を見せたが3点目をセットプレーから許したのが痛かった。
#24 試合後の握手
■ ベールを脱いだG大阪の強力な攻撃陣吹田スタジアムのこけら落としに集まったのは35,271人。「チケットは売り切れ」と報じられていたがこの日は天気予報が良くなかった。結果的には試合中はもちろんのこと、試合前後の数時間も雨が降りそうな雰囲気はほぼ無かったので「比較的天気に恵まれた。」と言えたが予報が悪かったのでスタジアムに行くことを躊躇した人がいたのかもしれない。スタンドは「立錐の余地もない。」というほどではなかった。
収容人数は39,694人と発表されているのでMAXだと4万人近くになりそうだがスタジアムの雰囲気は非常に良かった。万博競技場はバックスタンドやゴール裏には屋根が無くて「応援の声が反響しない。」という大きな弱点を抱えていたが吹田スタジアムはほぼ全面に屋根があるので臨場感は抜群。もちろん、G大阪はこれまでもホーム戦の勝率は高かったがこの雰囲気だと「ホーム感」を存分に醸し出すことができる。
内容的にはまずまずだったと言える。最終ラインに怪我人が出ている関係で右SBに入ったのは18歳のDF初瀬だった。名古屋の左サイドはMF永井謙とDF安田理のコンビだったがこのサイドの攻防は明らかに名古屋が優勢。横パスやドリブルをMF永井謙に奪われてピンチを招く場面が3度ほどあったのでDF初瀬にとってはかなりタフな試合になったがDF丹羽大の助けも借りて終盤までプレーすることができた。
「MFアデミウソンが加わったG大阪の攻撃陣がどういうハーモニーを奏でるのか?」は今シーズンのJ1の最大の注目ポイントの1つと言えるが並びはMFアデミウソンがトップ下で、右サイドがMF藤本淳、左サイドがMF宇佐美、1トップがFWパトリックとなった。MFアデミウソンは横浜FMでは(大黒柱のMF中村俊が怪我から復帰した後は)右サイドが多かったので同様の配置になるかと思っていたので意外な配置だった。
攻撃陣のコンビネーション等はもっと成熟されていくと思うがMFアデミウソンが真ん中にいると攻撃のバリエーションは格段に増える。MF宇佐美もうまく中央に入ってきて攻撃に絡めていたので感じとしては良かった。MFアデミウソンはどちらかというとチャンスメーカータイプ。積極的にゴールを狙うタイプではないので強引さが武器となるFWパトリックやMF宇佐美とはいい関係を築くことができるのではないか。
#25 試合終了後(その1)
#26 試合終了後(その2)
■ 変化は感じられた名古屋グランパス一方の名古屋は小倉監督が就任。中盤の構成はそれほど変わっていないがFWシモビッチ、DF安田理、DF古林、DFオーマン、MFイ・スンヒが加入。シーズン中に40歳になるGK楢崎がコンディション不良で欠場したこともあってフレッシュなスタメンになったが「名古屋の現状」が良く分かる試合になったと言える。噴出した課題を少しでも解決できるのであれば「非常に有意義なトレーニングマッチになった。」と言える。
ストイコビッチ監督時代の中期から西野監督時代までの名古屋はFWケネディやDF闘莉王やGK楢崎らJリーグ屈指の能力を持ったタレントの力に頼るサッカーだったが小倉監督が大きく変えようとしているのは確か。後半の立ち上がりから後半15分あたりまでは複数人が連動した攻撃でチャンスを作った。ゴールシーンはラッキーな面もあったがゴール前に人数をかけることができていたことがゴールに結びついた。
小倉監督は「5人目までが連動する。」というフレーズを多様しているが実際にそういうシーンは何度かあった。FWシモビッチの高さに頼ったサッカーではなくてコンビネーションで崩そうとする意図は感じられたので一定の評価はできるが手数をかける分、カウンターを受けやすい。シュートを打っていい場面で細かいプレーを選択してボールを失ってG大阪にカウンターの機会を与える場面はかなり多かった。
相手のカウンターになりそうな場面になってもWボランチの2人で食い止めることができると大きな問題には至らないがボランチのところを破られるシーンも多かった。MF田口は攻撃型の選手なのでどちらかというとMFイ・スンヒの仕事になるが食いついて外されてスペースを作って大きなピンチになるシーンが多かった。サイズがあるのでボールを奪い取る力はありそうだがフィルター役としては今一つだった。
#27 モノレールの公園東口駅
■ 改善が必要なセットプレーの守備主力のDF闘莉王、DF牟田、DF本多が抜けた守備面が不安視されるが、この日の1失点目はカウンターで、2失点目と3失点目はセットプレーから。G大阪が後方からパスをつなごうとするときの名古屋の守備陣の対応には大きな問題はなかった。むしろ、前半の立ち上がりなどはいい仕掛けから狙い通りの形でボールを奪い返すシーンが多かった。悪くはなかったが「セットプレーから2失点」というのは勿体なかった。
失点シーンを確認してみたが共にミスマッチになっていた。前半36分の2失点目のMF今野のゴールのときはDF安田理が対応しており、後半21分のDF丹羽大のゴールのときはDF古林が対応していたが、MF今野は178センチでDF安田理は173センチ、DF丹羽大は181センチでDF古林は173センチ。言うまでもなくMF今野は「身長の割にはヘディングが強い。」という選手である。能力差の大きい部分をきっちりと突かれた。
この試合の名古屋のスタメン11人の平均身長は180.09センチ。180センチを超えるチームはJリーグでは珍しいので「高さが不足している。」というわけではない。むしろ「平均身長はJ1屈指」と言えるが199センチのFWシモビッチが1人で平均身長を押し上げているところはある。ストーンの位置に入ることが多かったFWシモビッチがセットプレーの守備のときにあまり存在感が無かったのは残念なところだった。
GK楢崎がゴールマウスを守るようになると様々な面でプラスの効果が生まれるとは思うがDF安田理、DF古林、MF小川佳、MF田口、MF矢田と5人も「170センチ台の身長で空中戦のときはあまり期待できない。」という選手がいると対戦相手によってはセットプレーの対応が難しくなる。右SBのDF古林の攻撃力は魅力ではあるが高さと守備力を考えると「現状ではDF矢野貴の方がベターなのでは?」と感じる。
#28 シャトルバス乗り場に向かう。
#29 万博競技場の正面
■ アキレス腱になっている手薄なCB陣199センチのFWシモビッチと191センチのDFオーマンというスウェーデン出身の2人が「オフの補強の目玉」と言えるがDFオーマンはコンディション不良でベンチにも入らなかった。この試合に先駆けて2月6日(土)に湘南と練習試合を行って1対2の敗戦。2月10日(水)に鳥栖と対戦して0対2で敗れているが『DFオーマンの出来が今一つだった。』という情報が至るところで流れているのは気になるところである。
メンバー表を見るとCBが本職と言えるのはDFオーマンとDF竹内彬とDF大武の3人だけ。新外国人のMFイ・スンヒは183センチとサイズがあるので「場合によってはCBでもプレーできる。」と言われているが、その他ではボランチのMF磯村が「CBをやろうと思えばできなくもない。」という程度。「DFオーマンが使えない。」あるいは「DFオーマンが計算できない。」となるとCBのやり繰りは相当に厳しくなる。
怪我や出場停止の多いポジションなので「本職のCBが3人だけ」というのは通常ではあり得ない。「あり得ない。」ということは「裏でCBの補強に動いている。」と考えるのが自然であるが『ボランチやCBに負担のかかるサッカー』になりそうな状況なので即戦力となるCBを補強したいところ。大卒3年目のDF大武は才能に恵まれた有望なCBであるが実績はまだ無い。CBが一番のアキレス腱になっているのは確か。
FWシモビッチに関しては189センチのDF大武と並んだところを見る限りは「199センチよりも身長は低い。」と思われる。おそらくは195センチ前後くらいだと思う。(それでもJリーグ屈指の長身であることに変わりはないが・・・。)DF丹羽大とDF金正也が健闘したこともあって空中戦の勝負はやや劣勢。後半2分のMF矢田のゴールのときは高さが生きたが「スペシャルなところは見せられなかった。」と言える。
#30 JR茨木駅前
関連エントリー
2015/04/23 【名古屋×清水】 ビッグクラブになり得るグランパスだが・・・。(生観戦記) (前編)
2015/04/23 【名古屋×清水】 ビッグクラブになり得るグランパスだが・・・。(生観戦記) (後編)
2015/10/30 名古屋グランパスの小倉隆史監督が失敗するとは言い切れないいくつかの理由 (前編)
2015/10/30 名古屋グランパスの小倉隆史監督が失敗するとは言い切れないいくつかの理由 (後編)
2016/01/11 ガンバ大阪のFWパトリックの日本への帰化&日本代表入りについての率直な思い
2016/02/16 【G大阪×名古屋】 吹田スタジアムのこけら落としに行ってきた。 (生観戦記・上)
2016/02/18 【G大阪×名古屋】 吹田スタジアムのこけら落としに行ってきた。 (生観戦記・中)
2016/02/18 【G大阪×名古屋】 吹田スタジアムのこけら落としに行ってきた。 (生観戦記・下)
2016/02/19 クラブ別エントリー(名古屋グランパス)
2016/02/19 クラブ別エントリー(ガンバ大阪)
- 関連記事
-